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トミカ × リアルカー オールカタログ / No.45 トヨタ ダイナ 清掃車

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.45 トヨタ ダイナ 清掃車 (バケット上下 / バケット扉開閉・希望小売価格550円・税込)

社会生活に必要不可欠なゴミ収集事業。説明するまでもなく、そこで活躍するのが清掃車です。“パッカー車”とか“ごみ収集車”、“塵芥(じんかい)収集車”などとも呼ばれますが、国土交通省の区分では“塵芥車”が正式名称となります。

極東開発工業の最新型回転板式ごみ収集車『パックマン』。(PHOTO:極東開発工業)

塵芥車には様々な種類がありますが、住宅地の細い路地まで入って家庭から出るゴミを集めたりする関係から、よく使用されるのは2トン・トラックを用いた小型車になります。また、会社や工場といった事業所へゴミを収集しに行く場合は、4トン・トラックを用いた中型車が用いられます。収集できるゴミの量は、よく町中で見かける小型車の場合、おおむね1~1.4トンほどになるそうです。

塵芥車は車体の大きさのほかに、後部の荷箱(バケット)へゴミを押し込み、圧縮する装置の方式の違いで“プレス式(圧縮板式)”と“巻き込み式(回転板式)”の大きく2種類に分かれます。また町中の塵芥車ではあまり見かけませんが、“ロータリー式(荷箱回転式)”という方式もあります。

極東開発工業の最新型プレス式ごみ収集車『プレスパック』。(PHOTO:極東開発工業)

“プレス式(圧縮板式)”はその名の通り、ゴミ投入口内にある圧縮板を使ってゴミをギュッとプレス(圧縮)したあと、スライド板を使って荷箱の奥に押し込んでいく方式です。この方式は小さなゴミから大きな粗大ゴミまで対応可能で、圧縮板は冷蔵庫や自転車などを圧縮できるほどのパワーを持っています。

東京都中野区のスケルトン清掃車。2020年にそれまで通常の清掃車として使用されていた車両を改造して作られたもので、巻き込み式(回転板式)清掃車の内部の仕組みがわかるようになっている。ゴミ収集ではなく、保育園などに出向くなどして学習に活用される。(PHOTO:中野区)

“巻き込み式(回転板式)”は、ゴミ投入口に入れたゴミを回転板が荷箱へかき込み、その後、押し込み板がゴミをキャッチして荷箱の奥に押し込んでいく方式です。構造上、プレス式(圧縮板式)より圧縮力が弱くなるため、荷箱に積み込めるゴミの量は少なめになるそうです。また、粗大ゴミの収集にも向いていませんが、汚水の飛び散りや戻りを少なくできるため、一般の家庭ゴミの収集に適した方式です。町中で見かける塵芥車は、この巻き込み式(回転板式)が多いそうです。一般に家庭ゴミと粗大ゴミの収集日が分かれている、あるいは収集方法が異なっているのは、使用される塵芥車の種類が違うからというのも理由の一つです。

東京都世田谷区の清掃車。上は新型、下は在来型。『トミカ』は下の在来型の方に近いようだ。(PHOTO:世田谷区)

また荷箱に積み込んだゴミをゴミ処理場などで排出する方法も“押し出し式”と“ダンプ式”の大きく2種類に分かれます。“押し出し式”は排出板を使って、荷箱の奥からトコロテンのようにゴミを外へ押し出します。このため、荷箱にゴミを残さず排出できます。“ダンプ式”は荷箱をダンプトラックのように持ち上げて、ゴミを一気に落とし出す方式です。細かなゴミが荷箱に残りやすいのですが、主に小さなゴミを集める巻き込み式(回転板式)の塵芥車で多く用いられる方式です。

『トミカ』の『No.45 トヨタ ダイナ 清掃車』は、荷箱(バケット)が上下に可動できることから、ダンプ式ゴミ排出装置を持つ車両をモデル化していることがわかり、自動的(?)に巻き込み式(回転板式)の収集装置を備えた塵芥車をモデル化したものとわかります。

トヨタ 7代目ダイナの実車フロントビュー。(『トミカ』と同一規格ではありません)
トヨタ 7代目ダイナの実車リヤビュー。(『トミカ』と同一規格ではありません)

さて、車体の方にも触れておきましょう。トヨタ ダイナは1956年に登場した、トヨタの代表的な小型・中型トラックです。ダイナはその積載量から1トン積み系と2トン積み系の大きく2種類に分けられますが、2011年にデビューした現在のダイナの2トン積み系は8代目にあたり、1トン積み系は7代目となります。現在現役のダイナは日野自動車との共同開発車であり、日野自動車の『日野 デュトロ』と兄弟車になります。

同じトヨタ ダイナをモデル化した『トミカ』もありますが、『No.45 トヨタ ダイナ 清掃車』とはフロントマスクが異なっています。実はこちらは最新の8代目ではなく、7代目ダイナをモデル化したもののようです。実際、町中ではこちらのモデルの方が多く見られますので、なじみ深い形だと思います。どんな時でも生活インフラ確保のためにがんばる塵芥車は町のヒーローとも言える存在。『トミカ』の中でも息が長く、可動部が多くて楽しく、高い人気を誇っている1台です。

■トヨタ ダイナ カーゴ2t標準キャブ 標準デッキ 主要諸元 (データは8代目のものです。『トミカ』の車種と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):4690×1695×1985

ホイールベース(mm):2525

トレッド(前/後・mm) :1400/1245

車両重量(kg):2300

エンジン:N04C-WD型直列4気筒ディーゼル

排気量(cc):4009

最高出力: 110kW(150ps)/2380rpm

最大トルク:440Nm(44.9kgm)/1300-2380rpm

トランスミッション:6速AT/6速MT

サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/リーフスプリング

ブレーキ(前/後) :ディスク/ディスク

タイヤ:(前)205/70R16 (後)205/70R16

■毎月第3土曜日はトミカの日!

No.48 いすゞ エルフ 〈ミッキー&フレンズ〉 トラック (サスペンション可動/パネル開閉・希望小売価格495円・税込)
No.91 シボレー コルベット (サスペンション可動・希望小売価格495円・税込)
No.91 シボレー コルベット (初回特別仕様) (サスペンション可動・希望小売価格495円・税込)*初回のみの特別色です。

毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2022年6月の第3土曜日には、それまでの『No.48 日野 プロフィア 葛飾区トラック』に替わって『No.48 いすゞ エルフ 〈ミッキー&フレンズ〉 トラック』が登場します。また、それまでの『No.91 CoCo壱番屋 キッチンカー』に替わって『No.91 シボレー コルベット』が登場します。なお、『No.91 シボレー コルベット』には、初回出荷のみの特別仕様(特別色)もあります。

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