ボルボ・カーズがスロバキアにEV専用の工場新設へ。2030年までに100%EVを目指す。

ボルボ・カーズがスロバキアにEV専用の生産工場新設へ。2030年までに100%EVにする目標達成に向けて生産能力を拡張

ボルボ・カーズはこのほど、欧州で3番目の製造工場としてスロバキアに新生産工場を設立することを発表した。これは、電気自動車に対する旺盛な需要に対応し、将来の成長性を確保するものだ。

2023年に着工、2024年に設備と生産ラインを設置する予定。ボルボの次世代電気自動車の量産は2026年に開始する見通し

スロバキアに設けられるこの最新鋭の工場は、2030年までに100%電気自動車に、2040年までにクライメート・ニュートラルなオペレーションにするというボルボの大きな目標を支えるもので、成長計画に合わせてグローバルな生産能力の拡張を続けていくもの。

スロバキアを新工場の建設地に選んだことで、ボルボ・カーズは、西ヨーロッパのゲント工場(ベルギー)、北ヨーロッパのトースランダ工場(スウェーデン)を補完。それにより、ヨーロッパの製造トライアングルを形成し、最大の販売地域をカバーできるようになる。新工場の投資額は約12億ユーロ(約1691億円)※。設置場所は、スロバキア東部のコシツェに近接し、同国で5番目の自動車工場となるため、確立された自動車部品供給網の恩恵を受けることになる。
※約20%は政府の支援によるものと予想される

ボルボ・カーズは、2020年代半ばまでに年間販売台数を120万台にするという目標を掲げており、欧州、米国、アジアにまたがるグローバルな生産拠点でこれを達成することを目指している。

ボルボ・カーズのジム・ローワンCEOは次のように述べている。
「私たちは、2030年までに完全な電動モビリティ・ブランドになるという明確な目標を掲げており、これは私たちの目的に沿ったものです。最大の販売地域である欧州での生産拡大は、当社の電動化へのシフトと継続的な成長にとって極めて重要です。私は生産拠点をスロバキアに拡大することを大変嬉しく思います。また、これから新しい仲間やパートナーを迎えることを楽しみにしています」

一方、スロバキア共和国のエドゥアルド・ヘーガー首相は、「ボルボ・カーズがスロバキアに新工場を建設するという決定を高く評価します。ボルボ・カーズの新工場は、地域社会の経済状況を改善し、電気自動車のみを生産することにより、新しい環境の時代においてスロバキアの自動車産業に競争力を与えることになります」と述べている。

また、スロバキアのリチャード・スリック経済大臣は、「個人的に、スロバキアがこの巨大投資の競争に勝ち抜いたことを大変嬉しく思います。この投資は、スロバキア東部に発展と多くの雇用をもたらし、直接的及び間接的に雇用機会も多くもたらすでしょう」とコメント。

コシツェ工場は2023年に着工され、2024年に設備と生産ラインを設置する予定です。ボルボの次世代電気自動車の量産は2026年に開始する見通しだ。

ボルボ・カーズの掲げる「2025年までにクライメート・ニュートラルな生産活動を行う」という目標に沿って、同工場ではクライメート・ニュートラルに即したエネルギーのみを使用する予定。また、同工場は最適化されたレイアウトと物流フローにより、持続可能で効率的なプレミアム電気自動車生産のリーダーとなるべく設計される。また、エネルギーおよび環境効率における最高レベルの世界標準を目指している。

立地に関しては、コシツェは他の欧州地域との物流・交通の便が良く、優れたサプライヤー基地へアクセスできる。また、スロバキア政府が提供するインセンティブも、コシツェへの工場立地を決定するうえで重要な要素となった。この施設は年間最大25万台の自動車を生産するよう設計されており、この地域に数千人の新規雇用をもたらすと期待されている。また、将来的には工場のさらなる拡張が可能だ。

ボルボ・カーズのハビエル・ヴァレラCOOは、「ボルボ・カーズ・コシツェのチームとグローバルなボルボ・カーズ・ファミリーに新しいメンバーを迎えること、そしてこの地域で新しいコラボレーションやパートナーシップを確立することを楽しみにしています。サステイナビリィティと安全性を重視した最新鋭の工場で、現代的な職場となるでしょう」と述べている。

コシツェ工場の設立は、ボルボ・カーズにとって約60年ぶりの欧州での新製造拠点となる。1964年にトースランダ工場が、その1年後にゲント工場が開設した。これらの施設を合わせると、年間60万台の自動車を生産することができるようになる。

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