
皆様お久しぶりです、イラストレーターの溝呂木 陽です。
以前、Motor Fan.jpでの連載で書き綴らせていただいた、ヨーロッパ最大級のヒストリックカー・イベント、『ル=マン・クラシック』に今回、12年ぶりに訪問して取材してきましたので、つたないながらもレポートさせていただきます。
今回の『ル=マン・クラシック』は4年ぶりの開催となり、6月30日金曜日から7月3日日曜日まで行なわれます。いつものように素晴らしいクルマたちがル=マンを走りますが、中でも“あの”優勝から31年、マツダ787Bが寺田陽次郎選手の手で再びサルト・サーキットにロータリー・サウンドを響かせるというのが今回最大のトピックでしょうか。
今回はパリ在住の友人とともに6月30日金曜の早朝にパリを出発、9時前にル=マンのサルトに入りました。あらかじめ日本で買っておいたチケットは、搬入日である木曜の29日からイベント最終日の日曜の7月3日までの4日間通しチケットで、入場券、パドックパス、グランドスタンドを入れて日本円で2万円ちょっとと意外にリーズナブル。パドックに入ると戦前のブガッティやベントレーからフォードGT40やポルシェ935にいたるまで、様々なクルマが年代ごとに、グリッド1~6までクラス分けされて並んでいます。
今回もパドックやグランドスタンドなど様々なポイントでレースを見ていたのですが、今回の目的の一つでもある肝心のマツダ787Bやトヨタトムス85CなどのグループCカーのパドックがどうしても見つかりません。
会場の地図にも記載がなく諦めていましたが、今回連絡をとりあっていた、WEC(世界耐久レース選手権)のオフィシャルカメラマンをつとめられている柏木龍馬さんにお会いできたので場所を伺うと、「ちょっと離れていて歩くけど行ってみますか?」とのこと。これでようやく、グループCカーのパドックを訪ねることが出来ました。



会場のメインエリアからかなり離れたところに設置されていた、グループCカーのパドックの一番目立つところにマツダ787Bが、奥にはトヨタも見えます。そして並びにはプジョー905エボ1BisやジャガーのXJR-8や9や12など、一世を風靡したCカー軍団がずらり! まさに壮観の一言でした。
嬉しくなって写真を撮影していると、柏木さんが中で話をしてくれて、手招きを。なんとロープの奥の関係者エリアへ立ち入れることに! 関係者と談笑中だったトヨタトムス85Cのドライバー、中嶋一貴選手にご挨拶させていただき、快く一緒に撮影に応じて頂けました。中嶋選手、とても気さくで優しい方です。整備中のトヨタやマツダもじっくりと見ることができました。


そうこうしているうちにデモ走行の時間になりました。今回、マツダはCカーのレースとは違う枠での特別招待走行です。金・土の各一回一周、787B一台のみの特別なデモンストレーション走行を披露するとのこと。本当に貴重な走行です。隣のパドックに入ると奥に登れるスタンドを発見。そこでコースを見て待っていると、まさにすぐ下から寺田選手の駆る787Bが出てきました!
前のレースのスケジュールが押してしまい、すでに夜9時をまわった夕暮れ時。フランスはこの頃は夜の10時過ぎが日暮れになります。美しい光の中、すぐ下で佇んでいる日本人には忘れられない“あの”787Bが、唐突にロータリーエンジンを始動させて4ローターの咆哮をあげた時には鳥肌が立ちました。


コースインして一周回ってきた後、787Bはボクたちの直前で一瞬停止するや、また全開で走ってくれました! 夕暮れのル=マンでの、まったく素晴らしい体験です。その後のグループCカーレースではトヨタやジャガー、プジョーやポルシェたちの40分ほどのレースを堪能。翌日、土曜日の昼に再びマツダのデモンストレーションとCカーレースがあり、なんと中嶋一貴選手の駆るトヨタトムス85Cはそこでクラス優勝されたとのこと。おめでとうございます!
さて、見どころいっぱいのル=マン・クラシック、次回はイベント全体の様子をレポートさせていただきましょう。
(次回へ続く)