ハンバーガーカーとご一緒にポテトカーもいかがですか?

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.55 いすゞ ギガ フライドポテトカー

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.55 いすゞ ギガ フライドポテトカー(本体取り出し/左右可動・希望小売価格550円・税込)

『トミカ』のNo.55は『いすゞ ギガ フライドポテトカー』です。その名前からフライドポテトの冷凍輸送車あたりを想像しますが、ご覧の通り、フライドポテトの模型を積載したトレーラーを牽引する『フライドポテトカー』です。これはシリーズ番号で続きとなる『No.54 トヨタ タウンエース ハンバーガーカー』とセットになっているものと思われます。普通は大型トレーラーのギガの方がハンバーガー、小型トラックのタウンエースの方がポテトという選択になりそうですが、小型トラックをハンバーガー、大型トレーラーをフライドポテトという選択にしているのは、なかなかのセンスではないでしょうか?

『トミカ』のモデル車両と思われる『ギガ』の初代モデル(写真はトラック。『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)

さて、この『フライドポテトカー』は現実の世界では、『No.54 トヨタ タウンエース ハンバーガーカー』と同様に、トラックの荷台に看板や作り物を積んだりバスをラッピングしたりして、お店や商品の広告宣伝などを行なう“アド・トラック(広告宣伝トラック)”と呼ばれる車両になります。ただし現在では、“アド・トラック”とは、基本的にはトラックの四角い荷室の表面に商品やお店の宣伝を描き、けたたましい音楽とまばゆい光を放って町中をゆっくり流して走るクルマのことを指すようになってきているようで、このような模型や作り物を載せて注目を集めるクルマのことは“フロート車”あるいは“フロート・トラック”と呼んで区別するようになってきているようです。

さて、この『フライドポテトカー』を見ると、車体に描かれた文字等から、どうやら『ギガポテト』というギガ盛り(?)サイズのフライドポテトの宣伝を行なう“フロート車”のようです。このためにトレーラートラックにはいすゞの大型トラック『ギガ』が選ばれているという設定なのでしょうか。

いすゞ『ギガ』は、1994年(トラクタ系は1995年)に810シリーズの後継車として登場した大型トラックです。『ギガ』という名前は「10億」を意味する英語――GIGA――から取られており、「10億」から転じた「巨大な」という意味合いをもって、いすゞの取り扱う最も大きな商品であることを示しているそうです。ちなみに現在の最新モデルは単車系――非トレーラー系車種のこと――が2015年、トラクタ系が2016年にデビューした2代目モデルになります。

いすゞ ギガ トラクタ 4×2 実車(写真は現行の2代目モデルです。『トミカ』のモデル車と同一規格ではありません)

この現行2代目モデルは、労働力不足や運行コストの低減などの課題、環境や安全に対するニーズの高まりを受け、車両単独性能の追求から“運ぶ”システムへと進化させることを目標に、次世代トラックのあるべき姿を見据え、快適な運転環境の実現、省燃費の追求、トータルセーフティの追求、高積載の確保、情報通信による遠隔サポートといった5つの視点から、その性能を磨き上げています。

外観は新空力骨格キャブにより、空気抵抗を低減させると同時に、昇降ステップやグリップ等を効率よく、かつ美しくレイアウトするなど、使い勝手と経済性能を両立。大型フロントグリルおよび大型インタークーラーにより冷却性能が向上させています。

インテリアは運転操作性の向上として、セミラウンドインパネを採用。スイッチ類をメーター・インパネ周りに集約し、また使用頻度に合わせてゾーン分けして機能的に配置することで、運転時の操作性や識別性が向上させ、より効率的な操作を可能としています。また、ステアリングスイッチと4インチ液晶モニターのマルチインフォメーションディスプレイの採用で、安全で負担のない操作を可能にしています。

『ギガ』に搭載されている6UZ1型エンジン。改良が重ねられ、現在では出力やトルクが「向上したほか、重量も軽量化されている。

6UZ1型エンジンも大きく改良され、ターボチャージャーの仕様変更、インタークーラーとラジエーターの大型化、EGRクーラーの高効率化、サプライポンプの変更、新インジェクターの採用、超高圧コモンレールの採用により、低・中回転域のトルクアップが図られ、燃費が向上しています。また、進化した自動式変速トランスミッション『Smoother-Gx』により、スムーサーのシフトショックを低減し、より滑らかな発進を実現しています。さらにエンジンリターダを採用することで補助ブレーキの制動力も向上しています。

安全装置関係では、移動障害物に対する衝突回避支援機能がプリクラッシュブレーキに追加されたほか、障害物を検知する手段をミリ波レーダーとカメラを併用する二重検知にすることで、前方の検知精度を大幅に向上させています。

さらにデータ通信とインターネットを融合して車両データを遠隔で解析する仕組み、『MIMAMORI』が標準搭載されており、従来わからなかった車両の状態が、インターネットを介して遠く離れた場所からでも容易に確認することが可能となっています。

いすゞ『ギガ』の海外仕様。『ギガ』は海外でも販売されており、世界中で使用されている。ちょっと外観のイメージが違って面白い。

さて、『トミカ』の『No.55 いすゞ ギガ フライドポテトカー』は、フロントマスクなどから、どうやら初代モデルを再現したもののようです。この初代モデルは使い勝手の良さや燃費性能の良さももちろんですが、1997年に大型トラックとして初めて全車に運転席SRSエアバッグを標準装備し、安全性能を高めたことで知られています。この初代モデルの『ギガ』の中でも4×2トラクタが、『No.55 いすゞ ギガ フライドポテトカー』の“本体”のモデルであろうと思われます。

『トミカ』の中でも異彩を放つ『No.55 いすゞ ギガ フライドポテトカー』。切り離しのできる、柔らかい素材でリアルに出来たポテトを載せたトレーラーやトレーラーの左右可動など、これ単体でも十分に楽しめますが、出来れば『No.54 トヨタ タウンエース ハンバーガーカー』と一緒にコレクションするとより楽しいでしょう。

■いすゞ ギガ ローリー専用トラクタ 4×2 主要諸元(諸元は最新の実車のものです。『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):5860×2485×2920

ホイールベース(mm):3180

トレッド(前/後・mm) :2060/1850

車両重量(kg):5560

エンジン:6UZ1-TCH型直列6気筒インタークーラーターボディーゼル

排気量(cc):9839

最高出力: 294kW(400ps)/1800rpm

最大トルク:1814Nm(185kgm)/1200rpm

トランスミッション:7速MT

サスペンション(前/後):リーフリジッド

ブレーキ(前後) :エアブレーキ

タイヤ:(前/後):295/80R 22.5 / 11R22.5-16PR

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