フェラーリ初のハイブリッドカーも『トミカ』にあります!

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.62 ラフェラーリ

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.62 ラフェラーリ (サスペンション可動・希望小売価格550円・税込)

イタリアの自動車メーカーであるフェラーリは、もともと自動車レース活動を目的に設立されたため、基本的にはレーシングカーと高級スポーツカーしか製造しない自動車メーカーとして世界的に有名です。現在でもF1世界選手権レースなどに参戦していますから、ご存じの方も少なくないでしょう。いわゆる“スーパーカー”と呼ばれる、原則として少量生産、ほぼレーシングカーと言っても過言ではないレベルの高出力・高性能のスーパー・スポーツカー・メーカーの代表としても知られています。そして、フェラーリの社名は創業者であり、元・アルファロメオのレーシングドライバーだったエンツォ・フェラーリの名前からとられています。

ラ フェラーリ実車フロントビュー。
ラ フェラーリ実車リヤビュー。

さて、『トミカ』の『No.62 ラフェラーリ』も、そんなフェラーリの高性能・高級スポーツカーの1台で、2013年にデビューし、2016年まで製造販売されました。ラフェラーリの“ラ(La)”とはイタリア語で、英語では“ザ(The)”にあたります。英語にすれば「ザ フェラーリ(The Ferrari)」。「フェラーリ中のフェラーリ」とか「これこそフェラーリ」といったような意味合いになります。また、フェラーリ創業者の名前から名付けられたスーパーカー、エンツォ フェラーリの実質的な後継車であり、フェラーリ初のハイブリッドカーでもあります。

ラ フェラーリのパワーユニット。向かって左がV12エンジン。右がトランスミッション一体型のモーターを装備するハイブリッドシステム、HY-KERS。

ラ フェラーリの最大の特徴は、何と言っても初めて採用されたハイブリッドシステムです。この当時のフェラーリのF1マシンに採用されていたKERS(カーズ)と呼ばれるエネルギー回生システムの技術を基本としたHY-KERS(ハイ・カーズ)と呼ばれるものです。これはよくある燃費を向上させるためハイブリッドシステムとは違い、エンジン出力をモーターで補助するという考え方のハイブリッドシステムで、動力性能の向上と環境性能の両立を目的としたものなので、モーターだけでの電気走行は考えられていません。乱暴な言い方をすれば“電気モーター・ターボ”といった仕組みになります。

HY-KERSは2基のモーター/ジェネレーター(発電機)とリチウムイオンバッテリー、そして制御装置から構成されています。エンジンはF12ベルリネッタに搭載されたものをベースにしたV型12気筒エンジンで、最高出力163psのモーターと7速の自動変速マニュアルトランスミッション(AMT)を一体設計としたユニットが後方に組み合わされます。また、もう1基のモーターがエンジン前方に配置されています。

これらのモーターの強大なトルクが低回転域から得られるため、組み合わせるV12エンジンは高回転域での性能に合わせて最適化すればよく、モーターとエンジンとのお互いの得意な部分を生かして伸ばせることから、エンジンの全回転域での強大なパワーと900Nmを超える最大トルクの発生を実現しています。

コーナリング時にはHY-KERSがエンジンの回転数を一定に保ち、素早いレスポンスを実現。

コーナリング時にはHY-KERSがエンジンの回転数を一定に保ち、素早いレスポンスを実現します。また、加速しながらのコーナー脱出時には、トラクション・コントロール・システムが継続的にトルクを制御するとともに電子制御デファレンシャルが駆動ホイールに適切なトルクを分配します。これにより、最大のトラクションが確保されます。さらにスタビリティ・コントロール・システムが車両の反応を継続的に監視。エンジンに余分なトルクが発生している時には、HY-KERSがそれを電力に変換してバッテリーに充電し、エンジンのトルクが不足している場合には、最適なトルクを発生させ、一定した力強い動力性能尾をもたらします。

ブレーキは冷却性能の向上を目的に、特別に設計された新型の軽量キャリパーが装備され、ブレーキ・ディスクも新型になっています。この新型ブレーキ・システムにより、ディスク表面摩擦が増し、制動力の安定とフェード耐性が向上しています。このブレーキ系統は、他のすべての車両運動制御システムと完全に統合されているため、ハイブリッド・システムはブレーキングで回生モードに入ると、たとえABSが作動するようなハードなブレーキング時でも、バッテリーへの充電が行なわれます。また、高い動力性能を無駄なく発揮させるため、ラ フェラーリはピレリ社により特別に設定されたタイヤを装着しています。

蝶が羽を広げたように開くバタフライドア。Aピラーに沿ってヒンジがあり、車体の上方外側へと開いて地面と水平になる。このドアまわりには新素材T1000ユニディレクショナルテープやファブリックなどが使用されている。

シャシーはF1マシンと同様のカーボンファイバー製で、乗員の保護に重要なドアやシルなどには高い衝撃吸収性能を誇り、最も厳しい側面衝突規定をクリアする性能を持つT1000ユニディレクショナル(単一方向)テープとファブリックが使用され、車体の構造部には非常に剛性に優れて軽量なM46Jユニディレクショナルテープとファブリックが用いられています。これらが自動車で使用されるのはラ フェラーリが初めてでした。さらにアンダーボディには特別な複合素材として知られるケブラーが供用されています。

ボディのデザインは1960年代後半にレースで活躍した330P4や312Pといったフェラーリの歴史的な名車を意識したものとなっており、リヤの巨大な可変式スポイラーは自動的に展開し、なおかつHY-KERSシステムのシールドとしても機能します。

F1マシンのようなステアリングホイールが目を引くインテリア。ドライバーの右手にはトランスミッションの機能を集約したシグネチャー・ブリッジが配される。

インテリアでは、F1マシン同様のデザインのステアリングホイールが目を引きますが、トランスミッションの機能をクラスター状に配置しているシグネチャー・ブリッジはスマートなウイング型となり、その上に各種のボタンが直感的に操作できるように配置されています。これに対応してインパネの機能とインフォテイメント――オーディオ、衛星ナビ、テレメーター――を操作するサテライトポッドは、ドアとダッシュボード中央に移設、さらにコンパクトになったクライメートコントロールパネルも内包されています。また、ダッシュボードの機能をデジタル化し、フェラーリで初めてレイアウトを選択可能式としています。

『トミカ』の『No.62 ラフェラーリ』は細部のマーキングにいたるまで、うまく実車を再現しています。世界限定499+1台しか作られていない、フェラーリの何から何まで特別なスーパーカーであるラ フェラーリを手に入れてみませんか?

■ラ フェラーリ 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):4702×1992×1116

ホイールベース(mm):2650

車両重量(kg):1255

エンジン形式:6.3ℓ F140FE型 V型12気筒DOHC

エンジン排気量(cc):6262

エンジン最高出力:588kW(800ps)/9000rpm

エンジン最大トルク:700Nm(71.3kgm)/6750rpm

電動機形式:HY-KERSエネルギー回生システム

モーター出力:120kW(163ps)

システム総合最高出力:708kW(963ps)/9250rpm

システム総合最大トルク:900Nm(91.8kgm)以上

トランスミッション:7速AMT

サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/マルチリンク

ブレーキ(前後) :ベンチレーテッドディスク

タイヤ:(前) 265/30R19 93Y (後)345/30R20 106Y

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