トヨタとNRELが共同で建設する1MW燃料電池システムは、複数のトヨタ製燃料電池モジュールを大型システムに統合し、応答性の高い定置用電力を供給する。NRELは、これまでの共同研究で、自動車用燃料電池システムを用いてデータセンターにカーボンフリーの電力を供給することを実証している。今回の新システムは、発電規模を約15倍に拡大、直流と交流の出力に対応することができる。ちなみに、トヨタの水素燃料電池車「MIRAI(第2世代)」の最高出力は128kWである。
トヨタは、25年以上にわたる燃料電池の開発経験を生かし、小型燃料電池電気自動車市場で培ったノウハウを拡大して、1MWのシステムを設計した。トヨタは燃料電池モジュールを提供し、システムインテグレーターのテリオスと協力して、NRELに納品するシステムの設計、バランスオブプラント、構築を行なう。トヨタは、効率とシステム寿命を最大化するために、燃料電池モジュールの動作を管理する統合制御システムを開発した。このシステムは、従来の発電機と置き換えることができる簡素化された設計を実証している。
トヨタとNRELのこの3年間にわたる650万ドル(約9億350万円)の共同研究は、DOEのエネルギー効率・再生可能エネルギー局水素・燃料電池技術室から一部資金提供を受け、複数の用途と経済部門にわたるクリーンな水素に関するDOEのH2@Scaleビジョンを支援している。
この燃料電池発電機は、NRELのFlatirons Campusで設計・試運転中のAdvanced Research on Integrated Energy Systems (ARIES) メガワット級水素システムの一部だ。1.25MWのPEM電解槽、600kgの水素貯蔵システム、1MWの燃料電池発電機を含み、メガワット規模での再生可能エネルギーの直接水素製造、エネルギー貯蔵、発電、グリッド統合を実証するためのプラットフォームとなるものだ。
燃料電池発電機は今夏に設置され、2022年後半にフルシステムが稼動する予定だ。