マイルドハイブリッドを新追加した軽ベーシックカーの雄!「スズキ・アルト」【最新軽自動車 車種別解説】

正統派軽セダンの「スズキ・アルト」も九代目。ドア開口部は大きく、ステップも低く乗り降りしやすいシンプルさにハイブリッド化と安全装備が加わり、広くなった室内と上質なインテリアで軽セダンの「新ベーシックカー」を標榜する。気軽に、安心して、愛着を持って、大切に長く付き合える一台になるだろう。
REPORT:竹岡 圭(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:河辺ほのか

安全装備や基本性能も大躍進 マイルドハイブリッド新搭載

新時代のシンプル・イズ・ベストを打ち出した先代に対して、市場から聞こえてきたハイブリッド化と安全装備の充実を望む声を重視し、先代からのエネチャージに加え、初のマイルドハイブリッド搭載モデルを追加した、というのが九代目となる今回発売されたアルト最大のニュースと言っていいだろう.

エクステリア

楕円モチーフの灯火類やキャラクターラインを採用したエクステリアは全グレード共通。撮影車の「ハイブリッド X 」のみ14インチアルミホイールとLEDヘッドランプが標準だ。最小回転半径は4.4m。

エネチャージとマイルドハイブリッドの違いを至極簡単に説明すると、エネチャージは回生エネルギーとして貯めた電力をエアコンやオーディオといった電装品にのみ使うが、マイルドハイブリッドはその電力を走るためにも使う、と考えるのがいちばんわかりやすい。

乗降性

そもそも、エンジンというものは、力が変化するとき、例えば発進時や加速時に、瞬時にパワーを出すのが苦手である。特に軽自動車に搭載される排気量の小さなエンジンは、より苦手度が高いので、そこをモーターでアシストするという仕組みを盛り込んだということになる。その力強さはかなりのもので、思わず速い! という感覚をもってしまうほどのパワフルさである。かといって、むやみな飛び出し感はなく、コントロール性の高さもかなりのレベルでまとまっている。となれば、余分なアクセル操作が減るので、当然のごとく燃費は良くなる。WLTCモードで 27.7km/l のカタログ数値は軽ナンバー1と恐れ入るところだ。

インストルメントパネル

メーターデザインはシンプルだが、インパネ全体は立体的な意匠を与えられ、シンプル一辺倒ではない上級感を醸し出す。7インチのディスプレイオーディオはメーカーオプション。

燃費の良さを狙うなら、装備は絞りたいだろうが、無論、要望が高かった充実の安全装備もひと通りのものが全車標準装着されている。ナビまではいらないけど、見えない場所をフォローしてくれるカメラ映像を大きく映し出すモニターは欲しいという声に応えて、ディスプレイオーディオを用意したというのも賢明な判断だと言える。

居住性

しかしそんな装備よりも驚かされたのは、基本性能の高さだ。例えば、視界の良さ。カメラのフォローがなくても実はしっかりと見える。そして乗降性。こんなにフロアが低いのか? と、二度見ならぬ二度座りするくらい、足を持ち上げずともサッと乗り降りできて、開口部の高さを含めてドアがしっかり大きく開く。コレは老若男女が選ぶアルトだからこそ、なおのこと輝くポイントである。

うれしい装備

月間登録台数   2680台(21年12月〜22年1月平均値)
現行型発表    21年12月
WLTCモード燃費  27.7 km/l※「ハイブリッドX」「ハイブリッドS」のFF車 

ラゲッジルーム

ハンドルのロック・トゥ・ロックまでの回転数が多いのも、神経質にクルマが動き過ぎないようにとの配慮からのことなのだろう。しかし実際は、ハンドルを切ったら切った分だけきっちり動くし、最小回転半径4.4mと小回り性も抜群。このバランスの良さは、開口部があんなに大きくてもしっかり感の高いボディにするなど、ベース性能をつくり込んでいるからこそできるものである。実際に段差などを乗り越しても、この手のクルマにありがちな、いわゆるペナペナした感じはまったくなく、つくり込みの巧みさが伺えるのだ。そのペナッと感は、見た目からも感じられず「気軽・安心・愛着」を感じさせる「新ベーシックカー」というところに狙いを定めたデザインにまとめられたとのこと。室内も広く上質となり、飽きずに大切に長く付き合えそうな一台となっている。

※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.140「2022年軽自動車のすべて」の再録です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/140/

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