ドライカーボンのウイングが本気の証、シビックタイプRは純正アクセサリーも究極だった!

メーカー希望小売価格499万7300円という絶対的には高価なスポーツカー「シビックタイプR」が好調に売れているという。販売計画としては月間400台とスポーツカーとしては多めなのにもかかわらず納車が数年先となるバックオーダーを抱えているという噂もあるほどだ。そんなシビックタイプRのスポーツ度をさらに高めてくれる純正アクセサリーは、走りの面においてもタイプRにふさわしいパフォーマンスを持つ実力派だ。
REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:/高橋 学(TAKAHASHI Manabu)

タイプRスピリットを象徴するテールゲートスポイラーは27万5000円

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翼端版の大きなテールゲートスポイラーは、フロントから見ても存在感がマシマシだ。

2022年9月に正式発表された新型シビックタイプRの評価が日に日に高まっているのを感じる。

発表当初は499万7300円という限りなく500万円に近い価格などから「FF世界最速といっても一般ユーザーには関係のないカルトカー」といった印象もあったが、販売店に配備された試乗車での印象がSNSなどで共有されたり、著名モータージャーナリストによるサーキット試乗インプレッションが伝わってきたりすることで、タイプRの本質である走りのレベルアップが拡散しているのも、市場の評価につながっているのだろう。

ところで、新型シビックタイプRの車両コンセプトは「アルティメット スポーツ」となっている。ホンダのスポーツフラッグシップとして、サーキットでのタイムという本質部分から、所有満足度につながるディテールや市街地など一般道での扱いやすさといった官能評価の部分まで究極を目指しているのが、現代のタイプRである。単純にFF世界最速であればいい、というクルマ作りではないのだ。

それほどハードルを高くしたスポーツカーには、その狙いにふさわしい純正アクセサリーが必要だ。

そこでホンダ車の純正アクセサリーを担うホンダアクセス社が掲げた開発コンセプトが「The TYPE R」というもの。機能・品質・素材においてアルティメット スポーツにふさわしい純正アクセサリーを生み出すべく開発が進められた。

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レッドポリエステルの編み込まれたドライカーボン製テールゲートスポイラー。ステー部分は標準をそのまま利用する。価格は27万5000円

その象徴といえるのが「テールゲートスポイラー」だ。

標準装着されたスポイラーのウイング部分だけを交換するというタイプで税込み27万5000円という価格設定は、かなり高価にも思えるが、欧州で製造されるドライカーボン製のスポイラーであると聞けば印象は変わるだろう。カーボンの編み目の見栄えまでこだわった、独自形状のウイングを見れば、かなりリーズナブルであると評価する人がほとんどではないだろうか。

しかも、その形状はスタイリングだけでなく、機能としても磨き込まれている。左右の翼端板が大きいのは直進安定性を高めることが主たる狙いで、ウイング上面にはダウンフォースを高めるダックテールの形状が盛り込まれている。そのダックテールを中央部分だけとしているのはコーナリング時に斜めに風が当ったときの悪影響を防ぐためだ。

さらにウイング下面には鋸歯のような独特な形状が刻まれている。これはホンダアクセスが長年の研究で導きだした「実効空力デバイス」と呼ばれるもので、一つひとつの歯が空気の流れを細かく砕いて霧化することにより、ウイング後方での渦による悪影響を防ぐことができるという。

しかも、このウイングの効果は合法的な速度域でも体感できるように作り込んでいるというのも純正アクセサリーらしいところ。サーキットで本領を発揮するにせよ、日常域においても有効な空力アイテムとなっている。

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鋸歯形状が空気を細かく霧化することで渦による悪影響を減らしスタビリティを高める効果が期待できる。
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ドライカーボン製のウイング。下面には独自の鋸歯形状が与えられている。
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タイプRらしさを表現するフレームレッド色のドアミラーカバー。1万5400円。
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純正アクセサリーのカーボン製テールゲートスポイラーは遠目にも大きく変わっていることがわかる。

こだわりの詰まったインテリア系アイテム

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ドライカーボン製のインテリアパネル(4万7300円)とアルミと本革のシフトノブ(2万350円)はセット装着が映える。

ドライカーボンという本物志向の素材は、インテリア系アイテムにも使われている。

シフト周りとドアパネルに装着するインテリアパネルは、いずれもドライカーボン。テールゲートスポイラーと同様にレッドポリエステルが編み込まれた仕様で、内外装の統一感にも貢献する。テールゲートスポイラーとインテリアパネルをすべて装着すると、かなりの出費になるがトータルコーディネートを考えると、セット装着が理想といえそうだ。

またシフトノブも純正アクセサリーとしてオリジナルタイプを用意する。標準装着されるアルミ製シフトノブもタイプRらしいものだが、ブラックアルマイトをベースにレッドの本革を巻き付けた純正アクセサリーのシフトノブもタイプRの世界観で作られたものだ。夏や冬の操作性改善が期待できなど機能性にもアドバンテージを持っているのも見逃せない。

純正アクセサリーのインテリア系アイテムといえば、フロアマットは定番といえるが、シビックタイプRのフロアマットは素材・製法にこだわった専用品。

ポイントは、TYPE Rというアルミ製エンブレムを貼り付けている点で、ロゴをクリアに見せるべく、その部分だけマットの処理を変えている。さらに赤いマットは時間経過による退色も気になるところだが、そうした点についても配慮した上で、タイプRの世界観に合わせる色味とすべく多くの試作品を経て、完成したというこだわりの逸品なのである。

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ドアパネルのインテリアパネルもドライカーボン製。5万6100円
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定番のフロアマットは、タイプRのレッドカーペットに合わせた専用品。6万6000円
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フロアマットにTYPE Rロゴが入っていることからも専用品であることがわかる。
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アクティブにラゲッジを利用するユーザーにはCIVICロゴ入りラゲッジトレイ(1万4300円)がおすすめ。

イルミネーションにも初採用のアイデアがあった

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パターンプロジェクターや室内イルミネーションなどによりナイトドライブも華やかだ。

車両だけで500万円近いシビックタイプR、いくら速さにリソースを注ぎ込んだといっても、プレミアム感を求めたくなるのがオーナー心理というものだろう。

そうした気持ちに応えてくれるのが、イルミネーション系の純正アクセサリーだ。

やはり目立つのは、フロントドアの開閉に連動してTYPE Rのロゴを地面に映し出すパターンプロジェクター。ホンダの純正アクセサリーとしては初めて2色仕様となっているのは、イルミネーションにおいても究極を目指したことの証左だ。同時に、ドア開閉に連動してTYPE Rロゴを光らせるサイドステップガーニッシュも用意されている。

インテリアのイルミネーションとしては、スモールランプに連動するのがセンターコンソールボックスとドリンクホルダーのイルミネーションで、ホワイトとレッドを設定、どちらの色も価格は2万2000円となる。また、フットライト&シートアンダーライトもホワイトとレッドを用意、こちらの価格は1万7600円だ。

エンジンスイッチに連動する光のアイテムとして、インナードアハンドルとドアポケットのイルミネーションも用意されている。こちらもホワイトとレッドの2色から選ぶことができ、価格は1万4300円。いずれにしても、リーズナブルな価格でプレミアム感を増してくれるアクセサリーといえそうだ。

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サイドステップガーニッシュ(3万800円)は前後セット。フロントのロゴはドアの開閉に連動して点灯する。
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ドア開閉に連動して点灯するパターンプロジェクターはTYPE Rのロゴを映し出す。左右セットで3万8500円。

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…