知らない人のいない伝説的な四輪駆動車の現代版も『トミカ』になっています!

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.80 ジープ ラングラー

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
トミカ No.80 ジープ ラングラー (ハードトップ脱着・希望小売価格550円・税込)
トミカ No.80 ジープ ラングラー リヤビュー ハードトップ取り外し時

ジープとは、多国籍自動車メーカーのステランティスのブランドで製造される四輪駆動車です。もともとジープとはアメリカのバンタム社が原型を作り、ウィリス・オーバーランド社(以下、ウィリス社)やフォード社などが改良を施したうえで大量生産された軍用1/4トン積み小型四輪駆動車に対し、第二次世界大戦中に付けられたニックネームでした。それをウィリス社が登録商標とし、小型四輪駆動車の代名詞として広く世界中に知られるようになりました。このジープというニックネームがいったいどこから生まれたのかは、実は現在でも様々な説があって謎のままなのですが、「万能」を意味する“General Purpose(ジェネラル・パーパス)”という語から生まれたとする説が有力と言われています。

トミカがモデル化していると思われる3代目JK型ラングラーのフロントビュー(ルビコンXパッケージ/2014年モデル・本国仕様)
トミカがモデル化していると思われる3代目JK型ラングラーのリヤビュー(ルビコンXパッケージ/2014年モデル・本国仕様)

さて第二次世界大戦後、ウィリス社は軍用のジープをほとんどそのままの形で民間に一般販売しましたが、その悪路踏破力や多機能性などは、戦争から帰ってきた人たちからの高い評判などに裏付けられて大ヒットとなり、様々なバリエーションモデルも誕生。「ジープ」は単なるクルマの名前を越えて、「スポーツカー」や「ステーションワゴン」のように「ジープ」という一つの車種として世界的に扱われるようになります。

世界的に人気の高いジープですが、ぞれゆえに自分の会社からジープを販売したいという自動車メーカーも多く、製造メーカーの買収や合併などが何度も行なわれて商標の持ち主を変えながら、2022年現在はステランティスのブランドとして展開されています。

ジープの最大の魅力が悪路踏破力や多機能性だ。もちろんラングラーにも受け継がれている。

様々なバリエーションが作られたジープの中でも、第二次世界大戦中に活躍したジープの正統的な後継者として位置づけられるのが、ジープ・ラングラーです。第二次世界大戦末期に民間用ジープとして誕生したCJジープの後継として1987年に初代モデルのYJ型が誕生、2代目のTJ型、3代目のJK型を経て、現在は2018年に登場した4代目となるJL型が最新モデルとなります。

JL型のラングラーは長年にわたり継承されてきた伝統のスタイリングや独自の世界観を変えることなく、走破性能、現代のSUVに求められる快適性や安全性、燃費性能を大幅に向上させています。また、入念な調査から得られたユーザーの声を分析しながら、ラングラーとしてあるべき理想の姿を徹底的に追求しています。

デザインは1955年に誕生した民間用ジープ――CJシリーズ――のデザインを色濃く反映。特に、ヘッドライトの内側が伝統の7スロットグリルにまで食い込んだデザインや、台形のフロントフェイシアは、その面影を色濃く反映しています。また、ヘッドライトおよびフォグライト、テールランプ、デイタイムランニングライトのすべてをLED化、ラングラー史上初のLEDライト搭載モデルとなっています。

ルーフの着脱が可能なフリーダムトップを備え、2種類のスタイリングによるドライブを楽しむことができる。

ボディパネルは軽量かつ高強度の素材で構成されており、ドアパネルやフェンダー、ウインドシールドフレームにはアルミニウムを、スイングゲートの骨格部分や内側パネルにはマグネシウムを用いることで、車両重量の大幅な軽量化を実現しています。さらに、日常のみならず過酷な運転状況下での使用までを考慮し、実用面での大幅な進化を達成。フロントのウインドシールドの傾斜角を5.8度寝かせると共に、アコースティックウインドシールドを採用することで、空気抵抗や走行ノイズを大幅に低減しています。また、脱着可能なフリーダムトップについては、軽量化や取付けメカニズムの見直しにより、トップの取り外しが容易に行なえるようになっています。トップ取り外し箇所のウェザーストリップを二重構造化し、ピラーに水抜きのドレーンパイプを組み込むなど雨漏れ防止対策も強化されています。

伝統的な水平基調のデザイン尾ダッシュボードが採用されているJL型のコクピット。

インテリアもCJシリーズを彷彿させるデザインで、水平基調のダッシュボードを採用。車内は、ホイールベースの拡大により居住スペースが拡大した上に、後席の背もたれの形状や角度が最適化された結果、室内の快適性が大幅に向上しています。またドア機構には、乗降時にドアから手を離しても一定の位置でホールドするストッパーを採用、より快適な乗降を可能としています。

4代目JL型に搭載されている新開発の2.0ℓ直4直噴ターボ、N型エンジン。

エンジンは新開発の2ℓ直列4気筒直噴ターボエンジンと、改良型の3.6ℓV型6気筒“ペンタスター”エンジンの2種類を設定。いずれもSTART /STOPシステムを備えています。2ℓターボエンジンは、ツインスクロール式ターボチャージャーの採用により、低回転域から高回転域まで優れたアクセルレスポンスを発揮。タービンはシリンダーヘッドに直接取り付けられ、排気ガスの低減と共に耐久性の向上が図られています。また、ターボエンジンである一方で、経済的なレギュラーガソリン仕様となっています。改良型の3.6ℓエンジンには、エンジン回転数と負荷に応じて、インテークバルブのリフト量を2段階に変化させる2ステージバリアブル・インテーク・バルブリフト機構を採用。この高効率エンジンに、8速オートマチックトランスミッションを組み合わせることで、従来モデルに比べて燃費は23%も向上しています。

ジープの大きな魅力の一つでもある強力な4WDシステムは急傾斜や悪路を物ともしない。

4WDシステムには、従来のパートタイム4WDに加え、ラングラー史上初となるフルタイムオンデマンド4WDシステムが全車に採用されています。このシステムは「4H オート」モードを新たに備え、路面や天候状況に応じて駆動力を自動的に前後配分し、舗装路を含むあらゆる路面を安全かつ快適に走行できます。また、オフロードでは「4H」または「4L」のパートタイムモードに切り替えることでセンターデフのロックが可能となり、強力なトラクションを発揮します。安全装備については、後退時の後方確認を補助するパークビュー・リヤバックアップカメラや、パークセンス・リヤパークアシストを全車に標準装備しています。

さて、『トミカ』の『No.80 ジープ ラングラー』は全体のデザインと2015年に発売されたことから、2018年にデビューした最新のJL型ではなく、2007年にデビューした3代目のJK型をモデル化しているようです。4代目とはフロントのウインドシールドの角度が大きな違いですが、全体のデザイン・イメージは歴代、元祖のCJシリーズを引き継いでいますので、あまり気にはならないかも知れません。また、この『No.80 ジープ ラングラー』は実車の『フリーダムトップ』を再現してかハードトップの脱着が可能で、大きく異なる2種類のスタイリングを楽しむことが出来ます。ぜひともコレクションに加えたくなる魅力的な1台です。

■ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン 2.0L 主要諸元(『トミカ』車両と同じ規格・仕様ではありません)

全長×全幅×全高(mm):4870×1895×1855

ホイールベース(mm):3010

トレッド(前後・mm) :1600

車両重量(kg):1950

エンジン形式:N型直列4気筒DOHCターボ

排気量(cc):1995

最高出力:200kW(272ps)/5250rpm

最大トルク:400Nm(40.8kgm)/3000rpm

トランスミッション:8速AT

サスペンション(前後):コイルリジッド

ブレーキ(前/後) :ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤ:(前後) LT255/75R17

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部