GMが2022年の業績見通しを上方修正。2025年にはEVの年間生産能力100万台突破へ

ゼネラルモーターズ(GM)は11月17日、投資家向け説明会において北米におけるEV事業の見通しを発表。急速に拡充するEVのラインナップによる北米でのEVの年間100万台以上の量産、ソフトウェアの販売拡大、温室効果ガス削減によるめざましい成果と、新たなクリーンエネルギー税額控除のメリットによって、2025年には北米のEV事業が黒字化するとの予測を示した。

2025年までにピックアップトラック、SUV、ラグジュアリーの各セグメントで複数のEVモデルを投入

ゼネラルモーターズ(GM)は11月17日、投資家向け説明会において北米におけるEV事業の見通しを発表。急速に拡充するEVのラインナップによる北米でのEVの年間100万台以上の量産、ソフトウェアの販売拡大、温室効果ガス削減によるめざましい成果と、新たなクリーンエネルギー税額控除のメリットによって、2025年には北米のEV事業が黒字化するとの予測を示した。

メアリー・バーラ会長兼CEOはこのように述べている。
「GMのEV販売の拡大は、研究開発、デザイン、エンジニアリング、生産、サプライチェーン、そして業界最高を目指して設計された新たなEVカスタマー・エクスペリエンスに対する長年にわたる投資の成果です。GMのマルチブランド、マルチセグメント、マルチプライスのEV戦略は、収益と市場シェアを拡大するための大きな推進力であり、『アルティウム』プラットフォームと垂直統合によって、バッテリーの性能とコストを継続的に改善できると確信しています」

メアリー・バーラ会長兼CEO

2025年には、米国での自動車販売台数に占めるEVの割合が20%に近づくと見られており、GMはEVのリーダーになる目標に向けて、今後3年間で極めて積極的な取り組みを計画している。具体的には以下の内容が挙げられている。

・EV業界の約70%を占めるピックアップトラック、SUV、ラグジュアリーの各セグメントで複数のモデルを投入する。これにはシボレーの「シルバラードEV」「ブレイザーEV」「エクイノックスEV」、キャデラックの「リリック」、GMCの「シエラEV」が含まれている。
・米国のディーラー・パートナーとともに新しいデジタル・リテール・プラットフォームを構築し、顧客のEVの注文や購入プロセスを効率化させ、1台あたりのコストを約2000ドル削減する。
・米国、カナダ、メキシコの5カ所のGM組立工場でEVを生産する。
・GMが立ち上げたEV、eカート、ソフトウェアを手掛ける技術系スタートアップ企業のブライトドロップは、カナダ・オンタリオ州にあるGMのCAMI工場で来年、配送バン「ブライトドロップ Zevo 600」のフル生産を開始。2025年までに年間生産を5万台に拡大する計画で、2023年までに10億ドルの売上を達成する見込み。
・GMのバッテリーセル合弁会社であるアルティウムセルズは、2024年末までにオハイオ、テネシー、ミシガンの各州で工場を稼働させ、バッテリーセル生産で米国トップの企業となる見通し。米国で4カ所目となるセル工場も計画中。
・2025年の生産能力目標の達成に必要なすべてのバッテリー原材料について、法的拘束力のある合意を締結している。
・2025年以降も原材料の確保のため、戦略的な供給契約や天然資源の回収・加工・リサイクルへの直接投資を継続する。
・GMのEVの成長は、市場を牽引するピックアップトラックやSUVなど、現在北米において利益率の高い内燃エンジン車のラインナップ、優れた品質、ディーラーの販売・サービスにおける一貫して高い顧客満足度に支えられ、実現している。

2023年にシボレーとGMCは、同年前半に発売される2024年型「シボレー・シルバラードHD」と「GMCシエラHD」、ミッドサイズピックアップトラックの新型「シボレー・コロラド」と「GMCキャニオン」によって、ピックアップトラック市場における優位性を高める計画だ。

エグゼクティブ・バイス・プレジデントのポール・ジェイコブソンCFO

そして、エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・ファイナンシャル・オフィサーを務めるポール・ジェイコブソン氏は、今回の投資家向け説明会で2022年の利益予想を修正し、投資家が2025年にかけてGMの変革と財務業績を追跡できるように、いくつかの重要業績評価指標(KPI)を示した。KPIには、最近法案が成立したクリーンエネルギー税額控除によるプラス効果は反映されていない。ジェイコブソン氏は次のように述べている。
「GMはEVラインアップを急速に拡大し、多額の投資を行っている期間中でも利益を確保し、高い利益率を維持するための基盤を築きました。GMの『アルティウム』プラットフォームとバッテリー技術は、常に改良し続けることで、より安価になっていきます。また、当社にはEV、クルーズ、ソフトウェア定義車両、ブライトドロップなどの新規事業において、10年以内に売上ならびに利益率の目標達成に貢献するような企業全体の勢いがあります」

GMは今回、2022年通期の調整後オートモーティブ・フリー・キャッシュフローの見通しを従来予測の70億〜90億ドルから100億〜110億ドルに引き上げた。調整後EBIT(Earnings Before Interest and Taxesの略で利払い前の税引前当期利益のこと)は同130億〜150億ドルに対し、135億〜145億ドルと範囲を縮小した。2023〜2025年のKPIは下記のとおり。

・EVの販売台数とソフトウェア収入の増加に伴い、2025年までGMの総売上高は年率12%増で成長し、2250億ドル以上に達すると見込まれている。EV事業からは、2025年に500億ドル以上になると予想している。
・2022年から2024年上半期までに北米で40万台のEVを生産し、2025年には北米で年間100万台まで生産能力を拡大する計画。
・2020年代半ばまでに、米国でのバッテリーセル生産能力が160GWh以上、1日あたり120万セルに達する見通し。
・2020年代半ばから後半に向けて、次世代「アルティウム」バッテリーの生産コストを70ドル/kWh以下にすることに取り組んでいる。•2025年までの総設備投資額は、継続的かつ健全なキャッシュフローにより、年間110〜130億ドルになる見込み。
・GMはこの成長投資の期間、北米における従来のEBIT調整後マージン8〜10%を維持すると想定。

なおGMは、2025年のEVポートフォリオのEBIT調整後マージンは、クリーンエネルギー税額控除によるプラスの影響を受ける前で、1桁台前半から半ばになると予想している。

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