環境にやさしいクルマ、そのスタートは1960年代まで遡る!

クルマを走らせるためのクリーンエネルギーって一体なに? #そこが知りたいEVのこと PART4

クルマの燃料と言えばガソリンやディーゼルが当たり前…、だった時代が今や大きく変わりつつある。電気に水素、タクシーなどに使われているLPG(液化石油ガス)、植物などバイオマス(生物資源)を原料とするバイオ燃料などなど。4時限目の今回は、クルマを動かす燃料に注目してみた。

クリーンエネルギーの「クリーン」とは「環境にやさしい」という意味!

最近は、クルマに関する環境というと「カーボンニュートラル」という言葉をよく耳にするようになりました。これは、地球温暖化という環境問題に対して、人が社会活動の中で生み出す二酸化炭素(CO2)の「出」と、緑地化や環境保全によるCO2の「入り」を相殺するという考え方です。

つまり、「環境にやさしい」クリーンエネルギーという大きな括りの中に、CO2に着目したカーボンニュートラルが含まれているのです。

では、クリーンエネルギーという発想でのクルマは、いつ頃から具体化してきたのでしょうか?

時計の針を少し戻してみますと、まず「環境にやさしいクルマ」という発想は、1960年代に注目されるようになりました。背景にあったのは、日本を含めてアメリカや欧州などで高度経済成長期の反動で生じた、環境汚染です。多くの人がより良い生活を求めたことで、世の中の流れが大量生産大量消費型へと大きく変化していきました。移動については、いつでもどこへでも自分の思うままに移動できる自家用車が一気に普及していきます。

結果的に、さまざまな生産工場の排出物や、クルマの排気ガスによりヘドロやスモッグなど、人のカラダに悪影響を及ぼす現象が多発します。

そうした社会課題の解決方法として、まず行われたのが公害を起こさないための法律による規制です。クルマについては、排気ガス規制が施行されました。

改めてクルマの原理を考えてみますと、クルマが動く力は、内燃機関(エンジン)の中でガソリンやディーゼル燃料を燃焼させ、その熱エネルギーを機械が運動する力に変えるという仕組みです。

エンジンの気筒内で燃焼後のガス(排気ガス)には、一酸化炭素、窒素酸化物、また黒煙などが含まれています。排ガス規制をクリアするため、自動車メーカーは、例えばホンダの初代「シビック」が採用したCVCCなど、「より綺麗な燃焼によって排気ガスを綺麗にする工夫」が研究開発されました。

また、排気ガスを浄化するために、各種の金属や液体を使う触媒の技術の研究開発も同時に進んでいきます。

その次の段階として1980年代から徐々に広がり始めた、排気ガスを出さない、または排気ガスの成分が人体や環境に与える影響が少ないエネルギーの研究開発です。

これを一般的に「次世代環境車」と呼びました。

代表的な次世代環境車としては、電気自動車、アルコール燃料車、水素自動車です。

さらに、90年代以降になると、プリウス登場を機にハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車、クリーンディーゼル車の開発が本格化していきます。

そして、2010年代になるとSDGs(持続可能な開発目標)など、環境に対する国際的な指標が生まれ、再生可能エネルギーへの注目が高まりました。

このように、クルマのクリーンエネルギーはこれまで、さまざまな議論や実験を経て、今まさに実用化のステージに入ってきたと言えるでしょう。

著者PROFILE●桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

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