常時噛合式スターターの仕組み。どこが「常時噛合」っているのか。[内燃機関超基礎講座]

メイン画像:デンソー製の常時噛み合い式スターター。エンジン逆転防止クラッチやダンパーなどを備え、エンジン停止時の振動と始動時の騒音を抑制する構造。
アイドルストップの普及は、スターターへの負担を意味する。素早くスムーズ、かつ頻繁な再始動をいかに実現するか。その回答のひとつが常時噛み合い式のスターターである。
TEXT&PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

 最もコンベンショナルなアイドル・ストップ機構は、通常の始動手順を繰り返すやり方だ。すなわち、スターターモーターのピニオンギヤをフライホイールのリングギヤに飛び込ませる方式である。しかし、アイドル・ストップのたびにいちいちこれを繰り返したのでは手間がかかるし音も出る。ならば、ピニオンギヤとリングギヤを常に噛み合う状態にしておけば面倒がない。それが常時噛み合い式スターター。日本導入は2010年の3代目ヴィッツが初だった。

ピニオンギヤの下側がフライホイールのリングギヤと常に噛み合う構造。コンベンショナルな方式ではエンジン始動時にクランクシャフトの回転変動によってノイズが発生するが、常時噛み合い式は変動の影響を受けず、歯打ち音が消失しノイズが低減する。

 常時噛み合い式のメリットは再始動時の素早さである。ギヤがあらかじめ噛んでいるのが最大の要因。コンベンショナルな方式ではエンジンが完全に停止しないとリングギヤにピニオンギヤを飛び込ませることはできないが、常時噛み合い式なら待ち時間は必要ない。止まってすぐ発進するような状況でのレスポンスに優れる。

 実は再始動だけでなく、停止も早い。飛び込み式は再始動に手間がかかるゆえ、ドライバーが本当に止まる意思があるかどうか確認が不可欠。そのため、停止後1秒程度様子を見てからエンジンを止める。常時噛み合い式にその必要はないので、停止後即座に止められる。わずか1秒の違いだが、体感上も燃料消費上も大きな違いを生み出す。

エンジン始動後にそのままピニオンギヤが回り続けると数万rpmにも達するので、大きな回転抵抗になる。そこで、フライホイールにワンウェイクラッチを内蔵。エンジン始動後、リングギヤは停止する。

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