ams OSRAM:使い捨て内視鏡用に世界最小のデジタルカメラモジュール「NanEyeM」を提供

ams OSRAMの日本法人は、NanEyeポートフォリオを拡大し、使い捨て医療用内視鏡用カメラモジュール、NanEyeMを発表した。

 NanEyeMは、デジタル内視鏡用カメラモジュールの分野において、現行の市場基準を満たす高解像度を最小サイズで提供する。気管支鏡などの内視鏡検査では、近年、再使用可能な気管支鏡から使い捨ての気管支鏡への移行が加速しているが、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、使い捨て気管支鏡への需要がさらに高まっている。使い捨て用として開発されたNanEyeMは、高レベルの無菌性を確保でき、二次汚染の可能性が低減される。これは、新型コロナウイルスを発症した重篤な患者にとって必要不可欠である。1.0mm×1.0mm×2.7mmの小型サイズで、非常に狭い場所でモジュールを使用することができる。

 ams OSRAMのマーケティングマネージャー、ディナ・アギアル氏(Dina Aguiar)は次のように述べている。「NanEyeMは、その省スペース性により、気管支鏡検査、泌尿器内視鏡検査、腎臓内視鏡検査などにおける使い捨て用途を含め、サイズが厳しく制限される分野での使用に適しています。必須である高画質との組み合わせにより、このカメラモジュールは急成長している使い捨て内視鏡市場において、独特で魅力的なソリューションとなっています」

■NanEyeMの構造

 このモジュールは、いわゆる「Chip-on-tip」方式を採用している。ここでは、イメージセンサと光学系がデバイスの先端(遠位端)に配置されている。これにより、カメラモジュールが他方の一端、すなわち近位端に配置されている場合に比べて、画質が大幅に向上する。NanEyeMは、完全に一体化された画像処理モジュールであり、ウェハレベルの多素子光学系により高画質を実現する。これは、近距離での最適なパフォーマンスを実現するために特別に設計されている。広い視野(FoV)と広い被写界深度(DOF)を組み合わせたレンズは、歪みを抑え、鮮明で正確な画像を実現する。このカメラは、デジタルLVDS(Low Voltage Differential Signaling)シリアルインターフェースを採用しており、高いS/N比(SNR)を提供する。

 このため、カメラは信号の完全性を損ったり、ノイズを増加させたりすることなく、長尺のケーブルで伝送することができる。さらにNanEyeMは最大49fps(1秒あたりフレーム数)のフレームレートを誇り、低消費電力を維持しながら、幅広い標準インターフェース上で滑らかかつ遅延の少ない表示を可能にしている。イメージセンサは高感度の画素により、必要な照明が少なくて済む。これにより、デバイス先端部の発熱が抑えられる。このモジュールには、顧客の要件に応じて最大3mの長さまでカスタマイズ可能なケーブルが付属する。この付属のケーブルを使用することで、内視鏡機器へのスムーズかつシームレスな組み込みを確実に行うことができる。また、先端部にLED光源を追加することも可能。

■NanEyeMがスペースとコストを節約

 NanEyeMの完全デジタル出力は、アナログ‐デジタル変換(ADC)がチップ上で行われるため、外部ADCのコストが不要になる。このモジュールは、手術環境における医療機器からの磁気干渉(EMI/EMC)の影響を受けにくいため、同軸ケーブルやシールドケーブルも不要になる。あらかじめケーブルが接続されているため、追加の取得コストを回避でき、内視鏡の製造コストを削減できる。使い捨て内視鏡にNanEyeMを使用することで、非常に衛生的になるだけでなく、日常の臨床現場でありがちな再使用可能な内視鏡のメンテナンス、再処理、修理のコストを削減することができる。さらに、次に使用する前に滅菌する必要がないため、いつでも使用可能である。このモジュールは、コスト競争力と供給力を確保するために、大量生産を前提に設計されている。

 NanEyeMは、ams OSRAMのNanEye2Dの第2世代である。このカメラモジュールは生産が開始されており、注文を受け付けている。

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