【海外技術情報】コンチネンタル:レトロと未来の出会い。最新の表面技術と持続可能な材料を採用した未来のインテリア

VW『ID BUZZ』が今話題だが、昨秋、コンチネンタルがVW『T2』をベースにしたコンセプトカー『AMBIENC3』を発表していた。コンチネンタルによると、未来のデジタルで接続された持続可能な乗り物は運転、仕事、リラックスという3つの活動を統合するという。それを念頭に置いたコンチネンタルは、新しい表面技術と持続可能な材料の採用により、未来のインテリア=完璧に近い車内空間、を実現したという。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

『AMBIENC3』は運転、作業、リラックスを統合する。このコンセプトカーは、革新的かつ持続可能な材料から作られた、新しい技術が満載されている。コンセプトカーのベースとされたのはVW『T2マイクロバン』。感情的で魅力的な『T2』は、レトロな魅力と将来の方向性のための、出会いの場を提供する。

持続可能性に焦点を当てる

表面の開発には、天然および再生可能な原材料、それにリサイクルおよび再生された材料が使用された。だが、品質には一切妥協していない。コンチネンタルの表面部門においてイノベーション、トランスフォーメーション、デザインのグローバルディレクターを務めるラルフ・インベリー氏は以下のように述べた。

「『AMBIENC3』はCO2低排出、汚染物質も低排出だから、ドライバーと同乗者は心地よく過ごすことができます。軽い表面は車両重量の低減にも貢献しています。これによりエネルギー消費量が削減され、ひいてはCO2排出量が削減されますから、航続距離も長くなります」

自然かつ繊細な明るい色と、穏やかに流れるようなフォルムが『AMBIENC3』のインテリアの要素を定義し、居心地の良いモダンな雰囲気を醸し出す。このインテリアは、ここで仕事をする際にはやる気を、また同乗する時間を楽しむ際にはリラックスするのに役立つ。ボタンやスイッチは見当たらない。『AMBIENC3』の機能は常に直感的に使用できるが、永続的に表示されるコントロールは存在しない。「オフ」モードになっている間、表面の機能を見ることはない。

デザインと機能は密接に関係している

もうひとつの革新的なハイライトは、様々な雰囲気を醸し出す光と音のコンセプト、それに加熱可能な素材の使用である。機能的な印刷方法を使用して作成された素材は、数秒で熱を発生させる可能性がある。また、表面素材の多くは、最適化された汚れ耐性、高い耐摩耗性、さらには損傷が発生した場合の自己回復などの特別な機能を与えられている。

自動運転にも配慮している。完全自動運転の時代が到来するまでであっても、これからのドライバーはハンドル操作や加減速といった、運転以外の行動に費やす時間が増えて行く。そのため新しいコンセプトカーには、ドライビングゾーンに加えて、作業エリアとリラックスエリアが設けられており、それぞれは独自のデザインと素材へのアプローチが採用されている。インテリアに焦点を合わせると、そこで採用される表面材料が、これまで以上に重要になって行く。これは最終的には車内のアップグレードに繋がる。それらはより視覚的に魅力的である必要があり、表面は優れた触覚体験を提供する必要がある。光や音などにより、それらが強化される。

カスタマイズされたソリューション、革新的なテクノロジー

『AMBIENC3』は特に顧客志向において、新しい基準を設定する。コンチネンタルはデジタル印刷技術を使用しており、カスタマイズできる多様な表面技術を有している。顧客の個々の要件に合わせてそれらを調整して、新しい驚くべき機能を備えたインテリアにアップグレードして、自動車メーカーに多様なオプションを提供して行く。

コンチネンタルが開発したテクノロジーを採用した『AMBIENC3』の表面は、オールラウンダーとして際立っている。たとえば、ステイニュ(筆者注;stay newに由来する名称)テクノロジーは、表面の汚れに強く、手入れは簡単であり、これまで以上に高耐久性を持たせることができる。名前が示すように、このテクノロジーは、素材を長期間、新品同様に保つことができる。この素材はドライバーズシートに使用されている。もはや汚れは問題ではなく、素材は長持ちし、低コストで環境に優しいものとなる。

その他の表面は、優れた通気性と並外れた柔らかな感触を提供するlaifテクノロジーを使用している。その使用により、通気性のある表面仕上げが受動的な温度制御を提供することができる。本革のルックアンドフィールを提供するlaifテクノロジーを採用した表面は、動物が命を落とす必要のない優れた代替品となるだろう。

天然および再生可能な原材料、それにリサイクルおよび再生された材料が使用された。
オンボード機能は常に直感的に使用できるが、永続的に表示されるコントロールは存在しない。「恥ずかしがり屋のテクノロジー」が採用される。

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著者プロフィール

川島礼二郎 近影

川島礼二郎

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系…