ルネサス:Armの最新Cortex-M85プロセッサを搭載したマイコンの実動作デモを、業界で初めてEmbedded World 2022で展示

ルネサス エレクトロニクスは、このたび、Armが2022年4月に発表した最新Cortex-M85プロセッサを搭載したマイコンの実動作デモをEmbedded World 2022で、業界で初めて展示することを発表した。Embedded World 2022は、6月21日から24日までドイツのニュルンベルクで開催され、ルネサスはホール1、スタンド234(1-234)に出展する予定。

ルネサスは、2019年10月にArm Cortex-Mコア搭載のマイコン「RAファミリ」を発表し、Armベースのマイコン市場に参入した。ルネサスはこれまでに、17グループ、200以上の製品を発表し、Armマイコンのリーダとしての地位を確立しつつある。ルネサスはまた、パートナ各社との強固なエコシステムを構築し、IoT、AI/ML(機械学習)、産業オートメーション、医療、ビルディングオートメーション、家電など様々なアプリケーションに向けて、すぐに使える包括的なソリューションを提供している。

Arm Cortex-M85プロセッサは、高度なDSP(デジタル信号処理)/ML処理を可能にするArmのMプロファイルベクトル演算拡張機能Heliumテクノロジを備えており、エンドポイントでのAI処理などの高い演算性能を必要とするアプリケーションの動作を可能にする。Cortex-M85は、6 CoreMark/MHz以上の高い周波数性能を実現しており、高い演算性能とDSP/ML機能を必要とする要求の厳しいIoTユースケースを、プログラミングが容易なCortex-Mプロセッサ1つで実現する。Cortex-M85は、決定論的な動作、短い割り込み応答時間、最先端の低消費電力など、Cortex-Mの本来の特長も備えている。

ルネサスは、Cortex-M85プロセッサを搭載した新シリーズのRAマイコンを開発中で、2023年にリリース予定である。新たなRAマイコンは、画期的な性能と決定論的で低レイテンシのリアルタイム動作を実現し、多くの市場において要求の厳しいアプリケーションニーズに応える。性能面ではマイコンとMPU(マイクロプロセッサユニット)との間のギャップを埋める位置づけとなり、マイコンの低消費電力と使いやすさを活かして、複雑かつ計算量の多いアプリケーションに対応する。マイコン用に開発したソフトウェアを流用できるようにすることで、MPUベースのシステムへ移行する際のコストを削減することができる。他のRAマイコンと同様に、新たな製品も、豊富な周辺機能、メモリ、低消費電力といった特長を継承する予定である。

Armv8-MアーキテクチャのCortex-M85コアは、セキュアな資産を保護するArm TrustZoneテクノロジをサポートしている。ArmのTrustZoneと、ルネサスの暗号エンジン、イミュータブルストレージ、鍵管理、DPA/SPAサイドチャネル攻撃に対する改ざん防止機能を組み合わせることにより、包括的で強固なセキュリティ機能を提供する。また、Armv8.1-Mアーキテクチャは、ソフトウェア攻撃の脅威軽減を強化したポインタ認証および分岐ターゲット識別(PACBTI: Pointer Authentication and Branch Target Identification)を採用することで、セキュリティ規格「PSA Certified Level 2」の準拠に役立つ。

もちろん、ルネサスのRAファミリとして、FSP(Flexible Software Package)を利用できる。FSPは、RTOSやBSP(Board Support Package)、周辺ドライバ、ミドルウェア、コネクティビティ、ネットワーク、セキュリティスタックなどの基本ソフトウェアに加え、複雑なAI、モータ制御、グラフィックソリューションを構築するためのリファレンスソフトウェアを提供し、迅速なアプリケーション開発を実現する。ユーザは独自のソフトウェアコードやRTOSをFSPに統合することができるため、アプリケーション開発に柔軟性を持たせることができる。FSPを使用することで、既存の設計を新しいRAデバイスに容易に移行することができる。

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