CX-60のドライバー・パーソナライゼーション・システムは、思い込みを是正してくれるかもしれない機能

マツダCX-60が備える安全技術のトピックのひとつであるドライバー・パーソナライゼーション・システムは、ひょっとすると自己流で凝り固まった運転技術の思い込みをやわらかくしなやかに是正してくれる、画期的な機能かもしれない。

 自動ドライビングポジションガイドを試すことができた。本機能は、ドライバーの体格からまず推奨位置にクルマがポジションを提案、その後ドライバー自身が案内に従って好みの位置に微調整していき、登録するというもの。2名までを登録でき、登録後は乗車時にクルマがドライバーを判断、あらかじめ決めておいたポジションに自動調整する。

 設定には5分程度の時間が必要。とはいえ、操作がややこしかったり難しかったりすることは一切ない。こちらから起こすアクションは、自身の身長を選択入力するのみ。じつは着座した時点で、センターディスプレイに備わるカメラとセンサが目の位置をすでに把握、身長値と合わせて「だいたいこのくらいのポジション」というものをシステムが弾き出している。目の位置と身長という少ないデータから体格を割り出すのは相当難しいのではときいたところ、相当な量のモデルがシステムに含まれていて、そのモデルを作るのが非常に難しく難儀だったという。ちなみに男女の性差はここでは認知せず、あくまで先述のふたつのデータからポジションを割り出す仕組みとしている。現況、難しそうなのは痩身/肥満の差か。大きく腹が出ているので同身長の人に対してシートを引かないとステア操作ができない、というようなケースだ。

ドライバー・パーソナライゼーション・システムという大きな機能のなかで、キーとなるのが自動ドライビングポジションガイド。そのほかにも、ご覧のようなセッティングを「その人の設定」として覚えこませることができる。

「誤解していただきたくないのが、この機能が『自動ドライビングポジションフィッター』ではないということです。自動的にドライバーのベストポジションにもっていくのではなく、ドライバーご自身がクルマとやりとりしていただくことでベストなところを探っていくことを重視しています」

担当エンジニア氏はこのように説明する。押し付けではなく寄り添い。人馬一体を重要なテーマとして掲げるマツダではあるが、一方通行ではなく相互理解を目指していることがうかがえる。正しいポジションをとれば疲労や違和感は最小限に抑えられ、結果として長時間の運転やアクティブなドライビングがより楽しめる——というロジックだ。

 逆にとらえれば、それだけ「ふさわしいポジション」にできていないドライバーが非常に多いということ。そもそもクルマのシートに座るという行為自体は、身体が悲鳴をあげるようなストレス環境ではないはず。楽だからという理由で座面を著しくうしろに引いたり背面を大きく倒したりということが、じつは余計に疲労を招いているのだとしたら、これは本人にとっても不幸な話である。運転経験が長くなるほど自身の「お作法」は膠着していき、他者から「それはおかしい」と指摘されることに大きな反発を抱く。ならばシステムが「あなたの体格ならこのポジションでいかが」と提案(というのがいい)してくれるのは有意義なのではないだろうか。

 ちなみに、自身で体感した「提案」に対する素直な感想は、シートがやや引き過ぎ、ステアがやや近くて高いという具合だった。この「やや」というところに少々安心した次第。どうやら、とてもおかしなポジションで運転し続けてきたということではなかったようだ。

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