大豊工業:鉛フリーのメタル軸受の難しさと克服[人とくるまのテクノロジー展 2022 NAGOYA]

耐焼き付き性能に優れる鉛を、環境負荷の視点から完全代替したい。課題は大きかったが、大豊工業はビスマス-アンチモン合金によってこれを成立させた。

乗用車用では使用が禁止されているメタル軸受への鉛の適用、しかしディーゼルエンジンやモーターサイクル用エンジンではなお、使用が継続されている。これは高い筒内圧@ディーゼルや高回転対応@モーターサイクルへの手当てと思われ、しかし環境負荷が大きいことから完全代替は大きな課題として立ちはだかっていた。大豊工業の「高筒内圧エンジン用Bi合金オーバレイ軸受」は、これを実現したエポックな製品である。

本製品は、鉛の代わりにビスマスとアンチモンの合金をオーバレイとして用いることが特長。これまでも鉛代替を狙いビスマスが検討されてきたが、これのみだと脆性に乏しく高荷重とすると割れるような疲労剥離を起こしてしまうのが悩みだった。同製品はビスマスに加えてアンチモンと合金化しながら表面処理することで、脆性を高めることに成功。さらに燃料/潤滑油中の硫黄分と反応することが悩みだった酸化反応についても進行を抑制する両得構造としている。これにより、ディーゼルエンジンながら乗用車エンジンの鉛フリー化にいち早く適合した。

すでにトヨタ・ランドクルーザーに搭載されるディーゼルエンジン:F33A-FTVに採用されている。

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部