IHIがCO₂と水素から燃料をつくるメタネーション装置を販売開始。設計標準化により短納期かつ高拡張性を実現。

IHIは、二酸化炭素(CO₂)と水素(H₂)を反応させて1時間に12.5Nm³の合成メタン(CH₄)を製造する小型メタネーション装置の販売を開始したことを発表した。本装置は工場や研究所、事業所などにおけるカーボンニュートラル実現に向けた検討のために、IHIのメタネーション装置を試験運用したいという多数のニーズから製品化したもので、設計標準化により、導入コストを抑え、短納期での納入を可能とした。

メタネーションは、二酸化炭素と水素を触媒で反応させることで、燃料である合成メタンを製造するカーボンリサイクル技術である。この合成メタンは、事業所で排出されるCO₂から製造し天然ガスの代替燃料として所内で使用することや、都市ガス導管への注入により、他の事業所や一般家庭で使用することができる。既存の都市ガスインフラを活用できることから、メタネーションはカーボンニュートラル実現に向けたキーテクノロジーの一つとして期待されている。

IHIはこれまでに,高性能で長寿命な独自のメタネーション触媒と、石油化学用リアクターなどの反応器設計技術を生かし、高効率なメタネーション装置開発の取り組みを進めてきた。現在は、メタネーション設備の大型化や、CO₂からプラスチック原料である低級オレフィン製造技術の開発などが進められている。またCO₂回収技術も保有しており、メタネーションとCO₂回収技術を組み合わせた効率的なソリューションが提供されている。
加えて、IHIは「環境価値管理プラットフォーム」により設備の運転データから算出したCO₂排出/削減量をブロックチェーン技術により記録・見える化され、環境価値に変換して外部市場に流通させるサービスが展開されている。これを適用することで、合成メタンの環境価値を定量化・デジタルアセット化し、メタネーションの社会実装を一層促進することが可能となる。さらに、メタン合成に必要な機器をコンパクトな筐体にパッケージ化しているため、短期間で容易に据付することができ、かつ本装置を複数導入することにより、メタン製造量を拡張することが可能となる。 

装置の仕様:

方式:サバティエ方式
反応器型式:シェル&チューブ
合成メタン製造量:12.5 [Nm³/h]  *低負荷運転も可能
エンクロージャ寸法:幅2,250mm×長さ6,100mm×高さ2,850mm

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