アウディQ8 e-tronのシートベルトバックルカバーは革新的なリサイクルプロセスで廃棄プラの削減に貢献

アウディは11月23日に、Audi Q8 e-tronモデルのシートベルトバックルに使用する最先端のプラスチックカバーを公開した。ケーシングの一部は、ケミカルリサイクルと呼ばれる革新的なプロセスにより、自動車の混合プラスチック廃棄物から製造されている。

アウディがこの方法で安全関連パーツを製作するのは今回が初めて。このパーツの開発にあたっては、PlasticLoopプロジェクトと連携し、パイロットプロジェクトの調査結果に基づいて、プラスチックメーカーの LyondellBasellと革新的なプロセスが確立された。

今回公開されたビデオでは、修理不能なプラスチック部品が顧客の車両から取り外され、金属クリップなどの異物が除去された後、小さな破片に分解され、ケミカルリサイクルによって熱分解油に加工される様子が紹介されている。この熱分解油は、マスバランスアプローチと呼ばれる枠組みの中で、新しいプラスチック製造の原料として使用される ※1。このようにして生成されたプラスチック顆粒は、Q8 e-tronシートベルトバックルカバーの製造に使用される。

アウディは、このプロセスを通じて、他のプロジェクト参加者とともに、これまではエネルギー回収用にしか利用できなかった物質のリサイクルフローを確立することに成功した。この作業により、化石原料をより長期間にわたって使用することが可能になると同時に、Q8 e-tronの生産において一次原料の購入を削減することができる。熱分解油から製造された素材は、新しく製造されたプラスチックと同じ高い品質と技術的特性を備えている。

※1:シートベルトバックルカバー用のプラスチック顆粒(充填剤や添加剤を含む)には、リサイクルプロジェクトで生産された熱分解油から生成されたプラスチックが少なくとも70%含まれている。この熱分解油は、プラスチック顆粒の製造プロセスで追加される。プラスチック顆粒に熱分解油を混合するプロセスは、認証を受けたクレジットトランスファーシステムを適用した、マスバランスアプローチと呼ばれる枠組みの中で行われる。これは、独立した外部認証機関であるエコサイクルのプロジェクトメンバーが、シートベルトバックルカバーに必要な量の化石資源が、自動車用混合プラスチック廃棄物から製造された熱分解油に置き換えられたことが確認されたことを意味している。アウディは、現在計画されている生産台数に基づいて、Q8 e-tronの全生産に十分な量の熱分解油を生成する予定。

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