完全バランス、自動車用エンジンの究極 V12エンジン | 各種のエンジンの特質と動作を構造から考えてみる。V型エンジンの基礎知識

エンジン
V型12気筒 ランボルギーニ・L539型 |ランボルギーニ・アヴェンタドールに搭載される6.5ℓ-V12。車両前方にトランスミッションを置き、プロペラシャフトを介して車両後方に備わるデフにトルクを流すという特殊な搭載方法は、カウンタックの時代から続く伝統。
自動車用のエンジンとして、非常に数多くの種類が生み出されてきた。
その理由は動力性能の追求、搭載性の都合、生産と設計の共通化など、さまざまである。
それらを踏まえ、現代まで生き残ったものがあり、消滅していったものがある。
ここでは各種のV型エンジンを、機械的な構成から紹介していこう。
第5回はV型10気筒とV型12気筒だ。TEXT◎MFi ILLUSTRATION◎熊谷敏直(KUMAGAI Toshinao)

V型12気筒 完全バランスのエンジン

V12

直列6気筒は120度ずつの3スロークランクを持ち、トルクの連続性を有することに加え、クランクセンターを中心に1/6 番、2/5 番、3/4 番でピストンの上下動がそろうため、エンジンの擂りこぎ運動を抑えることができることなどから、完全バランスのエンジンと評される。その直列6 気筒を2 基、V 型にしたのがV12。理論値は60 度だが、先述のように片バンクだけでバランスがとれているため、ほかのV 型に比べて制限が少ないのが特徴だ。

V型10気筒 直列5気筒×2=V10

V10

多気筒ゆえ自動車用としては高級車やスポーツカーにプレミアムユニットとして用いられるV10は、直列5気筒を2基、V型に仕立てたともいえる構造。一方で、トラック用の大型ディーゼルにも採用例が多い。理論値は144 度ずつの5スロークランクを用いるバンク角72 度であり、バランサーシャフトを備えるのが一般的だが、V10 時代のルノーF1エンジン(110 度)やダッジ・バイパーのV10(90度)などのバリエーションも存在する。

ランボルギーニ・BUJ型 | ランボルギーニ・ガヤルドに搭載されるべくデビューしたBUJは90度バンク。等間隔点火を図り18 度オフセットの10 スロークランクを備えていたが、アウディR8 のV10デビューにともない、オフセットなしの5スローに改められている。

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