前輪駆動(FF)と後輪駆動(FR)の車には、トラクション効率に大きな違いがある。FF車は一般的にコンパクトで燃費が良く、雪道などでも安定性があるが、大馬力のエンジンを搭載するとトラクションが不足する場合が多い。これは、加速時に前輪の接地荷重が減少し、駆動力を効率よく路面に伝えられないためだ。
一方で、FR車は加速時に後輪の接地荷重が増加するため、より多くの駆動力を路面に伝えることができる。この特性は、高級車やスポーツカーにおいて重要な要素となる。
トラクションは、車の重心位置、荷重移動、そして路面とタイヤの摩擦係数によって決まる。例えば、ロータス・エラン(2代目)はFFスポーツカーでありながら、前後荷重配分やタイヤの選定、ブレーキの設計などによって高いトラクション性能を確保している。
しかし、FF車でトラクションを確保するためには、重心を前寄りにする必要があり、これが制動時の安定性に影響を与える場合もある。このように、トラクション効率は車の設計や用途によって最適なバランスが求められる複雑な要素であり、単に「FFは雪道に強い」と一概に言えない側面がある。
詳細を読む→『トラクション』 ってなんだ? 『パワー』ってなんだ? | ①大パワーのFFがない理由(トラクション効率)