目次
背景
近年、地球温暖化問題の解決に向けた次世代エネルギーとして水素エネルギーの利用が注目されている。そうした中、全世界で発電機事業を展開するデンヨーは、2019年より水素燃料電池発電装置に関する技術開発を開始し、2024 年には量産型燃料電池式可搬形発電装置の開発を進めている。
一方、帝人は、2021年よりIE社が開発した燃料電池モジュールの代理店販売を開始し、2023年からはIE社製の燃料電池モジュールを用いた1kVA級の可搬式小型燃料電池発電装置の開発を行い、水素燃料電池発電装置の有効性・有用性について検証を進めている。また、帝人エンジニアリングは、炭素繊維を用いた複合材料圧力容器「ウルトレッサ」を水素ボンベ向けにも展開している。
こうした中、両社の知見やノウハウを組み合わせることにより、水素エネルギーの早期の社会実装に貢献できると考え、可搬式の小型タイプとして大容量である3kVA級の水素燃料電池発電装置の展開に向けた協議が進められた。
今回の開発品について
デンヨーの新しい開発品は、IE社製の燃料電池モジュール「IE-LIFT 804」を搭載した水素燃料電池発電装置だ。デンヨーが有する水素燃料電池発電装置に関する技術や知見に、帝人が有する IE 社製の燃料電池モジュールに関する運転ノウハウや実証実験で得た知見などを組み合わせて開発された。
本開発品は、野外イベント会場や工事現場、災害現場などで需要が高いとされる3kVAの発電能力を搭載するほか、200Vと100Vの使用が可能。
開発品の仕様
定格出力 | 3.1kVA 単相3線式 (周波数50/60Hz) |
電圧 | 200V / 100V |
寸法 | 全長 1020 × 全幅 700 × 全高 1000 mm |
質量 | 200kg |
「ウルトレッサ」を用いた場合の連続運転時間
開発品に、「ウルトレッサ」の大型可搬式水素用複合材料容器を用いた場合、ボンベ1本で以下の連続運転時間が可能。
容量130L/充填圧45MPaの場合 | 約13.6時間 |
容量130L/充填圧19.6MPaの場合 | 約 6.7時間 |
注釈
※1 燃料電池モジュール:水素燃料電池発電装置のコアとなる部品。外部から取り込んだ水素と酸素を化学反応させて電気を作り出す。