神戸製鋼所、米国子会社ミドレックス社が直接還元鉄プラントを受注

神戸製鋼所は、同社の100%米国子会社であるミドレックス社が提供するMIDREX Flex直接還元鉄プロセス※1(以下、MIDREX Flex)が、リビア・ベンガジ市近郊にTOSYALI SULB Steel Industries社が建設する直接還元鉄プラントに採用される事が決定し、契約調印に至った旨を発表した。

TOSYALI SULB社は同地域におけるMIDREX Flexを前提とした還元鉄製造拠点建設の計画を公表しており、今回その最初のフェーズが開始されることになった。今回受注したMIDREX Flexは、還元剤を天然ガスから水素へと柔軟に転換できるプロセスのため、段階的なCO2排出量の削減が可能である。今回建設されるプラントは、ミドレックス社とPaul Wurth, a company of SMS group(以下、Paul Wurth)社により建設され、その生産能力は250万トン/年が計画されている。製造された還元鉄は同社により近隣の地域へ供給される予定とされている。

ミドレックス社は、TOSYALI Holdings傘下のTOSYALI Algerie社がアルジェリアのオラン市近郊で運営する一貫製鉄所向けに2基納入(1号基:2015年受注、2018年に生産開始。2号基:2022年受注、2024年12月より生産開始)しており、TOSYALI Holdings社向けでは今回3基目の受注となる。これまでの豊富な納入実績や技術的な信頼性が高く評価され今回の受注に至ったものとされている。

ミドレックス社が持つMIDREXプロセスは、世界の還元鉄生産量の約80%(天然ガスベースの直接還元鉄)を占める直接還元法のリーディングプロセスです。当社は、天然ガスを改質したガス(CO+H2)を還元剤とする従来のプロセス※1に加え、天然ガスを水素に柔軟に置き換えることが出来るMIDREX Flex、100%水素を還元剤とするMIDREX H2※2というプロセスを保有している。神戸製鋼所及びミドレックス社はこれらプロセスの提供を通じて、世界の鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取り組みに貢献し、持続可能な社会の実現に取り組んでいく。

TOSYALI Algerie(アルジェリア)製鉄所で操業中のMIDREXプロセス(1号機)

KOBELCOグループの変革への取り組み“KOBELCO-X”について

KOBELCOグループは今中期経営計画(2024~2026年度)において、「魅力ある企業への変革」を取り組むべき目標に掲げており、これを実現するための変革「KOBELCO-X※3」を推進している。今回の取り組みは以下のGXの一例と考えている。

GX(Green Transformation)

ミドレックス社の有する直接還元鉄プロセスを提供することで鉄鋼業界における脱炭素に貢献

【注釈】

※1:従来の天然ガスベースのMIDREX直接還元鉄プロセスは、世界で90基以上が稼働しており、天然ガスを改質した水素リッチガスを還元剤として用いることにより、従来の高炉法に比べ製鉄工程でのCO2排出量を最大40%削減することが可能。MIDREX Flexは、従来の技術をベースに、還元に利用する天然ガスを柔軟に水素に置き換えることができるプロセスで、段階的なCO2排出量の削減が可能となる。

※2:100%水素を還元剤としたMIDREX H2直接還元鉄プロセスは、ほぼCO2排出量ゼロで還元鉄を生産することが可能。ミドレックス社はスウェーデンのH2グリーンスチール社(2024年9月に社名をStegraに変更)向け世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機を2022年に受注し、現在プロジェクト遂行中。

※3:KOBELCOグループが魅力ある企業へと変革していくために取り組むべき変革を総称して「KOBELCO-X」と名付けられ、具体的な7つのXが設定されている。

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