~車載カメラ用R-Car Vシリーズ用に開発ツール、ソフトウェアライブラリなど一式をパッケージ化~

ルネサス:ADASや自動運転システム向けソフトウェア開発を加速する、R-Car用ソフトウェア開発キットを提供開始

ルネサスは、今回、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システム向け車載カメラ用SoC(System on Chip)、R-Car V3H、R-Car V3Mのソフトウェア開発キット「R-Car SDK」を提供開始した。R-Car SDKには、開発ツールやシミュレーションプラットフォーム、ソフトウェアライブラリやサンプルコードなどが含まれている。特に、周辺の物体認識には欠かせないディープラーニング(深層学習)を用いたソフトウェア開発を、迅速かつ容易に進めることができる。

 ルネサスの車載デジタルマーケティング統括部の統括部長、吉田 直樹は、次のように述べている。
「車載システム開発者にとってソフトウェア開発は多くのリソースを必要とする大きな課題です。特に数日がかりの環境立ち上げやソフトウェアのカスタマイズ性の悪さは設計者にとって大きな負担になります。ルネサスは、これらの負荷を軽減するために、これまで培った経験に基づいて、車載システムのソフトウェア開発を再構築しました。マルチOSに対応する新R-Car SDKは、入手が容易で使いやすさを追求しており、特にディープラーニングを用いたソフトウェア開発を加速できます」

車載アプリケーションのためにソフトウェア開発を再構築

 自動車メーカは、次世代の車載スマートカメラアプリケーションや自動運転システムを実現するために、ディープラーニングを活用しようとしている。ディープラーニングソリューションの多くは、民生用アプリケーションやサーバアプリケーションをベースに構築されており、車載用途に求められる機能安全やリアルタイム応答性、低消費電力などの厳しい制約の下では、多くの場合、期待した通りには動作しない。

 ルネサスの車載カメラ用SoCのR-Car V3HおよびR-Car V3Mに最適化された新しいR-Car SDKは、ルールベースのコンピュータビジョンと、AIベースのディープラーニングによる学習結果をサポートするように構築されている。シミュレーションプラットフォームでは、この両方のハードウェアアクセラレータを検証でき、リアルタイムで高精度なシミュレーションを実現する。ルネサスは、このバーチャルプラットフォームを今後も強化していく。また、WindowsでもLinuxでも使用できるPCベースの開発ツールは、ディープラーニング、コンピュータビジョン、ビデオコーデック、3Dグラフィックスなどのソフトウェアライブラリをサポートしている。さらに、R-Car SDKはオープンソースソフトウェアとして提供されるLinuxに加え、今後、ASIL-D準拠のさまざまなOS(QNX、eMCOS、INTEGRITYなど)をサポートする予定。

統合ソフトウェア開発環境「e² studio for R-Car」

 R-Car SDKに含まれるルネサスの統合開発環境e² studioは、R-Car Vシリーズ向けの特別バージョン。e² studioはオープンソースのEclipseベースの開発環境で、フルセットのデバッグ機能と最先端のGUI(Graphical User Interface)が搭載されている。R-Car SDKの新たな特別バージョンでは、ユーザがサードパーティ製のツールを容易にカスタマイズして統合することができる。また、画像処理やディープラーニングのサブシステムのバスモニタリングやデバッグ機能がサポートされている。

入手しやすく、使いやすいR-Car SDK

 新R-Car SDKは、サンプルソフトウェア、一般的なCNNネットワーク、ワークショップ、アプリケーションノートなども充実しているため、ルネサスのR-Carプラットフォームを初めて使う人でも、早期に開発を開始できる。また、ルネサス製品のベンチマークにも最適なプラットフォームであり、例えばR-Car V3HとR-Car V3Mを比較するなど、ユーザのターゲットアプリケーションに最適なSoCを選択することができる。また、自動インストーラを搭載しているため、ユーザはすべての開発環境とソフトウェアライブラリをPC上で素早く起動することができる。PC上で開発、設計したアプリケーションは、シミュレーションではなく実際の車載用R-Carでシームレスに動作確認をすることができる。ルネサスのR-CarパートナエコシステムであるR-Carコンソーシアムのメンバ企業は、R-Car SDKを活用して自社のソリューションをユーザに展開することができる。

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