JSE、液化水素サプライチェーン構築に向けた商用化実証における国内基地建設に着工。川崎重工・大成建設・東亜建設の3社による共同企業体が実施

日本水素エネルギー(以下、JSE)は、世界初の国際水素サプライチェーンの国内基地について、川崎重工業(以下、川崎重工)を代表企業とし、大成建設、東亜建設工業(以下、東亜建設)の 3社で形成される共同企業体に発注し建設工事に着工したことを発表した。

この国内基地は、JSEが幹事会社として実施する、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)グリーンイノベーション基金事業に採択された「液化水素サプライチェーンの商用化実証」※1(以下、本プロジェクト)の一環として実施されるものである。本プロジェクトでは、今回の国内基地(出荷 /受入両機能を含む)ならびに今後建造する液化水素運搬船を用いて、上流から下流まで国際水素サプライチェーンとしての性能、安全性、耐久性、信頼性、経済性等の商用化に求められる要件が2030年度までに確認される。そのため、この国内基地は、液化水素貯蔵タンク(貯蔵容量5万m3)、海上荷役設備(出荷 /受入両機能を含む)、水素液化設備、水素送ガス設備、液化水素ローリー出荷設備を備えた、世界初の商用規模の施設となる。

 建設地は、JFE グループの土地利用構想「OHGISHIMA2050」において「カーボンニュートラルエネルギーゾーン」に設定されている川崎市扇島東部の一角であり、JSE と JFEホールディングスならびに JFE スチールの合意(2024年7月25日)に基づき、2025年4月30日に土地賃貸借本契約を締結するとともに土地引渡しを受けて、建設工事に着工したものである。なお、着工に際し、2025年5月23日に安全祈願祭が執り行われた。 JSE は、本プロジェクトを完遂後、海外で製造された液化水素を今回建設する国内基地で受け入れ、国内需要家へ供給することで、水素サプライチェーンの社会実装が推進される。そのため、この国内基地は世界初の商用規模の施設として、重要な拠点となる。本プロジェクトと並行して、JSEは、川崎市の「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」、「JFE スチール株式会社東日本製鉄所京浜地区の高炉等休止に伴う土地利用方針」、「川崎港港湾計画」、ならびに JFEグループの「OHGISHIMA2050」等、様々な構想や企業と連携することで、地域、日本の脱炭素に貢献していく。

※1 グリーンイノベーション基金は、2020年12月25日に経済産業省が関係省庁と策定した 「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に基づき造成されたものである。その中で、本プロジェクトは、カーボンニュートラル実現に重要なエネルギーキャリアである、液化水素の大規模サプライチェーン実証を行うもの。政府関係府省庁が一体となって2023年6月6日に改定された「水素基本戦略」に沿って、水素の大量消費社会を見据えた水素サプライチェーンの本格的な社会実装が目指される。

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