業界最高※1の発電効率56%※2を実現

パナソニック:純水素型燃料電池5kWタイプを発売

パナソニックは、高純度の水素と空気中の酸素との化学反応で発電する純水素型燃料電池を開発した。業務用途をターゲットに、2021年10月1日より発売する。

 近年、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速しており、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラルの実現を目指すという宣言が、世界各国・地域で出されている。この実現には、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスといった再生可能エネルギー(再エネ)の導入が欠かせない。しかし、太陽光や風力による発電は気象条件によって出力が大きく変動し、需要に合わせた発電ができないうえ、余剰電力を蓄電池などに蓄えたり、不足電力を補う仕組みが必要となっている。

 そこで、次世代エネルギーとして関心を集めているのが水素。水素は、地上だけではなく宇宙で最も多く存在する元素であり、燃焼や化学反応により熱エネルギーや電力として利用可能で、その際にCO2を排出しない。さらに、再エネの余剰電力を用いた水の電気分解により、エネルギーを水素に変換して長期間安定に蓄えることが可能であり、エネルギーの保存性や利活用の観点からも大変優れています。このような背景から、水素の急速な普及拡大が予測されている。

 パナソニックは、都市ガスから取り出した水素を用いて発電する家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム※3」を、2009年に世界で初めて発売した。以降、10年以上にわたり、発電効率の向上や稼働時間の改善、システムの小型化などエネファームを進化させてきた。同時に、水素社会の到来を予見して直接供給される水素を燃料として発電する純水素型燃料電池の研究開発も並行し、2012年、ゆめソーラー館やまなし(甲府市)での実証を皮切りに、日本各地で実証を重ねてきた。

 製品化した純水素型燃料電池は、エネファームで培った技術を応用している。例えば、燃料電池のキーデバイスであるスタックをエネファームと共用化することにより、安定した発電性能と業界最高※1の発電効率56%※2を実現した。また、本製品は業務用途をターゲットにしているため、家庭用エネファームの発電出力(700 W)の7倍以上となる5 kWに発電出力を強化。さらに、複数台を連結制御することで需要に応じて発電出力をスケールアウト可能にするほか、軽量・コンパクトな筐体サイズを生かして、建物の屋上や狭小地などさまざまな設置条件にも柔軟に対応する。

 また、今後、パナソニック製 純水素型燃料電池に対して「H2 KIBOU※4」という愛称が使用される。これは、水素社会への希望という意味から名付けられた。

【主な特長】

1. 出力5 kW、連結して出力アップも可能
 単体で、小規模な商業施設などの需要に適した5kWの発電出力を得ることができる。さらに、複数台を連結制御することで、需要に応じた出力アップに対応する。また、パソコン上の専用アプリと接続することで、発電電力や状態の表示、発電のON/OFF、エラー通知など遠隔制御が可能。1台のパソコンで最大10台(50kW)まで同時接続が可能だが、さらに10台を1ユニットとして束ねることで、MWクラスの発電出力にも対応する。

屋上設置イメージ
純水素型燃料電池の構成概要

2. 業界最高※1の発電効率56%※2を実現
 エネファームのキーデバイスである燃料処理器(ガスから水素を取り出す装置)が、純水素型燃料電池では水素を直接供給するため不要となる。その結果、水素から電力への効率的な変換が可能となり、純水素型燃料電池として業界最高※1の発電効率56%※2が実現された。発電効率が高ければ水素の使用量削減につながるため、トータルのランニングコスト削減に貢献する。

3. コージェネレーションにも対応
 貯湯ユニット(推奨品)を接続すれば、発熱時の熱をお湯に変換して利用できる。熱回収効率を含めたエネルギー利用効率は95%※2を実現。エネルギーを無駄なく、より有効活用できる。

4. 停電にも対応
 抵抗器ユニット(推奨品)と起動用電源を使用すれば、停電時にも発電が可能。これらの停電対応ユニットを接続することで、停電時でも発電を継続させ最大2.5kWの電力を120時間使える。停電時に水素を供給するだけで発電が可能になるため、BCP(事業継続計画)に寄与する。

5. 瞬時に起動が可能
 約1分で起動が可能。素早い応答が求められるピークカットに役立つ。

※1:2021年10月1日現在、純水素型燃料電池における発電効率において パナソニック調べ
※2:効率は全てLHV基準で表している(LHV=燃料ガスを完全に燃焼させた時に生成する水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた発熱量)
※3:エネファームは、大阪ガス、東京ガス、ENEOS株式会社の登録商標
※4:H2 KIBOUおよびH2 KIBOUマークは、パナソニックの商標として申請中

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