コンクリート表面のひび割れを高精度に自動検出し、インフラメンテナンスの効率化に貢献

三菱電機:「AIひび割れ自動検出技術」を開発

三菱電機は、同社AI技術「Maisart(マイサート)※1」を用いてコンクリート構造物表面のひび割れを高精度に検出する「AIひび割れ自動検出技術」を開発した。今後、道路や鉄道などの社会インフラの状態変化を三次元計測し解析する三菱インフラモニタリングシステム(MMSD)を用いたサービスに適用することで、現場で目視検出していたコンクリート表面のひび割れを走行撮影した画像から自動検出でき、インフラメンテナンスの効率化と点検作業員の負荷軽減に貢献する。
※1 Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technologyの略。全ての機器をより賢くすることを目指した当社のAI技術ブランド

開発の特長

  1. 撮影画像から高精度にひび割れを検出するAIを開発し、自動検出を実現
    • MMSDⅡ※2で走行撮影した多様なコンクリート構造物表面の高精細画像データに対し、三菱電機の豊富な知見に基づいてひび割れ領域をラベル付けし、ひび割れ検出に最適な教師データを作成
    • 三菱電機のAI技術「Maisart(マイサート)」の一つとして複数の学習モデルを組み合わせた独自構造のAIを新たに開発し、ひび割れ領域をAIに重点的に学習させることで検出精度を向上、ひび割れの自動検出を実現
      ※2 高密度三次元レーザと高解像度カメラで道路・鉄道のトンネルを高精度に計測するシステム
  2. 幅0.1mm以上のひび割れ検出率95.9%を達成し、検出作業を効率化
    • MMSDⅡで走行撮影した画像データを用いた自動検出において、幅0.1mm以上のひび割れ検出率95.9%※3を達成
    • 点検作業に必要な変状展開図作成の効率化を実現
      ※3 128pix×128pixのブロック単位で正解と一致したひび割れブロック数÷正解ブロック数

今後の展開

 三菱電機は国土交通省の「AI開発支援プラットフォーム」開設準備ワーキング※4に参画し、AIシステムの現場実装に向けた活動を進めている。今回開発した技術は、2022年4月までに「MMSD計測・解析サービス」に適用し、点検作業員の目視作業の負担軽減や点検時間の短縮を実現する。

 今後、ひび割れ以外の変状検出(漏水・遊離石灰等)にも今回開発技術を応用し、AI抽出結果に基づく健全性判定機能やアセットマネジメント機能も順次開発することで、社会インフラのライフサイクルコストのさらなる低減に貢献する。

※4 AI開発支援プラットフォームの開設準備ワーキング・グループについて
URL:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/constplan/sosei_constplan_tk_000034.html

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