【海外技術情報】ルノー:オンラインカンファレンス(後編)『Renault Eways ElectroPop』で発表されたEVネイティブプラットフォーム

前回記事で2021年6月30日にルノーが開催したオンラインカンファレンス『Renault eWays ElectroPop(ルノー・イーウェイズ・エレクトロポップ)』で発表されたEV戦略の概要と、バッテリー&パワーエレクトロニクスの技術を紹介した。今回はその続きとして、EVネイティブプラットフォーム、生産体制などについて、ご紹介しよう。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

EVネイティブプラットフォーム:価格競争力が高く高効率、最適な航続距離を実現

CMF BEV platform

 C&Dセグメントにおいては、CMF-EVのプラットフォームは比類のない性能と運転する喜びを提供する。このプラットフォームは、2025年までにアライアンス内で70万ユニットを生産する予定である。CMF -EVは非常に低いエネルギー消費により最大580kmの航続距離(WLTP)を実現する。このパフォーマンスは、摩擦の低減、軽量化、および最先端の熱管理に取り組んでいるルノーグループと日産の知識の賜物である。

 このアーキテクチャはエンジンベイ内のすべてのユニットに広いスペースを提供することができる。車両後部から前部に至るあらゆるケーブルを取り除き、重量とコストを削減する。暖房換気と空調もエンジンベイに配置されるため、ダッシュボードを薄くすることができる。

 これらの機能強化に加えて、CMF-EVは低重心と理想的な重量配分、非常に低いステアリング比により、迅速な車両応答とマルチリンク式リアサスペンションにより、優れたドライビングプレジャーを提供する。ドゥエーで生産された新しい『MéganE』は、このCMF-EVプラットフォームに基づいている。

 Bセグメントにおいては、CMF-BEVはルノー手頃な価格のBEVの供給を可能にする。この真新しいプラットフォームは現行の『ZOE』と比較して車両コストを33%削減する。これはバッテリーモジュールの互換性、低コストで100kWの適切なサイズのパワートレインに加えて、2025年までに年間300万台に達するCMF-Bプラットフォーム車両から引き継がれる非EVコンポーネントにより達成される。CMF- BEVは手頃な価格で、WLTPで最大400kmの優れたパフォーマンスを提供する。設計、音響、運転性能に妥協はない。

事業:フランス製の競争力を有するEVの生産

リュイッツ工場

 2021年6月9日、ルノーグループはフランス製の自動車を供給するため、Renault ElectriCityの創設を発表した。フランス北部にあるこの新しい法人は、ドゥエー、モーブージュ、リュイッツの3つのルノー工場と、サプライヤー施設の強力なエコシステムで構成される。2024年には、ドゥエーにあるEnvision AESCのギガファクトリーからコスト競争力のあるバッテリーが供給される。ヨーロッパのBEV 需要の中心はフランス、イギリス、ドイツ、イタリア、スペインであり、それが2025年には全体の約3分の2を占める。需要の中心地にあるElectriCityは理想的な立地にあるといえる。

 従来の内燃機関(エンジン)から電動パワートレインへの移行の成功を具体化したこの産業エコシステムでは、2024年末までに700人の新しい雇用が創出される。ルノーグループは、Envision AESCとVerkorとともに、2030年までにフランス全体で4,500人の直接雇用を創出する。ルノーグループは2025年までに年間40万台の自動車を生産して、生産コストは約3%削減される。

カーラインナップ:エレクトロポップカー

Renault 5 prototype

 グループは専用のEVプラットフォームを最大限に活用し、2025年までに10台の新しいバッテリー式EVを発売する。そのうち7台はルノーブランド向けとなる。現代的で電気的なひねりを加えた象徴的な『ルノー5』は、バッテリーからe-パワートレイン、組み立てまで、まったく新しいCMF-BEVプラットフォームで、ElectriCityによりフランス北部で製造される。

Renault Megane E-Tech Electric

 グループはまた、現在『4ever』と名付けられている別の象徴的なスターを復活させ、時代を超越したクラシックに仕上げる予定である。また来年には、まったく新しい『メガーヌ』で、CセグメントのフルEVを強化する。ルノーブランドは、2025年にはヨーロッパ市場で最もグリーンなミックスなメーカーとなることを目指しており、2030年にはバッテリー式EVが最大90%に達するかも知れない。

著者プロフィール

川島礼二郎 近影

川島礼二郎

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系…