ルネサス、パントロニクス:小型化と低コスト化を実現するセキュアな非接触型決済端末向けソリューションを発表

ルネサスエレクトロニクスとPanthronics AG(パントロニクス)は、非接触型決済端末メーカに対して、性能やセキュリティ機能を損なうことなく製品の小型化と低コスト化を実現する新たなソリューションを開発した。

 本ソリューションは、パントロニクスのNFC(近距離無線通信)リーダIC「PTX100R」と、ルネサスの32ビットマイコン「RA6M4」をベースにしている。RA6M4は、Arm Cortex-M33コアを搭載し、Arm TrustZoneテクノロジに対応。ルネサス独自のセキュリティIPも搭載し、厳しいPCI(Payment Card Industry)セキュリティ規格や、非接触型決済のEMVレベル2規格への準拠に必要な暗号化、鍵管理などのセキュリティ機能を実現する。EMVレベル1に準拠したソフトウェアは、PTX100Rで動作する。

 本ソリューションは、従来の非接触型決済端末の設計に比べて、コストやサイズの面で大きなメリットがある。現在の非接触型決済端末は、汎用マイコンとセキュア部品を組み合わせたもの、あるいはセキュリティ機能を内蔵したPoS専用のシステムオンチップ(SoC)を搭載したものがあるが、パントロニクスとルネサスが開発したソリューションは、そのどちらよりも以下の点において優れている。

・RA6M4にセキュアな決済機能を実装することにより、個別のセキュア部品が不要となり、部品コストと基板スペースの削減が可能。また、セキュア部品とマイコン間の脆弱な通信経路が無くなるため、セキュリティの強化にもつながる。
・RA6M4は、PoS専用のSoCよりも低価格。汎用製品であり、供給面でのリスクも低減する。

 ルネサスのIoT・インフラ事業本部、欧州MCUビジネス担当のSenior Manager、Markus Vomfelde氏は次のように述べている。
「次世代の非接触型決済端末を開発するメーカにとって、セキュリティとコスト、サイズは、競争の激しい市場でシェアを獲得するために重要です。ルネサスとパントロニクスは、汎用的なマイコンをベースにして、すべてのセキュリティおよび決済の業界標準に完全に準拠できる非接触型決済端末を開発できると証明しました。そして、端末メーカにセキュリティ、機能、性能に対する顧客の要求を満たしながら競争力を高めるための新しい方法を示しました。本ソリューションにより非接触型決済端末メーカは、現在生産されている典型的な設計と比較して、10%以上のコスト削減を達成できると確信しています」

 本ソリューションは、EMVCoが定めるEMVレベル1およびレベル2をサポートするソフトウェアを含む包括的な決済端末機能一式を実装している。つまり、本ソリューションは、端末メーカがEMVCo規格に準拠しているかどうかを検証し、迅速に設計を行うための効果的なプラットフォームである。

 本ソリューションは、NFCカードリーダIC「PXT100R」の強力な送受信性能を活かして、読み取り画面を囲むようにアンテナを配置することにより、省スペース化を実現した。PXT100Rは、独自の正弦波アーキテクチャにより、業界最高レベルの感度と伝送強度を実現しており、端末のS/N比を高める。また、電磁電気ノイズの多いディスプレイの近くにアンテナを設置することにより、あらゆる使用条件において、決済カードやスマートフォンと確実な接続を可能にしている。

 本ソリューションは2枚のボードで構成されている。

・RA6M4マイコン用EK-RA6M4評価キット
・PTX100Rリーダ/ディスプレイシールドボード

 ルネサスは、本ソリューションを非接触型決済端末のリファレンス評価キットとして、2022年初頭に提供を開始する予定。詳細は「Panthronics PTX100R NFC Readers for POS, mPOS and SmartPOS」を参照。なお、両社は、2021年11月30日~12月2日にフランスのパリで開催される、決済、認証、セキュリティ関係のイベントTrustechのパントロニクスブース(5.2 B041)において、本ソリューションのデモンストレーションを出展する予定。

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