ブリヂストン:新しいゴム密着防止剤の開発や同社初のロボットによるタイヤ部材のジョイント技術など、グループ内現場の改善事例を表彰

ブリヂストンは「第11回ブリヂストン グループ・グローバルTQM※1大会」を開催した。

 本大会は「最高の品質で社会に貢献」を使命とする同社グループ内において、革新的な改善事例をグローバルで共有し、相互研鑽することで、グループ全体の品質意識向上と、TQM活動のレベルアップを図り、持続的な社会価値、顧客価値の創出につなげる活動。2021年については、COVID-19環境下でもグループ・グローバルの全従業員が参加できるように、改善事例を各現場で撮影し応募、動画の視聴を通じて審査を行った。世界各地域・事業所から応募された改善事例の内、16件が最終選考にて発表され、特に優れた事例として7件が表彰された。主な表彰事例は以下のとおり。

栃木工場:新しいゴム密着防止剤の開発 
-ブリヂストンの歴史を変える新密着防止剤-

従来の密着防止剤(左)と、新しい密着防止剤(右)

 タイヤの製造工程には、天然ゴムや合成ゴムおよびその他の材料を混ぜ合わせ、練ったゴムを板状に伸ばして折り重ねる作業がある。この作業において、重ねたゴム同士がくっつかないように密着防止剤を塗布するが、ゴムの変形や重みによりゴム同士が密着する頻度が多くなってしまうことが長年の課題だった。
 この課題を解決するため、栃木工場の製造現場が主体となり新しいゴム密着防止剤を開発した。これによりゴム同士の密着が大きく低減して剥離作業などの負担を削減でき、生産現場を白く汚さずにクリーンに保ちながら生産性を高めることが可能となった。革新的な改善事例として、ブリヂストングループグローバルへの展開も視野に入れている。

彦根工場:ブリヂストン初のジョイント技術
-ロボットよ、匠を超えろ 熟練技能の見える化-

匠(右)の技術の解析過程/CCHジョイント自動化の様子

 タイヤの骨格部材を一定の幅、角度に裁断し接合する工程において、キャンバスチェーファー(CCH:タイヤホイールとの摩擦からタイヤ内部を保護するゴムでできた補強部材)のジョイントを、手作業で実施している。この作業は、1人の作業者が1回3秒以内で、1日2000回以上行うというまさに匠の技。1982年からCCHジョイント作業の自動化に挑戦してきたが、厚さわずか1mm以下の柔らかいCCHは変形しやすく、繊細な作業が可能な人の手で行うことが必要不可欠だった。
 今回、最新の技術を用いて熟練技能員の動作を細分化してモニタリングし、そのデータを解析した結果、熟練技能員の作業スピードや精度、力加減をロボットが再現することに成功し、CCHジョイントの自動化を実現した。

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