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参加車のオーナーからナマの声を聞く!
元R35GT-R開発責任者としてお馴染みの田村さん。現在は、日産自動車ブランドアンバサダーとして各方面で活躍している男が、今回は日本唯一のドラッグレースシリーズ戦「ドラッグフェスティバル」に来場した。前回は、そんな田村さんのドラフェス参加の様子をお伝えしたが、今回は田村さん視点でパドックウォッチング。個人的としてもカスタム&チューン好きで知られる男がピックアップしたマシンを見ていこう。
アクティブ本気のドラッグR
ACTIVE R32 DRAG-R【ドライバー:坂本和繁/ベストタイム:9秒380】
まず田村さんが気になったマシンは、カーボンRでお馴染みのガレージアクティブ坂本さんが駆るBNR32。今回は久しぶりの稼働ということで、アテーサのトラブルによって2WDに近い駆動状態での戦いとなっていた。さらに、準決勝ではエアシフターのトラブルも重なり、目標タイムの8秒8には及ばなかったのは残念。とは言っても、R32オーナーでもある田村さんからの評価は高く、チューンドGT-Rらしい雰囲気を気に入り、細部まで喰い入るように眺めていた。
エンジンはHKSのピストンとコンロッドを使用して2628ccに排気量アップ。タービンはTD06-25G×2、制御はF-CON Vプロを使用してブースト2.2キロで969ps&89kgmにセットアップされる。
純正ダッシュを使いながらもドンガラにされたインテリアは、ドラッグ専用マシンとしてアクティブの本気が詰め込まれている。ミッションはリバティのエアシフターを組み合わせる。
「ドラッグ専用マシンってことだけど、このGT-Rの雰囲気はまさにチューニングカーらしいよね。今回はR35ニスモでコースを走ってみたけど、このR32も機会があったら乗らせてもらって、8秒台の感覚を味わいたいたいな」とは田村さん。横にいるのはアクティブの坂本さんとも意見交換を行なった。
1200馬力オーバーに大興奮!
TM-WORKS GT-R【ドライバー:石岡文章/ベストタイム:9秒783】
石川県のTMワークスで製作されたマシンは、排気量はそのままにエンジン内部を強化。さらにNOSをプラスして1200ps&140kg-mのスペックに仕上げられている。組み合わせるタービンはG30-770ツインで、ECU-TEKで制御を行なっている。今回はプロペラシャフトがねじ切れてしまったため、わずか2本で戦線を離脱してしまった。
1200psオーバーを叶えるエンジンチューンのメニューはもちろん、ボディカラーも田村さんが気になったポイント。このマシンに採用されている「ミッドナイトパープルⅡ」はBNR34の純正色で、田村さんが主査を務めていた時期に採用した思い入れの深いカラーとのこと。
ストックボディから育て上げたGTS25t
Mr.ストール@エスペランサER33【ドライバー:清水秀昭/ベストタイム:9秒025】
元々のベースはRB25を搭載したGTSながら、フロントエンドのパイプ化やRB26改3.2Lなど、ドラッグマシンとして仕上げられた清水さんのスカイライン。排気量アップに加えタービンはボルグワーナーのS400X3を組み合わせ、フルコンLINKによる制御で最高出力は1150psまで引き上げられている。ボディの軽量化も徹底され、ファイバーパネルはもちろんガラスも全面ポリカ製に変更し、車重は1180kgまでシェイプ。現在までのベストタイムは8秒851、目標タイムは8秒5に設定している。
完全なレースカーとして仕上げられたスカイラインは、田村さんもテンションが上がる1台。「ここまで突き抜けたマシンがないと盛り上がらないよね」とのことだ。奥がドライバーの清水さん。埼玉県のエスペランサでメンテナンスやアップデートが行われている。
フルノーマルRZ34の実力はいかに!?
ワイズRZ34【ドライバー:大喜多尉史/ベストタイム:14秒729】
香川県のワイズスタイルからエントリーしたRZ34。タイヤに至るまでフルノーマルの状態で、気軽にパフォーマンスを楽しむのが目的。目標タイムを14秒2に設定しながら、気長にノーマルの良さを味わっていく予定なのだとか。ちなみに、田村さん曰く、「RZ34ならタイヤを変えればすぐに13秒台を狙えるだけの性能がある」というだけに、目標タイムクリアもすぐに達成できそう。
オーナーの大喜多さんだけでなく、自身もRZ34をドラッグに持ち込んだことがあるワイズスタイル山地代表ともコンタクト。日産はベース車を作り提供していくので、チューナーとユーザーでカスタムやチューニングを大いに楽しんでもらいたいとは田村さんの談。そして「あくまでもチューニングは自己責任で(笑)」とのこと。
前回お伝えした通り、この日はR35ニスモで久々の全開走行を楽しみ、さらに個性豊かなチューンドマシンに囲まれ、ドラフェスを満喫しきっていた田村さん。その笑顔は「日産ブランドアンバサダー」ではなく、単なるクルマ好き、チューニングカー好きという素の田村宏志に戻っていたことは間違いなさそうだ。
⚫︎取材イベント:DRAG FESTIVAL WEST 2024 RD3 セントラルサーキット