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フルバランス取りのK20Aユニットを4スロで武装!
スプーン独自のセットアップが光る1台
S耐やマカオGPへの参戦など、モータースポーツシーンでも意欲的に活動してきた“スプーン”。純正部品の限界を見据えることで本当に効果的なオリジナルパーツのみを開発、ユーザーに提供してきたのも拘りだ。
そんなスプーンが手掛けたチューンドシビックを紹介しよう。ベースは、コンパクトな3ドアボディで構築された英国ホンダ製の“タイプR ユーロ”。2010台の限定輸入モデルだ。一見するとカーボンボンネットが入った程度のライトチューンだが、その実は完全なフルチューンスペック。メイキングはかなり手が込んだものだ。
見どころとなるエンジンは、フルバランス取りをしたK20Aに4連スロットルやハイカムを組み合わせ、モーテックでコントロール。排気量は2.0Lのまま実測280psを発揮してきているというからハンパではない。また、サーキット走行に備えてバッフルプレート付きのオイルパンも装着済みだ。
なお、FN2型に搭載されるK20Aのスロットルは電子制御のドライブバイワイヤー式で、スロットル径もかなり小さい(1.6LのEK9とほぼ同じ)。そのため、レスポンスがスポイルされている面もあるが、4スロ化することでこうした問題をクリアできる。低中速トルクはi-VTECの制御で確保できるため、ストリートでの扱いやすさを損ねずに大幅なパフォーマンスアップが可能なのだ。
排気系は、4-2-1集合のエキマニやマフラーなど全てスプーン製パーツで統一。ちなみにこの車両は4スロ化されているが、ホンダ車は非常に考えられた吸気システムのため、通常なら純正交換タイプのエアクリがお勧めだという。
夏場のサーキット走行に備え、フロントバンパー内にアルミラジエターをマウント。安定した周回を重ねられるよう冷却対策にも気を使う。
厳しい衝突安全基準をクリアするために、ハイテン材を重ね合わせたストラット構造となるFN2。そのためエンジンルームの剛性不足が否めないが、スプーンではロールケージ状のステンレス製バーを開発。全体的に補強することで操舵性を引き上げる。
足回りは、オリジナル車高調(F9kg/mm R6.8〜7.2kg/mm)を軸にセットアップ。駆動系は4-5-6クロスギヤと5.1ファイナルの組み合わせで、おいしいパワーを逃さないギヤ比を設定。機械式LSDは1.5WAYを装備する。
ブレーキは軽さを意識したモノコックキャリパーにより制動力をアップ。ローター適性温度0〜400度のブレーキパッドも組み込み、ストリートからサーキットまで対応できるシステムを構築した。
ホイールは18インチのプロドライブGC-012Lをツライチでセットし、タイヤにはポテンザRE-11(255/35-18)を組み合わせる。タイムアタック時にはホイールサイズを17インチに落とし、ポテンザのSタイヤに履き替える。
独立した液晶タコメーターとデジタルスピードメーターのデザインが個性的だ。室内はリヤシート撤去やカーボンフルバケの投入など軽さを意識するも、内張りは残すなどあくまでストリートを意識した作りとなっている。
その他、FRPテールゲートを始めとする軽量パーツでライトウェイト化を図るなど、全方位に渡って着実に速さに繋がるチューニングを推進。的を得たそのメイキングは、ホンダ車を手掛けて30年以上という老舗ならではの強みと言えるだろう。
●取材協力:スプーン TEL : 0120-112-095
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