「L型エンジンよ、永遠なれ!」C34ローレルにL型フルチューンユニットを搭載した理由とは!?

オーナーの深すぎるL型エンジンへの愛情がこのC34を作り上げた

2バルブターンフローLOVE! あくまで主役は心臓部のL型だ

今を去ること約25年前。まだ“JUNオートメカニック”のファクトリーが東京都練馬区(現在は埼玉県入間市)だった頃、このローレルのオーナーがL28エンジンのチューニングを依頼してきた。

その時のメニューはキャブ仕様のメカチューン。3.0L化を軸に構築されたスペックは当時としては最高レベルだったが、時代が流れてターボ仕様が主流になると、次なるステップとして機械式インジェクション+6連スロットル+NISMOツインターボ仕様へ移行。その強心臓をHR31スカイラインに搭載し、エアコン無しで走りを楽しんでいたそうだ。

そんなHR31もボディがグズグズになってしまい、オーナーが次に考えたのが箱替え(ボディ交換)だった。ところが、エミッション規制を考えるとGF車番のモデルでは公認を取ることが難しい。つまりは、古い車種のボディに載せた方が公認を取りやすいわけだ。

真っ先に思い浮かべたのはR32スカイライン系だったが、フロントサスがマルチリンク式でサスタワー間が狭く、スワップ作業が一筋縄でいかないことが分かり断念。そこで見つけてきたのが、E-で始まる車番で、しかもフロントサスがストラット式でエンジンルームも広いC34ローレルだったのだ。

紆余曲折を経て完成したL型仕様のC34ローレル、各部に“技術屋集団”ならではのアイディアが詰め込まれている。

サージタンクは、6連スロットル仕様からシングルスロットル仕様へとスイッチするにあたり、イチから作り直すのではコストが跳ね上がる。そこで、撤去した6スロとコンバート可能なアダプターを製作してシングル用サージをインストールしている。

C34ローレルへのL型エンジン換装と同時に、 オーナーの要望でエアコンを再装備することに。ただし、ツインターボ仕様のままではエアコンコンプレッサーの装着場所が確保できなかったため、シングルターボ化。チョイスしたのはHKSのGT2835Rで、3.0L仕様には小さいサイズだが、最大ブースト1.3キロをかけて使いきった状態で約350ps/50kgmを実現。中低速からのパンチ力は今時のチューンドにも負けないそうだ。

ちなみに、GT2835Rタービンを支えるEXマニはL20ターボ用の純正品で、これはターンフローならではの『共締め部からの排気漏れがしにくい』という理由からの選択だ。

エンジン系のハーネスは劣化トラブルを防ぐために全て新品引き直し。ヒューズはオーナーの要望で昔ながらの管ヒューズ式を採用。点火はデスビでコントロールし、ウルトラCDIで独立コイル化している。

エンジンマネージメントにはF-CON Vプロを使用。カム交換を始め、ハイレベルなメカチューンが敢行されたL28改ターボユニットでも、スムーズにアイドリングしていたのが印象的だ。

公認を取得するために車検対応マフラーを探したところ、C34用はブリッツのリアライズしか存在していなかったためそのまま装着。サウンドはさすがに静かでエクステリアの雰囲気にマッチしている。

インタークーラーはツインターボ仕様時にARCで特注したスペシャルをそのまま流用。当時の価格で約20万円かかった逸品で、交換するのは勿体無いと判断したそうだ。

ミッションはボルグワーナー製の5速MTを搭載しているが、これはベルハウジング加工等の必要がなく、恐らく輸出仕様車だったダットサン280ZX用。クラッチペダルやMT用コンソールボックスは、タクシー仕様車の純正部品を流用している。

足回りはハブを5穴化した上で、ブレーキは深リムのワークマイスター17インチにギリギリ干渉しないS15純正4ポットキャリパー&ローターを移植。リヤキャリパーはR32の2ポットだ。タイヤにはアドバンネオバAD08を履く。

室内を覗くと、もう懐かしいとしか言いようがないオートルックのPREシートが目に飛び込んでくる。元はグレーとブラックのコンビだったはずだが、現在はなんというか…良い感じにヤレている。

以前のHR31には大森の機械式メーターを装備していたそうだが、マシンチェンジを機にデフィの電気式メーターへと変更。木目パネルが高級サルーンらしさを演出している。

一見すると奇をてらった仰天チューンドだが、その実はオーナーのL型エンジンに対する深い愛情と、JUNオートメカニックの技術が注ぎ込まれた結晶なのである。

●問い合わせ:JUNオートメカニック 埼玉県入間市狭山ヶ原松原102-1  TEL:04-2934-5335

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