目次
チューニング適性はMT車以上!?
オートマ×スーパーチャージャーは抜群の相性
シフトアップ・シフトダウンのタイムラグがスポーツ走行に不向き、チューニングで大幅なパワーアップをすれば壊れる…等々、ネガティブイメージを持たれがちなAT車だが、それは一昔前のこと。
歴代86/BRZにはパドル操作でレスポンス良くギヤチェンジが可能なマニュアルモードも備わっているし、370ps付近まで許容すると言われる6速ATは、“ガラスのミッション”と比喩されがちな6速MTよりもチューニングを進めていった際の安心感が強い。

そこで今回クローズアップするのは、広島県の“ブラストエンジニアリング”が提案するZN6・ATのスーパーチャージャーチューンドだ。ストリートはギヤチェンジお任せのDレンジでイージードライブ、スポーツ走行を楽しむ際は意のままに操れるMレンジで、スーパーチャージャーで引き出したハイパフォーマンスを楽しもうといったものになる。
「先代モデルは前期のAT車なら100万円前後でタマ数も豊富。足回りやタイヤ、LSDなど走りを楽しむためのファーストステップを加えて200万以内、キャリパーキットやスーパーチャージャーといったセカンドステップまで一気に進めても350万円内で十分収まります。シフトミスのないATは操作に集中できますし、スーパーチャージャー化で300ps付近までパワーを高めれば、現行モデルにだって負けない。大げさじゃなく、スーパーカー感覚でサーキットを楽しめますよ」と話すのは、デモカーで精力的にサーキットを楽しんでいるブラストエンジニアリング代表の松川さん。

AT車のレブリミットは、MT車と同じく7200rpm。ECU書き換えでレブリミットを引き上げることは可能だが、頭打ち感が強くて負荷が大きくなるだけなので、レブリミット手前でのシフトアップがベストとのことだ。

過給機チューンでは必須、NAチューンでもスポーツ走行を積極的に楽しむならATFクーラーを備えておきたい。370ps付近まで許容すると言われるATはタフで、中古ATも安価だが、リーズナブルに遊べる分だけ保険をしっかり掛けておこう。

MT、ATを問わずスポーツ走行を安心して楽しむには、オイルクーラーの追加はマスト。油温上昇した状態でレッドゾーン付近まで引っ張れば、ATはMレンジでも自動的にシフトアップするセーフティ制御が備わっているため、油温は最適化しておきたい。

シフトレスポンスに優れる純正パドルだが、ストロークは少し大きい。ステアリング交換と共にショートストロークのパドルシフターに変更すれば、よりスーパーカーのような乗り味へと進化する。

足回りはMT車同様のセットアップでOKだが、ブレーキには拘りたい。過給機チューンはトップスピードも伸びるので、大容量のブレーキシステム投入は必須と考えるべきだ。

ちなみに、パドルシフトでのギヤ操作だが、オーバーレブを防止するためにシフトダウン制限が掛けられている。そのため、タイヤのグリップ頼みで突っ込んでいくようなドライビングではシフトダウンできないシーンも生まれるが、スローイン・ファーストアウトの基本に忠実なドライビングを心掛ければOK。その点のみ理解しておけば、あとはMT車と遜色のない走りがストリートからサーキットまでイージーに満喫できるのだ。
●取材協力:ブラストエンジニアリング 広島県福山市神辺町川南808-1 TEL:084-960-5441
【関連リンク】
ブラストエンジニアリング
http://www.blast-eng.jp/