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アメリカらしい過激さ炸裂!
アメリカのアフターパーツ業界で最大級の規模を誇る見本市、SEMAショー。ここ数年、存在感を増し続けているのが実は日本車だ。2024年は特に日本車の勢いが凄まじく、カスタムの本場でもJDMが確固とした地位を築き上げていることを印象付けた。ラスベガスを沸かせた注目モデルをピックアップ!
ジョン・シーバルデザインの「悪魔のZ」降臨!

今年のSEMAでも数多くのプロジェクトに携わった著名CGデザイナーのジョン・シーバルさん。その中で、ENEOSブースに展示されたダットサン240Zは、もともとはシーバルさんが「湾岸ミッドナイト」に登場する悪魔のZをモチーフに、個人的な楽しみとして何気なく起こしたレンダリングデータがネタ元。それを見た友人のジョン・ラウさんが「実際の車両として製作したい」と声を上げたところからプロジェクトがスタートしたそうだ。


劇中車よりかなりエッジの効いたフロントスプリッターとリヤディフューザーはSkillardのカスタムメイド。出面の大きなフェンダーフレアに収まるWORKマイスターM1はフロントが11.5J×17インチ、リヤが13J×18インチ。デビルと呼ぶにふさわしい攻撃的ルックスを実現した。エンジンは3.0L化したL28をギャレットG35-900でターボ化。ハルテックエリート2500で制御するインジェクション仕様となっている。
ホットロッドの意地も炸裂!な70年式シェベル

ここまで日本車を中心にピックアップしてきたが、もちろん本場のホットロッド勢も黙ってはいない。Dynamatのブースに展示された70年式シェベルは、カリフォルニアにあるBlazin Rodsが製作。

ボディはメタルのワイドフェンダーのほか、CNCで削り出されたパーツやカーボンパーツ、3Dプリンターで製作されたパーツが隅々まで行き渡り、まったく隙のないボディワークを実現している。



エンジンはシボレーV8をプレシジョンのタービンで過給するツインターボを採用し、パドルでの変速操作にも対応するシーケンシャルミッションに接続。最高出力は、なんと2800hpを発揮するという。画像をよく見ていただければわかると思うが、タービンハウジングから伸びる排気パイプがボディのサイドスカートと一体化しており、美しくデザインされた排気口も設けられている。

インテリアも非常にモダンな仕上がりとなっており、とても70年式のクルマには見えない。SEMAもその仕事ぶりを賞賛し、ベスト・エンジニアード・ヴィークル・オブ・ザ・イヤーを贈呈している。
ヤングビルダーが製作したのは激渋ロードスター


29歳以下のビルダーが参加できるコンペティション「SEMA Young Guns」で大賞を獲得した、コナー・マクエルベインさんの69年式ダットサン2000ロードスター。隅々まで綺麗なレストアを施すと同時に、カスタムメイドのリヤフェンダーやアルミパネルを手曲げで仕上げたインパネなど、モディファイの要素もプラスした、いわゆるレストモッドを実現。


リヤにはカスタムメイドのインボードサスペンションまで構築してある。エンジンはSR20に換装されているが、意外なのはインジェクションではなくウェーバー45DCOEを使ったキャブチューンとなっているところ。点火時期とVVLのバルブリフト量をハルテックのエリート550で制御を行なっている。若いチューナーだからこそ、逆にキャブという昔の技術を自分でいじってみたい、という思いが働いたのかもしれない。
HKS 3.4Lストローカー2JZで1200hp超え!


Antigravity Batteriesのブースに展示されたJZA80スープラは、実は冒頭で紹介した悪魔のZと同じくジョン・ラウさんの所有車。日本から輸入した右ハンドル仕様をベースに、Varisのワイドボディキットを装着。テールエンドをLFAのような3本出しレイアウトにするなど、JDMへのこだわりを表現している。

エンジンはHKSのキャパシティアップグレードキットで3.4L化した2JZ-GTEを搭載し、ギャレットのタービンを使ったシングル過給を採用。HGTのシーケンシャルミッションも備わり、最高出力は1200hpを発揮する。
5.7L Hemi V8にスーパーチャージャー搭載の570Z !



MAGNUSON SUPERCHARGERのブースには同社がドリフト用に製作した2006年式の350Zが展示された。エンジンはクライスラー製の第三世代5.7L HEMI V8エンジンに換装され、同社製HEMI 2650ホットロッドキットを搭載。LOJ Conversionsのアダプタープレートを使って日産純正のCD009ミッションとドッキングさせている。ボディ外板はカーボンを使って軽量化、足回りはGK Techのパーツでドリフトに向いたセッティングを実現させた。
RB載せシェルビーコブラだと!?



つい最近、2.0L直4エンジンとDCTの追加という旬な話題を提供しているACコブラ。SEMAの会場で発見したのは、何とありそうでなかったRB26スワップ仕様だ。Factory Five Racingのキットカーを使用しているので、厳密にはACカーズのコブラでもシェルビーコブラでもないのだが、オーナーが好きなエンジンを載せられるところがキットカーの持ち味。内装の仕上げも上品に行われている。ホイールはROHANAの鍛造RFG7で、適度に今っぽい要素も混ぜてあるところもなお良し。
Part.3へ続く