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全てはロバンペラのために生まれたプロジェクトだった!?
YouTubeで公開されるやいなやSNS上で話題になり、わずか1週間で150万PVを記録した“レッドブル・ジャパン”発のドリフトムービー。フォーミュラDジャパン仕様のGRカローラを駆るカッレ・ロバンペラが、架空の藤原拓海や織戸学選手率いる日本のトップドリフター達と戦うという内容なのだが、この衝撃的なムービーはどのような経緯で生まれたのか。その裏側に迫った。

ハリウッド映画レベルの規模で撮影は行われた
クルマ好きならば、誰もが興奮を覚えただろう。舞台は、⻘森県弘前市に存在する“津軽岩⽊スカイライン”。この日本を代表するワインディングロードを、WRCチャンピオンのカッレ・ロバンペラがGRカローラでJZX100やRPS13などの日本のドリフトカルチャーを代表するチューンド達と激しい追走ドリフトバトルを繰り広げるという規格外のストーリーである。

関係者に話を聞いたところ、このムービーは2年以上前から構想していたもので、様々な条件をクリアするのに時間がかかったそう。
「プロジェクトは、レッドブルに横浜ゴムとキャロッセが全面協力するカタチでスタートしました。ちょうど、カッレ・ロバンペラ選手がフォーミュラDジャパンに電撃参戦した2023年のことですね。あの流れで、レッドブル、横浜ゴム、キャロッセという強力なトリオが生まれ、今回の作品に繋がりました」とは、関係者の弁。

続けて「車両やドライバーのキャスティングは、テクニックのみならず、信頼性や人間性まで考慮して選定。結果として、キャロッセのワークスドライバー(金田義健選手、草場佑介選手、松山北斗選手、増田利光選手)が軸になりました。織戸選手については、ムービーの構成上、日本を代表するレジェンドドリフターが相応しいと判断したようです」。


ちなみに、カッレ・ロバンペラ選手が駆るGRカローラは、フォーミュラDジャパン参戦仕様の「Red Bull GR COROLLA」そのもの。最高出力1000psを超える2JZ改3.4L仕様のパワーユニットを積み、駆動系はFRレイアウトへと変更。最強の競技ドリフト仕様としてキャロッセが作り上げたものだ。タイヤは、カッレ・ロバンペラ選手が絶大な信頼を寄せるアドバンネオバAD09を履く。

また、スペシャルゲストとしてリバティーウォークの加藤渉代表もワークスフェンダー仕様のランボルギーニ・アヴェンタドールとフェラーリF40で登場しているが、これに関しては「レッドブル本国側にリバティーウォークの熱狂的ファンがいたみたいです。そして加藤代表は二つ返事で快諾、この撮影のためにわざわざエクステリアのステッカー類を変更してくれたそうですよ」とのこと。


撮影は2024年10月に行われた。現場には200名以上のスタッフが集結、横浜ゴムはタイヤのフルサポートのみならずトップレースカテゴリー並みのタイヤサービスまで出動させたほどで、規模感は完全にハリウッド映画レベルだったそう。

「撮影は5日間に渡って行われました。本当に大規模でしたが、横浜ゴムを始め、日本を代表するメーカー達が全面協力したのは、ひとえに“カッレ・ロバンペラ選手だから”に尽きますね」とは前出の関係者。

そう、今回のプロジェクトはカッレ・ロバンペラ選手でなくては成立しなかったのだ。2020年からWRCにフル参戦し、2021年にシーズン2勝を挙げドライバーズランキング4位にランクインすると、翌2022年には史上最年少記録となる22歳でドライバーズチャンピオンを獲得。そんな世界屈指の天才ドライバーが日本の峠でドリフトするとなれば、否が応でも協力したくなるのがクルマ好きの性というものである。そこに利己という軸を持ち込むメーカーなど存在しないのだ。


別の関係者はこう語る。「今回は頭文字Dとのコラボレーションになっていますよね。つまり講談社がOKを出したわけですが、それもカッレ・ロバンペラ選手の存在が大きかったようですね。普通に考えたら、ありえない話ですから」。

世界的ドライバーの旗の下、最強メンバーが集結して誕生した奇跡の“走り屋ムービー”。1月22日現在、Red Bull Motorsportsチャンネルでの視聴数は201万回を超えている。このカウンターは、これからも加速度的な速さで回り続けることだろう。