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着実にベストタイムを更新!
カーボンソアラが筑波最速達成間近か!?
苛烈を極める筑波サーキットのタイムアタック戦争において、今季の台風の目として注目を集めているのが「B-A-R 常陽不動産 RSC300」。これまでも30系ソアラで筑波アタックに挑んできた坂東邦彦選手の2号機となるスーパーチューンドだ。

2号機の製作時の大きな目的のひとつがバランスの改善。エンジンを400mmも後方へオフセット搭載し、車両の前後重量バランスを51:49へと導いた。これは、精度の非常に高いシミュレーションソフトを用いて、筑波50秒切りを達成できるスペックの絶対条件だったとのこと。

400mmも後方に移設した2JZエンジンは、車体側に設けたプレートを介して搭載するモータープレート方式を採用。内部は高回転域のパンチ力を重視した3.1L仕様で、ヘッドはポート形状に優れるNA用を組み合わせる。タービンはGCGのG42-1450、レース用のアルコール系燃料E85を使用し、ブースト圧2.5キロ時に約1200psを発生させる。

トランクスペースにはレース用の安全タンクをセンターに配置し、その周囲にドライサンプ用オイルタンクやコレクタータンクなどを美しくレイアウトしている。


エンジンの制御はモーテックのM800が担う。アルビンスのST6-Iミッションはパドルシフト化されており、電子制御スロットルとの組み合わせによって実現したトラクションコントロールや、ボッシュのレース用ABSなどの電子デバイスも武器とする。走行会の解析用にはC185ダッシュロガーを使い、電装系はPDM制御となっている。


エキゾーストレイアウトの最適化のために左ハンドル化を決断。これにより、タービンアウトレット兼フロントパイプはリヤに向かうのではなく、タービンの向きに逆らうことなくストレートに室内へと伸び、そのまま右ドアパネルから排気される高効率のレイアウトを実現した。



ワイド化されたフェンダーにはアドバンA050 GS(295/35-18)を装着。スピリット改の車高調と海外製アーム類を組み合わせ、筑波専用にジオメトリーを最適化している。ブレーキにはアルコンのレース用キャリパーを採用し、ボッシュのレース用ABSによる制御で安定した制動力を確保する。


タイムアタック仕様を象徴するスタイルの各種エアロパーツやワイドボディ。主要な部分には開繊素材を用いたドライカーボン素材が採用されている。これらは、ドライカーボン工房“サイトハウンド”の協力を得て、坂東選手自身が製作したものだ。

「最近はシミュレーターを使ってテストすることが多いですね。このシミュレーターは実走行との差が0.5秒以内とかなり精度が高いんですけど、色々と試した結果、筑波50秒切りを達成するためには1号機では難しいという結論に至り、2号機製作に踏み切りました」とは坂東選手。
2024年1月23日には51秒558という記録をマークし、チューニングカーランキング4位に躍り出た。この数字はまだまだ通過点だと語る坂東選手。今季は彼の新記録樹立に期待したい。