「目指すは車検対応の究極形態!」新車ワンオーナーで進化を続けるランエボVの戦闘力

サーキット走行をキッカケにランエボVのポテンシャルにゾッコン!

O/Hがてらの進化を2度重ね、4G63は530馬力に到達

WRCを戦うための1台として、大衆セダンであるランサーに2.0Lターボの4G63と4WDを搭載して、武闘派セダンに鍛え上げたランサーエボリューション。1992年に登場したエボⅠから速さを引き出すための進化が幾度となく重ねていき、4G63搭載の最終モデルとして2006年に登場したランエボⅨ MRまで、各種モータースポーツからストリートチューンドまで広く旋風を巻き起こした三菱の名車である。

そんな稀代のチューンドベースと向き合って、独自の超進化を“オリジナルランデュース”とともに進めてきたのが、ここで紹介するランエボⅤオーナーの溝口さんだ。

「もともとGTOに乗っていて、そこからエボIIGSRに乗り替えたのがランエボライフの始まりです。ただ、当時は速さと使い勝手を備えたセダンといった認識。軽くてキビキビ走るとはいえ、スポーツカー的な高揚感までは感じず、それはワイド化されたエボⅤRSに乗り換えた時も変わりませんでした」とは、当時を振り返る溝口さん。

しかし、何気なく走りに行った岡山国際サーキットで溝口さんは愛車に秘められたポテンシャルの片鱗に触れ、そこから速さを求めてのチューニングを推進することとなっていく。

「ぶっつけ本番のフルノーマルで走ったのですが、ストリートだと味わえない非日常な世界の速さにハマってしまいました(笑) ちょうどチューニングを手掛ける専門店がオープンすると地元新聞で見かけたこともあって、ランデュースでサーキットを楽しむためにブーストアップを依頼。そこからはもっと速さが欲しい…とパワーの上乗せ、パワーが上がったからブレーキ強化…といった具合にパッケージバランスを高めていき、フルノーマルで1分58秒だったタイムは、2.2L×GT3240タービンの530ps仕様への進化で1分40秒フラットにまで到達しました」。

8万7千kmでオーバーホールがてらにピストンやコンロッドを強化した4G63は、GT3037Sタービン装着時に400psへ到達。さらに、13万kmで行なった2度目のオーバーホールでは、Vカムか排気量アップか悩んだ末に、500psオーバーが狙えるGT3240タービンを低回転からレスポンスさせるために2.2L化をチョイスし現在に至る。

サーキットで強烈なGが掛かった状態でも安定した燃料供給を行なうためにコレクタータンクを使用しているが、純正マットに色合いを合わせた仕切りボードを設けてトランクへの荷物搭載に配慮。使い勝手を崩さないストリートチューンドを心掛けている。

エンジン強化&GT3037Sへの進化時に投入したF-CON Vプロは、ストリート用/サーキット用で作成されたマップを切り替えて使用する。「壊れずに長持ちしているので、最新のマネージメントが気になりつつも使い続けています」とは溝口さん。

スポーツセダンらしさを崩さないようにリヤシートも備えたままのインテリアは、重量増を避けるためにサイドシルへのウレタン注入でボディ補強を行なった程度。スポーツ走行時は運転席のみフルバケに変えるが、普段は左右ともにRSの内装生地に張り替えたGSR用レカロシートを与える拘り仕様だ。

当初はランエボIIと同じくGSRの購入を考えていたが、オーダー時にはRSしか残っていなかった。ただ、手動ウインドウやマニュアルエアコンなど必要最小限の装備は軽くて壊れにくいことから、チューニングを重ねる上でベストチョイスだったと言える。

ボルテックスのアンダーディフューザーに合わせてワンオフ製作したチタンマフラー。排圧の低い領域は大型サイレンサーを備えた助手席側の出口に導かれていく静音仕様で、スポーツ走行時など排圧が高まると排気効率を最優先するストレート構造の出口に切り替わる。

ワイド化による18インチ投入の際、ボルクレーシングTE37SLのプレスドグラファイトに合わせて、グレーカラーのランデュースブレーキキット(F8ポット&380mm R6ポット&356mm)で制動力を強化。

エクステリアは、2.2L化とGT3240タービン装着で3秒近くタイムアップしたため、コーナーリングスピードを高めるためにワイドトレッド化を決意。295/30R18を許容するバリスのオーバーフェンダーを使い、片側35mmワイドの全幅1840mmへと進化させた。

当初は通勤からサーキットまでマルチにこなしていたランエボⅤだったが、ガソリン代が高騰したことから2010年にサーキット主体へと移行。しかし、溝口さんの掲げたマイルールは「ストリートチューンドでの限界領域の見極め」。自走でサーキットに向かうのはもちろん、最低地上高90mmも厳守した公認仕様で、通勤に使用していた当時と変わらずエボⅤはどこにでも出かけられるスポーツセダンを崩していない。

ちなみに、通勤車両は幾度かの乗り替えを経て、TC-SSTを味わってみたかったという理由から現在はランエボXとなっている。こちらは完全ノーマルだが、ランエボⅤに対して4WD制御が細やかかつボディ剛性も高いと評価。ただ、300kg以上増えた車重がスポーツカーらしさをスポイルしていると感じ、軽快さとパワフルさを兼ね備えたランエボⅤが今も一番のお気に入りだ。

「最近は年に数回サーキットを走る程度ですし、半年もブランクができると勘が鈍ってフレッシュタイヤのいい部分をうまく使えないんです。ですから、そろそろストリート仕様にアレンジしようかなと考える反面、新しいタイヤが出ればチェックしたりして念願の40秒切り手段を考えてしまう自分がいますね(笑)」。

完熟の領域に達したと思われる溝口さんのランエボⅤではあるが、あと0.1秒を削ぎ落とす余地はきっと残っているはず。進化を重ねてのランエボだからこそ、ここからの限界突破が楽しみだ。

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●取材協力:オリジナルランデュース 岡山県倉敷市三田118-1 TEL:086-464-0606

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【関連リンク】
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