「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは

現行のフルコンと比べても劣らないレベルの先進性!

ストリートマシンであれば十分すぎるほどのセッティング幅!

ROMチューン全盛期、カプラーオンで車両に装着できるフルコンとして、革新的なパッケージと性能を誇ったのが、E&Eシステムの「フリーダム」ECUだ。後に登場したアペックスのパワーFCやHKSのF-CON Vプロといった名機にも、開発面で大きな影響を与えたと見て間違いない。

確かに最新のフルコンと比べれば設計は古いが、岩手県“ステイ自動車整備センター”の工藤氏いわく、「ベーシックな制御に関しては、今でも十分通用するポテンシャルを持っている」という。半導体の小型化や演算処理の高速化、アンチラグのような後発機能の制御には限界があるものの、NAエンジンの基本的な制御という点では、今も現役といえる内容だ。

今回の取材車両は、ユーザーが持ち込んだフルリフレッシュ済みの個体。セッティングの依頼を受けた工藤大父王は、現行フルコンへの換装費用も含めて検討した末、あえて当時から装着されていたフリーダムを活かし、再び制御を煮詰めるという選択に至った。

「フリーダムはDIYであらゆるセッティングもできるように設計され、書き換えられる項目、パラメーターも多く広いんです。さらに燃料マップなんかも当時から3Dで制御できたし、自動補正機能なども画期的でした。ただし、触れる項目や補正の項目が多過ぎたことで逆に理解できなくなって、セッティング不良を招く場合も多かったんです。簡単に言うと、性能は良いのですが、セッティング面のユーザビリティーはその後開発されたフルコンに劣っている感じでしたね。だから扱いになれていないと、チューナーでも嫌がる傾向にありました」とは工藤代表。

当時のフルコンといえば、配線加工が前提だったが、フリーダムは車種専用ラインナップにより、完全なカプラーオン装着を実現していた点も見逃せない。

フリーダムは、セッティングに取りかかるハードル自体は低めだったものの、付属のサービスマニュアルはほとんど工学書のような内容で、すべてを理解して使いこなせるユーザーはごくわずかだった。結果として、ベース設定のまま調子が出ずに終わっていた個体も少なくなかったという。工藤代表は、「そのハードルを越えた先に、セッティングの面白さと理想的なパフォーマンスが待っている」と話す。

今回の車両も、じっくり時間をかけてセッティングを詰めた結果、トップエンドまで滑らかに吹け上がる理想的なパワーカーブを実現。ドカンとパワーが出るわけではないが、アクセルレスポンスの向上と自然なトルクの盛り上がりによって、気持ちのいい走りに仕上がった。

なお、4A-G用のベースデータは7種類ほど用意されているが、実際に始動させるには、ここからさらにパラメーター調整が必要となる。燃料や点火といった基本項目に加え、バルタイとの関係性なども見越した知識とスキルが求められる。

「制御の内容や各プログラムの関係性をしっかり理解できていれば、フリーダムは今でも一流のセッティングツールだと思っています。ただし、燃料噴射はグループ制御の時代だったため、シーケンシャル噴射のような繊細さはなく、アナログ的な感触になる。それでも、高回転まで谷のない4A-Gに仕上げることは可能です。とはいえ、出所の不明な中古品の中には、基板の劣化や破損がある個体もあるので、その見極めは慎重に行いたいですね」と工藤氏は続ける。

ただし、工藤代表のように特性を熟知した者であっても、フリーダムによるセッティングには、現代のフルコンと比べて数倍の時間と労力が必要になるという。だが、だからこそ当時のパーツを活かしたアプローチには意味がある。すべてを最新化するのではなく、当時のパーツが持つポテンシャルを最大限に引き出す。そんなチューニングも、ひとつの立派な選択肢だ。

1 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の1枚めの画像

2 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の2枚めの画像

3 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の3枚めの画像

4 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の4枚めの画像

5 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の5枚めの画像

6 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の6枚めの画像

7 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の7枚めの画像

8 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の8枚めの画像

9 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の9枚めの画像

10 / 10

「「その性能は未だ一線級!?」今こそ評価したい往年のフルコン『フリーダム』の魅力とは」の10枚めの画像

●取材協力:ステイ自動車整備センター 岩手県八幡平市大更2-266-3 TEL:0195-76-4044

「4A-Gエンジンで常用1万1000rpmを実現!」OS技研が開発を進める『4/7AGキット』の全て

「タイムアタックとドリフトを極める二刀流AE86!」パドルシフトまで導入した最先端メイキングは必見!!

【関連リンク】
ステイ自動車整備センター
http://www.stayh.com/

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption