「キミは“第3の車線”を知っているか?」1983年、全長690キロの超巨大ストリートステージに走り屋達が挑んだ!

OPTION誌1983年1月号のストリート激走企画『中央・東名環状ビッグラン』。これは、中央自動車道と東名高速道路、そして首都高速道路を繋げた超巨大な“環状コース”を全開で走ろう!という特集だ。この企画、現在では考えられない業界人が参加しているだけでなく、「普通の人には見えない車線」を走るシーンも登場する。無論、全てはフィクションで、全ては約40年前の絵空事である…。(OPTION誌1983年1月号より抜粋)

禁断の中央高速全通企画!中央・東名環状ビッグラン

今、全長690kmの日本サーキットが誕生した!

ついに念願の中央高速が全通した。これで東京の首都高、東名を結ぶビッグ環状コースの誕生だ。まさに“日本サーキット”と呼ぶにふさわしい。無論、この道は名神を経て大阪環状とも繋がる。高速時代の申し子たちよ、青春の記念に、ぜひトライしてくれ!

【第1ステージ】中央回りは魔のオービスを確認せよ

東京の明治神宮外苑に近い千駄ヶ谷から、400円(当時の首都高普通車料金)を払って首都高・新宿線に乗る。先陣を切るのは、3T-GTE型のツインカムターボ、160psを誇るセリカ1800GT-Tだ。その後方を、ドロドロという150psのV8サウンドを響かせる新型トランザムが続く。両者ともトルコン仕様だが、まさに本場アメリカVS日本のキャノンボールランとして不足はない。

新宿出口の手前、S字コーナーで軽くハンドリングの調子を見る。さぁ、これから中央・東名環状サーキットの始まりだ。胸がキューと高まるのを覚える。高井戸ICからが中央高速起点である。

しかし、アクセル全開は禁物だ。キャノンボーラーの天敵、無人カメラのオービスが2段、3段構えに魔の牙を研いでいる。制限速度は60km/h。このオービスはダミーという説もあるが、スピードダウンが原則だ。そして、4.6km地点が三鷹料金所で、さらに500円を支払う。調布ICを過ぎ、府中IC間のオービスをクリア、これでひとまず安心だ。

セリカ・ターボがグーンとスピードアップ。ターボのフルブーストが効くと、強烈な加速であっという間に170km/hを超える。トランザムも負けていない。その迫力あるシルエットに、前車が道を譲るのだ。

中央高速は2車線だが、路面が良く走りやすい。中央高速のチケットは八王子で受け取る。1642mの小仏トンネルを過ぎると、神奈川県入り。相模湖手前から中央高速の典型的コーナーが始まる。大きいRのS字が続くが、150km/h以上のハイアベレージが保てれば合格だ。

【第2ステージ】処女地にブラックマークを残せ、そして全開!

我がOPTIONが待ちかねていた中央全通は、勝沼ICから甲府昭和IC間の23.1km区間の開通である。トランザムとセリカ・ターボの眼前に、真新しい路面が開けた! まさに処女を犯すような欲望で、ギヤをシフトダウンし、タイヤのブラックマークを黒々と残す。

甲府盆地を貫通するコースは、フラットに近く、全開のルートである。甲府昭和までは100km/h走行でも10分そこそこ。全開なら7分ほどで走り抜ける。長く待ちわびた処女地も、パワフルマシンで走るとあっけない。

韮崎IC(132km地点)付近は緩やかなアップダウンだが、長い直線区間が続く。チューンドカーにとっては最高速アタックポイントだ。通行量が少ないのも、走り屋心をそそる中央高速の大きな魅力である。

眼前に八ヶ岳連峰が迫る。山間の高速コーナーの連続は、ゆるやかなアップダウンとともに、キャノンボーラーにとって気持ちの良い舞台が続く。気になるオービスはなく、パトカーさえ注意すれば、超高速クルージングが意のままに堪能できるのである。

中央高速で最も日本列島に深く入り込む諏訪湖SAは、176.5km地点である。あくまでも路面は良く、交通量は少ない。景色も素晴らしい。適度なコーナーが続くので、運転にもたるみがなく全く疲れを感じない。名古屋以降へドライブするなら、東名より中央をお勧めしたいほどである。

しかし、キャノンボーラーは、典型的な中央高速コーナーの走りを身に付けなければならない。例えば、諏訪湖先の花岡トンネルを過ぎると、下り左→上り右→下り左→右→左→左→右→トンネル→右複合と続く。コーナースピードは170km/hを超える。アクセルを絞ったとしても、コーナー出口では全開できるはずだ。ライン取りも自由自在だから、不安なら2車線いっぱいを利用してもいい。

そして中央高速唯一の渋滞点が、かなり曲がり込んだカーブの先、網掛トンネル(263km地点)から恵那山トンネルとなるわけである。この恵那山トンネルは日本一長い8489m、つまり約8kmという、気が遠くなるほどの長く暗い道程だ。制限速度40km/hで、クルマはスピードを厳守している。1車線の対面交通なので、追い抜くこともできない。この間15分ほどが、どれほど長く感じるか経験してみないと分からないだろう。恵那山トンネルを脱出すると、下りの右コーナーだが、まだ渋滞したクルマが間断なく走っているので、スピードは抑えたほうが無難。

中津川IC(289.1km地点)、恵那IC(298.5km地点)、瑞浪IC(316.6km地点)、多治見IC(329.9km地点)と過ぎると、東京・高井戸から345.1kmで東名との分岐点、小牧JCTの看板が頭上をかすめ去る。

【第3ステージ】渋滞の東名にはスラローム走法が有効だ!

復路の東名高速は、走り慣れたルートだ。しかし、小牧JCTから東名に乗って気が付くのは路面の悪さだ。継ぎ目でクルマが跳ぶのを痛切に感じる。しかし、中央・東名環状サーキットでは、こうした悪条件を呑み込んで突っ走らねばならない。中央ルートがキャノンボーラーの全性能を楽に引き出せるのに対し、東名ルートはいかにハイアベレージを保てるかの勝負なのだ。

例えば、道程標337.6kmの春日井ICから東郷PAまでの20km区間でも、11分もかかってしまう。平均速度は約109km/hである。東名高速がいかに100km/h走行をキープするのが至難の技か理解できるだろう。集団から抜けても、140~150km/hが目一杯だ。そして、すぐ100km/hにダウンされ、もし、上り勾配にでもなれば80km/h以下の場合もあり得る。

この東名ハイアベレージ走行には、テクニックがある。それは、高速道路の禁じ手を逆にとる方法だ。最も効果的なのは、前車を右、左に抜ける“スラローム走行”だが、それ以外に登坂車線やバスレーンからの“ごぼう抜き走法”、“路肩走法”、そして2車線を防いでいるクルマの“中央突破テク”などである。これらは危険なので、あまり勧めることはできないが、万が一の際の危険回避テクであることも事実だ。

道路脇の道程標は名古屋IC 325.5km、岡崎IC 293.4km、浜松IC 230.0kmと、数字が減じていく。そして、中央にないスリリングなコーナーの連続が、御殿場ICの先にある。最近では渋滞するので飛ばせないが、300RほどのS字なので、昔は150km/h近いスピードでアタックしたものだ。

厚木ICからゴールの3車線で、東京入りだ。そして、東京料金所で中央高速・八王子からの1周料金、1万800円(当時)也を払う。道程標の“0点”は、直通している首都高料金所300m手前にあった。

首都高はそのまま渋谷線(3号)から環状線、新宿線(4号)を辿ると、再び中央高速に戻る。さあ、キミたちも一度、この日本サーキットのビッグランに凄春の血を燃やしてみないか?

禁じ手をマスターしてライバルを置き去りに!

この号では、実際に行ったら一発で免許が無くなるであろう「禁じ手」の数々も紹介していた。ちなみに、“見えないの車線”は全盛期のRE雨宮@雨さんが得意にしていた技である。熱き80年代、OPTIONの世界はここからさらに加速していく。

【禁じ手1】バスレーンからワープでごぼう抜き

前方にダンゴ状の集団が見えた。が、左にバスレーンがある。もし、こちらのスピードが明らかに速いなら、一挙にごぼう抜きできる。トップスピードでも可能だ。ただし、レーンの確認を怠るとパトカーが停車していて“御用”のケースもあるので要注意だ。

【禁じ手2】見えない車線(第3の車線)=路肩走行

いわゆる“見えない車線や第3車線”と呼ばれる路肩を走行するわけだが、全開走行では危ない。路肩は斜めの段差がついていて、砂利や異物がある。要注意なのは橋がある部分。斜めの段差が急にフラットになり、クルマが揺られてジャンプしそうになるので気を付けたい。

【禁じ手3】センターラインから攻める中央突破テク

遅いクルマが2車線を防いでいる時の突破テク。しかし、禁じ手の中では最も難しく危険性もこの上ない。それでも前車を突破するにはコツがある。チョン、チョンとノーズを入れる予備動作をして、相手に知らせるわけだ。そして、前車が片側に寄ってくれたら一気に加速して抜き去るのである。(OPTION誌1983年1月号より抜粋)

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