「FL5でワインディングを極めろ！」HKS流シビックタイプRファーストステップチューニングが完成

減衰力の調整は30段階。新設計のニードルバルブにより、1クリックごとの変化量を拡大し、セッティングの幅を広げている。さらに「R」では、応答性とリニア感に優れた専用スプリングを採用。加えて専用のスプリングリテーナーや高性能オイルなど、レースユースさながらの装備が投入されている。

こう聞くと「乗り心地が犠牲になっているのでは？」と不安に思うかもしれないが、ハイパーマックスRには、HKSが長年蓄積してきたセッティングのノウハウが惜しみなく注ぎ込まれており、ハイレート仕様でありながらも純正以上の快適な乗り味が確保されているという。

今回は、そんな最新の車高調を装着したデモカーFL5を、実際にワインディングコースへ持ち込んで試してみた。

「コースがバンピー（路面が荒れている）なのでハイパーマックスSにするか迷ったのですが、以前の峠アタックでも実績のあるハイパーマックスRを装着しました」と語るのは、HKS広報の細田さん。

FL5はボディ剛性が高く、純正の電子制御式サスペンションもよくできている。しかし、スポーツ走行になるとリヤサスの硬さや車高の高さによる挙動の不安定さが露呈することもあるという。

今回装着されたR用スプリングは、初期の応答性が良く、しなやかなフィーリングを持つもので、バネレートは前14kg/mm。さらにスプリング上部には専用リテーナーが備えられ、ハイレートながらも滑らかな伸縮性を実現している。

ダンパーは全長調整式のモノチューブタイプで、負荷の大きいフロントには剛性に優れる倒立式を採用。さらに、素早く減衰力を立ち上げながらも高速域での硬さを抑える「デュアルプリロードバルブシステム」も搭載されている。

ハイパーマックスRはサーキットユースにも対応しており、熱ダレに強い専用オイルを使用。前後ともピロアッパーマウントを採用するなど、スポーツ走行に特化した設計に一切の妥協はない。高めのスプリングレートながら、実際の走行フィーリングは驚くほどしなやかだ。

FL5は電子制御式サスペンションを採用しているため、社外品に交換するとチェックランプが点灯してしまい、車検に通らなくなる恐れがある。そこでHKSでは、サスペンションエラーキャンセラーを標準で付属。さらに2年または4万kmの保証付きで、安心して導入できるのもポイントだ。

減衰力は前後ともに30段階調整式。フロントにはキャンバー調整機構付きのピロアッパーを採用し、リヤにも圧入タイプのピロマウントを使用（タイプSはゴムブッシュタイプ）。今回のデモカーには試作のカーボンブレースも装着されていた。

なお、HKSではFL5用のスポーツタービンキットも用意しているが、今回の車両はよりユーザー志向のブーストアップ仕様。リーガマックススポーツマフラー、インタークーラーキット、マスタリーECU（フェーズ2）などの組み合わせにより、最高出力は約360psを発揮している。

「1本目は減衰力をちょうど中間にして走ってみました。荒れた路面でもしなやかにいなしてくれて、ロールはそれなりにあるけれど、ステアを切り込んだ奥でしっかり粘って、レスポンス良く曲がってくれる。峠にはすごく合ってると思った。ただ、サーキットを走ると考えると少し柔らかいかも…と思って、2本目は減衰力を5段階ほどハード側に振ってみました。すると足まわりのキャラが変わったように、さらにしっかりとした感触に。さすがHKS、奥行きのある足回りに仕上がってるなと感心しました」とは、今回インプレッションを担当したターザン山田氏のコメント。

価格は40万4800円。細やかな減衰力調整機構、高剛性な構造、専用スプリングの設定に至るまで、HKSが長年のレース活動で培ってきたノウハウが惜しみなく注がれている。峠で感じたしなやかさと、セッティング次第で自在にキャラクターを変えられる懐の深さは、“使いこなす楽しさ”そのもの。走りにこだわるすべてのFL5オーナーにとって、新たな可能性を切り開く足回りといえるだろう。

●取材協力：エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181　TEL：0544-29-1235

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