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妥協なき作り込みが導く、極上の走り。
アペックスN1エボリューションダンパーをBRZで試す!
20年以上にわたり、サスペンション開発の現場で進化を続けてきた“アペックス”。その代表作とも言える「N1エボリューションダンパー」は、ストリートからサーキットまでを幅広くカバーし、多くのファンに支持され続けている。標準仕様の他に、ユーザーの車両仕様や走りに合わせたスペシャルオーダーにも対応する。
減衰力の要となるピストンは、46φの大径タイプを採用。街乗りでの轍やギャップへの追従性を高めるため、微低速域からリニアに立ち上がる特性とした。足をしっかり動かすことで、限界域でのコントロール性を向上させながら、突き上げを抑えたしなやかな乗り味を実現する。
設計においては、コストではなく品質を優先。アッパーマウントにはNMB製の高品質ピロボールを採用し、ダンパーボディには剛性と強度に優れるスチール製のモノチューブ構造を採用。ダンパー内部を循環するフルードも、熱ダレに強く劣化しにくい高性能タイプを注入している。


特に横方向からの応力がかかるフロントストラットには、倒立式構造を採用。前後ともに46φの単筒ピストンを使用し、微低速域からリニアに減衰力を発揮する。さらにフロントアッパーマウントとスプリングの間にはスプリングリテーナーを挟み込み、スムーズな伸縮をアシスト。前後のスプリングレートはフロントが10kg/mm、リヤが8kg/mmとなる。

車高調整には、ダンパーストロークに影響を与えない全長調整式を採用。ピストンには特殊樹脂製のリングを組み込むことでフリクションを低減し、耐久性の向上も図っている。さらに静電気の発生も抑制する設計とした。

リヤダンパーは正立式。7インチのスプリングを組み合わせ、デモカーにはピロが組み込まれたアジャストケース仕様を装着。標準仕様ではゴムブッシュが圧入されるが、こちらはよりダイレクトな応答性とコントロール性が得られる。スプリングレートは8kg/mmだ。

減衰力は25段階で調整可能。一般的なダンパーではハード/ソフト両端で調整幅が狭くなることもあるが、N1エボリューションは全域で均等に変化するのが特徴だ。さらにストラット周りの剛性を高めるため、オリジナルのドライカーボン製タワーバーも組み合わせた。

デモカーのBRZは、吸排気系をメインとしたライトチューン仕様。吸気には純正エアクリーナーボックスを活かしつつ、空気量を増やす専用インテークダクトを装着。これは純正のレゾネーターボックスを撤去し、新たに吸気管を増設するレイアウトだ。

排気系はキャタライザー付きのエキマニに加え、N1エボリューション・エクストリームマフラーを組み合わせることで、トルクの谷を埋めながらパワーを引き上げている。吸排気の見直しにより、15〜20ps程度の出力向上を実現した。

タイヤはブリヂストンのポテンザRE-71RS(255/35R18)、ホイールはBBS RE-V7を装着。ブレーキにはプロジェクトμのFS4M(フロント)&FS2(リヤ)キャリパーをセットして強化を図る。

今回はこのBRZを峠コースに持ち込み、プロドライバーのNOB谷口選手がインプレッションを実施。

「ストリートなら15段戻し、サーキットなら6〜7段戻しが推奨ということで、まずはフロント10段/リヤ12段戻しで試走してみた。足はしっかり動いてるけど、少しフラつくというか、もう少し剛性が欲しい場面もあった。そこで前後とも5段締めてみたら、一気にフィーリングが良くなった。適度にロールしながらしっかり粘ってくれるから、思った通りのラインがトレースできる。バネの動きもちゃんとダンパーでコントロールされているし、伸びと縮みのバランスもいい。扱いやすい足だと思うよ」と谷口選手も太鼓判を押す。

アペックスの柏倉氏によれば、「クルマの仕様や走り方、コースに合わせたスペシャルオーダー仕様の製作も可能。フルキットだけでなく、スプリングレスキットやダンパーキットも用意しているので、お好みのスプリングを組み合わせて使うこともできる。もちろんオーバーホールや仕様変更にも対応しているので、長く使い続けてもらえる」という。
価格は、デモカーに装着されているリヤ・アジャストケースピロ仕様が45万3200円。スタンダード仕様は42万1300円となっている。
一切の妥協を排した設計と、実戦から得たフィードバックを融合させた「N1エボリューションダンパー」。高剛性・高精度な構造と繊細な減衰力チューニングによって、あらゆるフィールドで破綻のない安定感をもたらす一本だ。軽快なストリートから、シビアなサーキットまで。自分だけのベストバランスを探す走り手にとって、このダンパーは頼れる武器となるはずだ。
●問い合わせ:アペックス TEL:0544-65-5061
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アペックス
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