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BNR32で楽しむ“平本レプリカ”!
劇中仕様とストリート快適性を両立したライトチューン
2016年、アルテッツァからの乗り換えでBNR32型スカイラインGT-Rを手に入れた“多摩E”さん。その動機は明快だった──「一度はRB26に乗ってみたかった」。
中でも、RB26搭載車の中で特に惹かれていたのが、BNR32だったという。

購入に際して譲れなかった条件は3つ。「事故歴なし」「フェンダーの爪折りなし」「ジャッキアップポイントに凹みなし」。そうして出会ったのが、この一台。当初はワインレッドを狙っていたものの、手に入れたシルバーのR32を今では「正解だった」と語る。


この“シルバーのBNR32”こそが、彼の“湾岸ミッドナイト・平本仕様”再現プロジェクトの出発点となった。劇中車と同様にリアスポイラーを取り外し、“チビスポ仕様”にするため、ウイング穴のない純正トランクを探し出して換装。その裏には、作中の名シーンを貼り込み、痛車イベントではさりげないアピールポイントにもなっている。
ちなみに、元のウイング付きトランクもきちんと保管済み。「いつか羽根を戻したくなったときのために」とのこと。



コクピットにも、平本仕様の“静かな熱量”が宿る。ステアリングのホーンボタンには、平本の妻“恵”の泣き顔イラストがレイアウトされており、それが唯一の“痛車的”演出。その他は実にシンプルだ。
ステアリングはATC製ラリーディープ、メーターはニスモの260km/hスケール、そしてシートは当時感を意識して選んだブリッドのジータ2が装着されている。

取材当日、多摩Eさんが持参していたヘルメットのバイザーには、作中に登場する整備工場「グリーンオートガレージ」のステッカーが。言わずもがな、これは平本の勤務先である。

なお、機関系は劇中仕様とは異なるライトチューンにとどめている。エンジンの腰下はノーマルのまま、東名パワードのポンカムAとBNR34純正タービンを組み合わせ、制御は純正ECUの書き換え。ブースト1.0キロでおよそ350馬力を発揮する。
チューニングや整備は、埼玉県のE-NEXTに一任しているそうだ。


ホイールはレイズ・ボルクレーシングのTE37 SL(F/R:10.5J+15)をチョイスし、往年のTE37 OG風に仕上げているのがポイント。スポーク部分はアルマイト風ブロンズ、リムは切削後にキャンディブロンズ塗装を施すことで、OG特有の濃淡のある質感を見事に再現している。

「劇中のGT-Rをそのまま再現する」のではなく、“自分の使い方”や“好み”に合わせて仕様を調整し、長く付き合える一台に仕上げていく─それが多摩Eさんのスタンスだ。
将来的にはエンジンのリフレッシュや、もう少し余裕のあるタービンへの換装も視野に入れているが、ハイチューン化するつもりはないという。
あくまで、“自分にとって心地いいR32”であること。湾岸ミッドナイトへの想いと、実用性を大切にする姿勢。そのバランス感覚こそ、このGT-Rのいちばんの魅力なのかもしれない。
PHOTO:小竹 充(Mitsuru KOTAKE)
⚫︎取材イベント:Lowstars meetimg 2025