「アンダー400馬力の180SXがD1地方戦セントラルの頂点に!」ローパワーでも勝てるマシンメイクに注目

アクチュエーター調整を駆使してパワーを使い切る!

軽さとグリップ力をバランスさせたシバタイヤが走りを支える

D1競技への登竜門として開催されているD1地方戦シリーズ・セントラルディビジョン(日光サーキットと茂原ツインサーキットを転戦)の2021年シリーズを制したのが、今回紹介する風間光輝(かざま こうき)選手だ。

愛機の180SXは、RB25DETエンジン+T518Zタービンで350psと、今時の大会仕様としてはローパワーな部類に属するが、4戦中準優勝3回、4位1回、単走優勝は2回と、常に上位進出する安定感を見せてくれた。

風間選手はドリフト歴18年の大ベテラン。前愛車のC34が廃車になったことを機に、180SXヘとハコ替え。「たまたま180SXをハコを持っていたのと、C34のままでは重量的にキツかったので」とのこと。

パワートレインはC34からフル移植した。エンジンはECR33前期のRB25DETで、ミッションも同車種の5速を流用。なお、エンジン本体はオーバーホール時にメタルガスケットをインストールしているが、腰下は純正のままだ。

タービンはトラストのT518Zで、設定ブースト圧は通常時が1.05キロ。大会時には1.2キロ程度まで上げることもあるという。アクチュエーターの調整には拘りがあり「同じブースト圧でもここを調整すると速さが全然違ってくる」と、大会中でもロッド調整するそうだ。

吸気系はトラストの大容量サージタンクとインフィニティQ45用スロットルのコンビで吸入効率を限界まで高めている。ちなみに、エンジン本体以外のパーツ交換作業は、基本的に風間選手自らが行なっている。

冷却系はブリッツのインタークーラーに、HPIのJZX90用ラジエターを加工装着。オイルクーラーはセトラブのコアを使用する。「ラジエターが汚れると冷えなくなる」と、年に一度のペースで洗浄するのがクーリング性能キープの秘訣だそうだ。   

ドリフトに重要な切れ角アップは、ウインズのショートナックルとユーラスのタイロッドで達成。ロアアームは25mm延長のウィンズ製で、テンションロッドもユーラス製をチョイスしている。

車高調はフロントがブリッツ、リヤはレーシングギアという組み合わせ。スプリングはレート変更の違いを分かりやすくするためにスウィフト製で統一し、様々なセッティングを試した結果、フロント12kg/mmのリヤ6kg/mmに落ち着いた。リヤのアッパーアームとトラクションロッドはD-MAX、トーコンロッドはヤナックを装着。

ホイールはフロントがプロドライブGC-07(8.5J×17)で、リヤはエンケイRPF1(9.0J×17)。風間選手いわく「履こうと思ったホイールとタイヤは体重計に乗せてチェックしてます」とのことで、軽さを追求して必要以上に太いホイールは履かないのだ。

タイヤに関しては、シリーズ前半はトーヨーのプロクセスR1Rを履いていたが「タイヤ自体の軽さとグリップ力、自分のクルマとのバランスを考えたらシバタイヤがベストだと判断しました」と、第4戦から前後ともシバタイヤの235/40-17に変更した。

シンプルにまとめられたコクピット。ステアリングハンドルは330φのD1スペック。シートは通販で購入した1万円程度のフルバケットだが、そのままではニーサポートの高さが不十分でドリフト時に姿勢を保持しきれなかったため、座面クッションを撤去。メーター類はコラム上にブースト計、メータークラスター内に油圧計、油温計、水温計を配置している。

ボディはスポット溶接増しとピラー留めロールケージで徹底強化。「レギュレーションの関係で軽量化はそんなにできないけど、ボディを固くすればキチっと速くなりますからね!」と風間選手。

下位カテゴリーとはいえ、大パワー&高トルク、そして高いトラクション性能を持つことが有利とされるのはD1グランプリと同じく近年の傾向だ。そんな状況にあって、ローパワーをものともせず、独自の工夫とテクニックで勝ちをもぎ取る風間選手は、一言で“職人”。2022年さらなる躍進に期待したいドリフターだ。

取材イベント:D1地方戦セントラル第5戦茂原
TEXT&PHOTO:山本大介(Daisuke YAMAMOTO)

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