「このS31Zは理想的すぎる!」エアコン&電動パワステ&完備の3.1Lフルメカチューン仕様

心臓部にはRB30改3.1Lユニットを換装

パワステ&エアコンも装備する快適ストリート仕様

1969年にデビューし、日産を代表するヒット作になった初代フェアレディZ。“サンマル”の愛称で親しまれ、1969年〜1978年の間に世界で約50万台が販売された。

レース用に開発されたS20エンジン搭載車(432Z)や、排気量とエアロパーツの異なるモデル(240ZG)などの派生をはじめ、輸出仕様には大排気量のL26やL28エンジンを搭載するモデルも存在した。

ちなみに、シャシーは大きく分類すると初期(1969〜1970年)、中期(1971〜1973年)、後期(1974〜1978年)の3種類。1975年中盤からは、当時の排気ガス規制などに対応したことでS31と型式が更新されている。

1974年よりシャシーに加えてテールランプのデザインなどが変更されたため、このタイミングで前期/後期と分類する人も多い。

走り屋に人気のモデルは、車重の軽い1973年までのワンテールモデルだが、この車両の製作にあたってはあえて最終モデルが選ばれた。その理由は、後期モデルになるほど剛性が高い上、ボディの腐蝕も少なく装備も良いという見地から。

そしてコンセプトは「ストリートチューニングカーとして、今の技術で快適に、それでいて十分な動力性能を」というものだ。

目玉となるのは心臓部。輸出用のスカイライン(R31)やオーストラリアのホールデン社に供給・搭載されていたRB30エンジンを換装しているのである。しかし、RB30はシングルカム仕様であるため、ヘッドにはRBシリーズ最高峰のRB26用を加工流用してツインカム化。フィーリングを優先し、NA仕様で作り込まれたエンジンは、オーバーサイズピストン&ハイカムを組み込んだ3.1L仕様で仕上げられた。

なお、スロットルはナプレック製のRB26DETT用50φスロットルを使い、100mmのロングファンネルでムードも満点。排気系はS20用の等長EXマニ改+音質重視で選んだフルデュアルマフラーを装備するなど、キッチリと手が入っている。

駆動系チューンも抜かりない。ドライブシャフトはZ31用を加工した等速ジョイントタイプで、デフも大容量のR200を移植。リヤスタビは定番の2by2用を流用し、強化ブッシュで剛性もアップ。ミッションはシンクロの進化した71C(R32スカイライン用の5速)を亀有製マウントキットを使って搭載している。

リヤブレーキも見所のひとつだ。サンマルのストラット式サスペンションを活かしつつ、インナーシュー式サイドブレーキごとBCNR33のブレンボキャリパーを移植しているのだ。ノーマルボディ&ハブのままで、ホイールのオフセット選択幅を狭めずにこの移植を行うのは至難の技で、現物合わせの加工も多く、コストには換算できないほど手間がかかったそうだ。

リヤのみならずフロントブレーキもGT-R純正ブレンボ化しており、それに合わせてブレーキ容量やバランスを調整すべく、マスター類もBCNR33用に変更済みだ。

一方のインテリアは純正の雰囲気を残したまま快適性を追求。純正エアコンのコントロールパネルを利用しつつ軽自動車のエアコンをシステムごと移植したり、同様に電動パワーステアリングを投入するなど、旧車のネガを払拭しているのだ。

メーター周りでは、デフィの90φタコメーター装着に合わせてスピードメーターにもベゼルを追加し、さらにオフセットも変更するなどディテールを徹底的に追い込んでいる。

エクステリアは、当時流行した輸出仕様のスタイルとなる。派手すぎても雰囲気が出せないと、BNR34のニュルスペック専用色であるミレニアムジェイドにオールペンを敢行している。

マニアックなチューニングとしては、リヤからのプロポーションだ。デフケースやエキゾーストマフラーがチラリと見える前期型の雰囲気を演出するために、わざわざBNR32用の樹脂製燃料タンクを移植していたりする。この移植でスペアタイヤスペースは失われるものの、インタンク式のフューエルポンプが使えるなどメリットも大きいそうだ。

スーパーチューンドでありながら、日常に溶け込める安定性と高バランスを手にした大排気量仕様のS31Z。旧車チューンの理想形のひとつかもしれない。

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竹本雄樹 近影

竹本雄樹