「先代の流用ではなくゼロベースで開発中!」HKS流GR86/BRZチューニングの現在地

GR86/BRZのまだ見ぬパフォーマンスを徹底追求!

“GR86/BRZを誰よりも楽しむ”というコンセプトを掲げ、新型ZN8/ZD8チューニングを進めるHKS。展開は多岐に渡り、基本となる吸排気系からサスペンション、エアロシステムに加え、ボルトオン過給機やスポーツECU、排気量アップキットなども開発が予定されている。 ここではいち早くリリース開始となったパーツを中心に、プロジェクトの最新状況をチェックしていく。

エアロボディキット

HKSがこれまでに手がけてきたタイムアタックマシンのノウハウを投入し、保安基準適合の枠組みの中でFRスポーツに相応しい空力を目指したボディキットタイプS(価格未定)。純正バンパーやサイドステップを活かしたアンダーディフューザータイプながら、ボトムラインを強調するディテールでワイドボディに匹敵する迫力を獲得している。

構成パーツは、フロントリップスポイラー、カナード、フェンダーカバー、サイドスカート、リヤサイドディフューザー、リヤウイング、GTウイングの7点。シリーズの1作目という位置付けで、バンパー類はノーマルのままアンダーリップ等を追加していくもっともオーソドックスなタイプとなる。

各部にカーボン素材を惜しみなく採用し、空力パーツとしての機能を追求しているのもポイントだ。リヤウイングは2022年3月、その他は2022年1月のリリースが予定されている。

エキゾーストシステム

前モデルZN6/ZC6ではこれ一択というほどの圧倒的な人気を誇った“ハイパワースペックL”の進化版が、このハイパワースペックLII(18万4800円)”だ。2.4L化に合わせて全てが見直され、メインパイプは前モデルの60φに対し65φへと拡大。極薄肉ステンレス材の採用で、チタンマフラーに匹敵する軽さ(HKS製:11.4kg/純正:16.2kg)を実現している。

好みに応じてテールフィニッシャーを交換できるのも見どころの一つだ。レイアウトはメインパイプ65φ→50.8φ×2→テール94φ×2のストレート構造で、将来的な過給機の追加にもしっかり対応できるスペックであることは言うまでもない。スポーツ触媒付きのEXマニホールドも開発中とのこと。

リヤビューのアクセントとなるようなデザイン面への拘りに加え、消音材にAdvantexグラスウールを採用するなどマフラーとしての性能も徹底追及した名作“リーガマックスプレミアム”も、GR86/BRZ用モデル(11万8800円)がスタンバイ。

排圧低減効果によるトルク感とレスポンスの向上に加え、音量は抑えながら低音の効いたサウンドチューンが拘りだ。純正バンパーの切り欠きに合わせた焼き入れ処理の大口径124φテールが、スポーティにリヤスタイルを演出してくれる。

サスペンションシステム

基本的なシャシー&サスペンションには変更がないため、ZN6/ZC6用の車高調がそのまま装着できる新型のZN8/ZD8。しかし、排気量も走りの味付けも変わっているからにはそのままで良いはずはないと、HKSでは完全な新車と割り切ってゼロベースでサスペンションの開発に着手。その第一弾としてリリースされたのが“究極の走り心地”を追求したハイパーマックスS(26万1800円)だ。

このハイパーマックスSは、ハイパーマックスMAX IV GTの後継として9年ぶりの大幅進化を果たしたモデルで、20スペックに採用したPVS(プリロードバルブシステム)の進化バージョンにあたるデュアルPVSを実装しているのがコア技術。これは、バルブシムにプリロードをかけることで、ピストンスピードが遅い微低速域からしっかりと減衰力を立ち上げ、逆にハイスピード域では過度な減衰をカットするという独自技術なのだが、その特性をより伸ばした仕様になっているのだ。

バンプラバーは、フルバンプ時の衝撃吸収材ではなく、サスペンションチューニングにおける一つの要素としてセッティング。バンプタッチ時の急激な挙動変化を抑えるために、素材から見直したそうだ。

デモカーの車高は、前後マイナス27mmの推奨値で設定。この状態で最低地上高は97mmで、普段使いとしてはこのレベルが限界というのがHKSの考えだ。ハイパーマックスSは出荷段階でこの推奨車高になるようにセットされている。

「ボディ剛性はもちろん、パワステの質感も向上しているGR86とBRZをさらに上質なスポーツマシンにするために開発したのがハイパーマックスSです。ノーマルタイヤとフレバ、ネオバで徹底的に走り込んだ結果、それぞれ専用モデルを設定することになりました。サーキット向けのハイパーマックスMAXⅣSPも1月リリースを目指して開発中です」とはHKSの矢部さん。

チューニングシーンの隆盛は、多彩なチューニングパーツがあってこそ成立しているものだ。そして、それらの方向性は、メーカーの開発コンセプトが大きく影響していることは言うまでもない。今はただ、HKSの“これから”に期待するばかりだ。

●取材協力:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235

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