「キミはダイハツ最後の自社開発セダンを知っているか?」シャレードソシアルSXと奇跡の遭遇

素朴なスタイリングがたまらないっ!

見た目は地味だし存在感も希薄。ダイハツ最後の自社開発セダン

リッターカーの草分け的存在として1977年に発売されたシャレード。初代G10系、2代目G11系ともに3/5ドアハッチバックでの展開だったが、1987年登場の3代目G100系で初めて独立したトランクルームを持つ、4ドアノッチバックセダンのソシアルがラインナップに加わった。

4代目G200系にもソシアルは設定され、シャレードがフルモデルチェンジした翌年の1994年5月に発売。ボディはG100系より全長で105mm、ホイールベースで55mm拡大し、搭載エンジンも1.3LのHC-F型(82ps/10.6kgm)から1.5LのHE-EG型(97ps/12.8kgm)へと改められた。

当初のグレード展開は上からSE、SEエクストラ、SXリミテッド、SXで、全てのモデルに4速ATと5速ATを設定。駆動方式はFFを基本として、SEとSXにはフルタイム4WDも用意された。

シャレードに対してオマケのような存在(?)としか思えないソシアルだが、ダイハツはそれなりに気合を入れていたようで、まず1995年11月のマイナーチェンジでヘッドライトやバンパーのデザインを変更してフロントマスクを一新。翌1996年10月にはエンジンに改良が加えられ、スペックが100ps/13.0kgmに向上した。

取材車両は、100ps仕様のエンジンを搭載する後期型SXの4速ATモデル。地味さ加減にさらに輪をかける濃紺系のボディカラーがたまらない。

エンジンは、1.3L直4のHC型をストロークアップ(71.4→82.6mm)して排気量を1.5Lに拡大したHE型。SOHCながら吸気2、排気2の4バルブヘッドを持つ。ちなみに、ストロークを87.6mmまで伸ばした1.6L仕様がA100系アプローズやG300系パイザーに搭載されたHD型になる。

メータークラスターやセンタコンソールにウッド調パネルが配されたダッシュボード。ドリンクホルダーやフタ付きの小物入れを備える助手席側のトレイは純正アクセサリーだ。センターコンソールには上からエアコン吹き出し口、マニュアル式エアコン操作パネル、純正1DINカセットプレイヤー付きAM/FMチューナーが並ぶ。

前席は前後スライドとリクライニング、ヘッドレスト高さと調整機能は最低限。後席は背もたれとヘッドレストが一体式のハイバックタイプで、左右は3点式シートベルトを備える。

後席背もたれは6:4分割で前倒しが可能。フラットにはならないが、開口部が大きいトランクスルー機能でラゲッジスペースを拡大できる。

シャレードソシアルが素晴らしいのはパッケージング。4m強の全長からは考えられない大容量のトランクスペースを持つ。バンパー直上から開くトランクリッドによって荷物の出し入れもしやすそうだ。

ホイールは標準のスチール製13インチに代えて、シャレードデトマソの純正アルミ製14インチを流用。タイヤは165/65R14サイズのルマンVが組み合わされる。

マニアなクルマ好きから注目されるのはもはや宿命と言うしかないが、これといった特徴の無さが功を奏し、世間一般の目を欺くことは楽勝なシャレードソシアル。ひっそりと隠密行動を取りたい時に、これほど相応しい国産セダンは他にないだろう。

■SPECIFICATIONS
車両型式:G203S
全長×全幅×全高:4085×1620×1385mm
ホイールベース:2395mm
トレッド(F/R):1385/1390mm
車両重量:920kg
エンジン型式:HE-EG
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ76.0×82.6mm
排気量:1498cc 圧縮比:9.5:1
最高出力:100ps/6400rpm
最大トルク:13.0kgm/3600rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ(F/R):165/70R13

TEXT&PHOTO:廣嶋ケン太郎
●取材協力:SKT 東京都あきる野市横沢欠ノ上43-1 TEL:042-519-9826

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