「2台のCKランサー後期型、年式違いの最上級グレードを乗り比べ」三菱マニア必読の特別企画!

1.8LV6を載せるMXサルーンと、1.5L直4搭載のエクシードを比較!

違いはエンジンだけじゃない。微妙に異なる装備にも注目

搭載エンジンや装備の違いによって用意されるグレード。それは当然、車両本体価格にも大きく影響してくるわけで、より多くのユーザーを採り込みたいメーカーの戦略だが、諸々の事情によってグレード体系は見直されるものだ。

特にバブル景気崩壊後に開発されたクルマはその傾向が強く、ここで取り上げるCK/CM系ランサーもそれに該当する1台。マイナーチェンジ直後には存在していた1.8V6MXサルーン(CK6A)と、それに代わって最上級グレードになった1.5エクシード(CK2A)をディティールまで含めて比べる…というマニアックな企画。

CK系がリリースされたのは1995年で、バブル崩壊によるコストダウン策でミラージュセダンとほとんどを共有化。事実上、このCK系からランサーとミラージュの違いは、販売チャンネルのみという双子車になった。

ところがCK系ランサーが面白いのは、シャシーの共通化とは裏腹に、豊富にエンジンバリエーションを用意していた点。なんと直4が1.3Lから1.8Lターボまでの5種類、他にV6の1.8L、直4の2.0Lディーゼルターボまでの計7種類も用意。駆動方式もFFと4WDがあるのだから、これで本当にコストダウンになっているのか!? と思うのだが…。

1.8V6MXサルーン(CK6A)

V6MXサルーンは排ガス規制変更に伴う後期のマイナーチェンジで廃止となるまでの最上級グレードで、その名の通りV6の6A11搭載モデル。これは“世界最小”の6A10の拡大版だが、ヘッドがDOHCからSOHC4バルブになっている。

1.5エクシード(CK2A)

対するエクシードは、前期で追加されたMXサルーンGを引き継いで設定されたラグジュアリーモデル。エンジンは1.5L直4DOHCの4G15を搭載する。ちなみに4速ATのINVECS-II化に伴って、前モデルのCD系とは搭載方向が逆転している点に注目。

1.8V6MXサルーン(CK6A)
1.5エクシード(CK2A)

続いてインテリア。どことなくレンタカー的なイメージが漂う、プラスチック感満載の“総ねずみ色”内装のCK6A。V6エンジンを載せているのに安っぽい気も…。その点、CK2Aは黒基調にウッド調パネルやステアリング、UVカットガラスなどが装着されていて高級感あり。

1.8V6MXサルーン(CK6A)
1.5エクシード(CK2A)

中央にスピードメーター、左にタコメーター、右に水温、燃料の基本的なメーターレイアウトは共通。ただし、CK6Aのタコメーターは9000rpmフルスケール、レッドゾーンも7000rpmからとなっていて、V6エンジンの方が高回転志向ということを物語る。一方のCK2AはATポジションインジケーターがスポーツモード仕様となる。

1.8V6MXサルーン(CK6A)
1.5エクシード(CK2A)

ミッションはともにINVECS-II 4速ATを採用。これは人間の脳に近い判断が可能な電子制御AT(INVECS)をさらに進化させたもので、従来モデルとはエンジン&ミッションの搭載方向が逆転している。CK2Aはマニュアルゲート付きのスポーツモードとなる。

1.8V6MXサルーン(CK6A)
11.5エクシード(CK2A)

ドットマトリックス表示のデジタル時計を採用するCK6Aに対し、CK2Aはセグメント表示タイプを採用。CK6Aのモードボタンは、時計機能の他、日付表示や電子コンパスへの切り替えが可能となっている。

1.8V6MXサルーン(CK6A)
1.5エクシード(CK2A)

CK6Aの運転席は2ウェイパワーシートを標準装備。対してCK2Aは一般的な手動調整タイプ。どちらもカタログ上は“ラグジュアリーシート”だが、CK2Aの方が硬めの印象だった。経年変化によるものか!?

1.8V6MXサルーン(CK6A)
1.5エクシード(CK2A)

どちらも電波式キーレスエントリーやカラードドアミラーといった装備は同じ。ただし、ドアノブがCK6Aはボディ同色、CK2Aはメッキ仕様と異なり、インナードアハンドルもチタンカラーとなっている。

1.8V6MXサルーン(CK6A)
1.5エクシード(CK2A)

トランクリッド左側の“MITSUBISHI”エンブレムだが、なぜかCK2Aの方だけダイヤモンドマーク付き。ちなみに、ミラージュのリヤ周りは北米仕様ランサーの流用らしい。

1.8V6MXサルーン(CK6A)
1.5エクシード(CK2A)

V6のCK6Aはデュアル出し、直4のCK2Aはシングル出しタイプのマフラーテールとなっている。テールピースのフランジ位置は共通なので、流用は可能だと思われる。

この2台を乗り比べた印象を簡潔に例えるなら、“東南アジアのレンタカー”という感じなのだが、V6エンジンのフィーリングは秀逸。パワー感こそないものの、フラットなトルク特性で高回転までスムーズに回る。その点エクシードはやはり高速で追い越しをかけるには、キックダウン不可欠で辛いのだ。

結論としては“V6エクシード”があれば買っても良い感じがする…。なぜ作らなかったんでしょうね、三菱は!?

■SPECIFICATIONS(1.8 V6 MX SALOON)
車両型式 CK6A
全長 4290mm
全幅 1690mm
全高 1395mm
ホイールベース:2500mm
トレッド(F/R):1450/1460mm
車両重量 1130kg
エンジン型式:6A11
エンジン形式:V6SOHC
ボア×ストローク:φ75.0×69.0mm
排気量:1829cc 圧縮比:9.5:1
最高出力:135ps/6000rpm
最大トルク:17.0kgm/4500rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/マルチリンク
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:185/65R14

■SPECIFICATIONS(1.5 EXCEED)
車両型式 :CK2A
全長:4290mm
全幅:1690mm
全高:1395mm
ホイールベース:2500mm
トレッド(F/R):1450/1460mm
車両重量:1020kg
エンジン型式:4G15
エンジン形式:直4DOHC
ボア×ストローク:φ75.5×82.0mm
排気量:1468cc 圧縮比:9.5:1
最高出力:110ps/6000rpm
最大トルク:14.0kgm/3000rpm
トランスミッション:4速AT(MTモード付き)
サスペンション形式(F/R):ストラット/マルチリンク
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:185/65R14

TEXT:川崎英俊(Hidetoshi KAWASAKI)/PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:LEE factory 埼玉県児玉郡上里町七本木32-5 TEL:0495-35-0122

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