「これがユーノス全盛期の基幹車だ!」V6エンジンを5速MTで操るユーノス500の魔力

バブルマツダの傑作と言える1台! 注目はスタイリングだけじゃない!

コレを真似たのがアルファロメオ156!?

5ナンバーサイズのミドルセダンであるユーノス500は、1992年2月に登場した。ユーノスチャンネルの基幹車種として高品質への拘りが強く、例えば、ボディでは重量の約90%に防錆鋼板を使用。カチオン電着塗装の上に中塗り、上塗り、新硬化クリアコートを実施し、ボディを回転させながら乾燥、焼付けすることで塗膜の厚さと硬度を大幅に向上させる“高機能ハイレフコート”が採用される。それによって滑らかで深みのある艶と、色褪せやスリ傷などに強い耐候性、耐久性を長期に渡って維持しているのだ。

そうしてしっかり作り込まれたボディに搭載されるのは、2.0LのKF-ZE型(160ps/18.3kgm)と1.8LのK8-ZE型(140ps/16.0kgm)という2種類のV6で、どちらも5速MTと4速ATが用意される。取材車両はKF-ZE型を載せる普及グレードの20Fだ。

曲面を多用したダッシュボード周りのデザイン。クオリティの追求はインテリアにもうかがえる。メータークラスター左右にはフォグ&バックフォグ、オートエアコンなどの各種スイッチを配置。メーターは左からタコメーター、スピードメーター、燃料計、水温計が並ぶ。

メータークラスターがセンターコンソール左端まで食い込むため、必然的に低い位置に配置されることになったエアコン吹き出し口。その下は順に1DIN純正AM/FMチューナー付きカセットデッキ、小物入れ、シガーライター&プッシュオープン式の灰皿だ。

発泡材注入式ピラーや制振構造採用ダッシュパネルを用いるなど、音や振動への対策を実施。これも高品質を求めた一環と言える。20Fはファブリック地のシートが標準で、オプションを含めて本革シートの設定は無し。取材車両は、最上級グレード20Gから本革シートを移植することでラグジュアリー感をアップ。

試乗して真っ先に感じたのは、低速域の力強さとギヤ比の秀逸さ。以前、4速ATモデルに乗ったことがあったが、雰囲気がまるで違うのだ。ファイナル比はどちらも4.1(微妙に違うが)だが、1速ギヤ比はATの2.800に対してMTは3.307と遥かにローギヤード設定。これがフィーリングに大きな差を生んでいることは間違いない。

各ギヤの繋がりを見るステップ比は1~2速こそATもMTも1.8で変わらないが、2速以上になるとギヤが1段多い分、MTの方が小さくなる。つまり、シフトアップ後にエンジン回数数の落ち幅が小さく、上のギヤへの繋がりが良いということだ。

たしかにATとのマッチングも良かった。が、MTに乗ってしまうと、KF-ZE型をより楽しめるのはやはり5速MTだったか…と思うしかない。そもそもが“回りたがり”のマツダ型だから、なおさらそんな思いを強くする。

自動車税の改正もあってユーノス500が登場した1991年というと、“排気量2.0L以下で、全幅拡大による3ナンバー”が増殖しはじめた頃。しかし、その波に乗ることなく、5ナンバー枠に収まるサイズでこのスタイリングを実現したところにユーノス500の大きな価値があったのだ。

■SPECIFICATIONS
車両型式:CAEPE
全長×全幅×全高:4545×1695×1350mm
ホイールベース:2610mm
トレッド(F/R):1470/1480mm
車両重量:1210kg
エンジン型式:KF-ZE
エンジン形式:V6DOHC
ボア×ストローク:φ78.0×69.6mm
排気量:1995cc 圧縮比:10.0:1
最高出力:160ps/6500rpm
最大トルク:18.3kgm/5500rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式:FRストラット
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR195/60R15

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
取材協力:SKT TEL:042-519-9826

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