「シャコタン番長のノウハウを全注入!」低さと走りを両立した美しきS14シルビアの全て

極限の低車高が魅せるドリフトを追求

アームロックを完全回避!乗り心地も考慮したサス作り

“326パワー”の春口代表が、長いドリフト歴で一貫して追求してきたのが極低車高。時代によってスタイルは変化してきたが、常に最先端をいくシャコタンチューニングを提唱。そのスタイルを具現化したのが、このS14シルビアだ。

「このシルビアは、ホイールのリムをフェンダーに“被せて低く見せる”んじゃなくて、“被ってないのに低い”を表現したドリ車です」と語る春口代表。

リムがフェンダーに被るとホイールが小さく見える…というのも理由のひとつで、19や20インチではなく、あえて18インチをセットしたのは自身が提えるスタイルへの挑戦でもある。細部を見ていく。

エンジンは吸排気チューンのみで、ブーストアップもしていない状態だったりする。元々デモカーだった時はタービン交換も予定していたが、チューニング前に現オーナーからどうしても譲ってほしいと頼まれ、そのまま販売したことが理由だ。

排気系はシャコタン専用の326パワーオリジナルを装着。マフラーはサイレンサーをフロア側にオフセットして、テールエンドのみを路面に近づける設計。フロントパイプはメインフレームより上に位置するよう、オーバル形状の採用や角度が計算されているのだ。

そして足回り。車高調キットは低走番長シリーズオリジナル(スウィフトスプリング:F14kg/mm R12kg/mm)で、前後ともに倒立式を採用して減衰力の広い調整幅(伸縮一体8段)を確保。また、各アーム同様にアッパー側、ロワ側ともに振り幅の広いピロを採用することで、しっかりとストロークする足に仕上げている。

タイロッドエンドは、ロッド角を変更できるオフセット機構を採用。切れ角アップによりナックルとタイロッドが無理な角度(いわゆる逆間接)になるのを防ぎ、ドリフト中の細かなステアリング修正が必要なくなるというわけだ。

また、この機構によって路面方向へのオフセットも可能なので、高可動ピロの採用と合わせてシャコタンでもタイロッドへの負担を大幅に軽減してくれる。

フロントのテンションロッドはロワアームとの干渉を避けるために、市販品で最も細いテイン製を装着する。

ホイールは2対の5本スポークがクロスしたイメージのワーク・シュヴァートSC4M(9.5J-15×18)。スポークにはボディラインと同じ赤のステッカーを貼り、LAラグジースタイルを車両全体で体現。タイヤは拘りの旧型ATRスポーツで、225/35サイズながら215幅しかなく、引っ張り装着した時のスタイリングがバッチリ決まるのがポイントだ。

続いてリヤサス。一般的な調整式ロワアームより可動範囲が遥かに広い、大型ピロ採用のロワアームを投入。長さ調整機構はターンバックル式で、キングピン角の調整幅を大きく確保する。もちろん、ロールセンターアジャスター機能付きだ。

スタビロッドにも注目。サスストロークに対してリンク角が大きく変化するのを抑えるため超ショート設計とし、さらに、両側ピロとしているからロックすることは皆無だ。

アッパーアームは独自の取り付け角度として、ボディ側、ナックル側ともに干渉を完全回避。高強度の平板を採用することでドライブシャフトとの干渉も避けている。ピロは小型サイズだが圧倒的な可動範囲を誇り、高負荷を分散させられるからこそアーム折れの心配もない。

トラクションロッド(写真ドラシャの奥)は短くしてトラクションを稼ぐのが一般的だが、ドシャコタンの場合、伸ばす方向でセットしてナックルを後ろ側へ回転させ、トー変化を抑えると同時にストロークを稼ぐことを推奨。ホイールベースが長くなるためクルマの動きはまったりする方向になるが「そこは乗り手で調整する!」というのが春口流。

トーコントロールロッドは大きな負荷がかかり、ピロにガタが出やすい部分。そこで、低走番長シリーズでは大型で振り幅の大きいピロを採用。メンバー取り付けボルトとの干渉も独自形状でしっかりと回避している。

キャンディレッドで塗られたメンバーは、ブッシュはめごろし状態のセミリジット加工により25mm上にオフセット。左右マウントを結びメンバー剛性を高めるブレースバーは、グリップ仕様にお勧めのパーツだ。

リヤフェンダーは叩き出しにより片側3cmのワイド化を図るとともに、フェンダーアーチを2.5cm切り上げて、18インチホイール(10J−10×18)のリムとツライチ化。ちなみに、リヤのキャンバー角はネガティブ方向に1度半のセット。あくまでも走りを重視した結果だ。

「異音が発生するのが嫌なんですよ。街乗りも快適にこなせるっていうのがコンセプトですからね。調整式アームの設計も考えは同じで、きっちりアライメント管理ができるようになるしアームロックしないから乗り心地も良くなるんです」と春口代表。

このS14はパワーチューン手つかずながら、ブーストアップ車を追撃できるドリフトパフォーマンスを秘めている。それは、徹底的に煮つめられたサスチューンの恩恵に他ならないのだ。

●取材協力:326パワー TEL:082-426-3260

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【関連サイト】
326POWER
http://www.326power.co.jp/

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